国内上映事業 アラブ映画祭2007 シンポジウム アラブ映画は一枚岩ではない それぞれの製作体制

「アラブ映画祭2007」

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アラブ映画祭2007 「アラブ映画シンポジウム」採録

アラブ映画は一枚岩ではない
アラブ映画シンポジウムの写真
2007年3月11日、赤坂・OAGホールにて

  • ゲスト:
  • アブドゥッラー・アル=ムヘイセン(サウジアラビア/『沈黙の影』監督)
    ナーセル・カミール(チュニジア/『バーバ・アジーズ』監督)
    アハセイン・ビンゼラーリ(アルジェリア/『インターネットの扉』主演)
    佐野光子
  • 司会:
  • 石坂健治(国際交流基金)
  • 通訳:
  • ナジーブ・エルカシュ

それぞれの製作体制

司会:

石坂健治 本日のゲストは、アルジェリアの俳優アハセイン・ビンゼラーリさん、チュニジアからナーセル・カミール監督、サウジアラビアのアブドゥッラー・アル=ムヘイセン監督。コメンテーターとして、本映画祭の企画アドヴァイザーでレバノンにお住まいの佐野光子さん。通訳とコメンテーターはおなじみのナジーブ・エルカシュさんです。  同じアラブといっても風土も違い、映画の状況も異なるところから、観客の皆さんはまず、アラブは一枚岩だ、というお考えを捨てて臨んでいただいた方がよろしいかと思います。実はリハーサルでも議論百出の状態でした。私たちはアラブについて知らないことが多いので、まず総論的な質問をし、その後に会場の皆さんとの質疑の時間を取っていきたいと思います。

では、お三方の作品がどのようにして出来上がったのか、各国の映画状況と絡めて教えていただければと思います。ビンゼラーリさんの『インターネットの扉』は、我々と変わらない都会の若者の生活を描いていますが、一方でフランス人の女性が出てきて、ある種国際的な要素もあります。

ビンゼラーリ:

アハセイン・ビンゼラーリ この映画のテーマは、アルジェリア社会のひとつのサンプル、一面を見ていただいたような感じです。技術的な面に関して言いますと、アルジェリアでは最近やっと映画製作の全行程、作業を国内でできるようになりました。クレジットにはフランス人技術者の名も入っていますが、それは共同製作作品だからであって、現在ではスタジオも機材もアルジェリアには全て揃い、素晴らしい人材も増えてきました。

司会: カミール監督の『バーバ・アジーズ』は老人と少女が旅をする映画で、チュニジアだけでなく非常に広い範囲の地域が出てまいりますし、クレジットも多国籍ですね。
カミール:

ナーセル・カミール この映画の製作資金を集めるのに、10年間かかりました。イスラーム教についての映画と言うと、興味を示してくれる人はあまりいませんでしたが、まずチュニジアの会社が、そしてフランスの小さな会社が興味を持ってくれました。協力者はたくさんいますが、プロデューサーといっても資金を出すのではなく、スタジオを貸してくれたり、何らかの提供してくれたり、様々な形でした。  イギリスのプロデューサーはサウンドエンジニアを派遣してきましたが、そのエンジニアは監督である私の3倍の給料をもらいました。ヨーロッパからの支援は基本的にヨーロッパのお金ですから、ヨーロッパ人に渡したいということのようです。ハンガリーでミキシングをしたのも、そういう条件が付いていたからです。協力者の中には少しずつお金を出してくれた人もたくさんいましたので、とても長いクレジットロールになりました。 私はチュニジア人である前に映画人です。ですから場所はどこでも関係ないのです。自分が想像した映画を作ること、それが目的です。

司会: アル=ムヘイセン監督の『沈黙の影』(05)は、サウジアラビアの長編劇映画第一号です。まさに何もないところからお作りになったというご苦労があったと思います。
アル=ムヘイセン:

アブドゥッラー・アル=ムヘイセン 私はイギリスで映画製作を勉強しましたが、帰国してからはいろいろなハードルがあり、すぐに映画を作ることは困難でした。ですからもっと一般的なメディア事業を行なう会社を起こし、CM制作などしながら映画を作る資金を貯め、また経験を積むために短編映画を3本作りました。  こうして今回の長編映画を実現するまでに、約30年かかりました。サウジアラビアでは共同製作作品はないので、完全に自分の資金で作りました。大変な経験でしたがとても満足していますし、皆さんに見ていただけて嬉しく思います。

エルカシュ: 撮影はシリアですが、サウジアラビア国内では不可能だったのでしょうか。
アル=ムヘイセン: サウジアラビアでも可能でしたが、ロケ地の問題がありました。ふさわしいロケ地を6年間探し、最終的にシリアを選びました。シリアには砂漠があり、歴史もあります。砂漠という離れた場所は孤独な場所でもありますが、アラブの歴史と深いつながりがある場所です。その象徴的なものがパルミラという王国ですね。世界的に知られている場所でもありますからシリアのパルミラをロケ地として選びました。撮影以外のほとんどの作業、編集などはサウジアラビアの私たちが所有するスタジオで、最後のミキシングはイタリアで行ないました。

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