国内上映事業 The Japan Foundation Film Series Part 2 にっぽん60年代 巨匠たちの原点

The Japan Foundation Film Series Part 2

日本映画の巨匠と女優たち

(1)『日本春歌考(Sing a Song of Sex)』 2005年3月25日 金曜日 19:00~

1967年  創造社=松竹 カラー/シネスコ/103分
監督・脚本:大島渚/脚本:田村孟、田島敏男、佐々木守/撮影:高田昭/美術:戸田重昌/音楽:林光
出演:荒木一郎、小山明子、伊丹一三、吉田日出子、串田和美
『愛のコリーダ』(76)、『戦場のメリークリスマス』(83)、『御法度』(99)などで世界的に注目された大島渚は、一貫して性や国家・政治をめぐるテーマを取上げている。性や国家の主題を打ち出し観念的に描いた中期の注目すべき作品。
大学入試の後、高校生たちは紀元節反対デモに出くわし、元教師の大竹と再会する。
居酒屋で大竹は彼らの性的欲求不満を察知して春歌を歌い、高校生たちは妄想と現実の間をさ迷う。かつての朝鮮人娼婦の哀歌とフォーク・ソングを対比させるなど、鋭い批判が見てとれる。

(2)『なつかしい風来坊(The Lovable Tramp)』 2005年3月26日 土曜日 13:00~

1966年   松竹大船 カラー/シネスコ/90分
監督・脚本:山田洋次/脚本:森崎東/撮影:高羽哲夫/美術:重田重盛/音楽:木下忠司
出演:ハナ肇、倍賞千恵子、有島一郎、中北千枝子、真山知子
『男はつらいよ』シリーズや『たそがれ清兵衛』(02)、『隠し剣 鬼の爪』(04)などで活躍する山田洋次は1961年に監督デビューした。この作品は初期の代表作のひとつであり、後の『男はつらいよ』シリーズの寅さんの原型ともいえる人物像が登場するコメディ。
うだつのあがらない公務員の早乙女は無気力な日常の中で、風来坊の源さんと偶然知り合う。型破りな源さんに振りまわされながらも、奇妙な友情が芽生える。小市民の悲哀や現代社会において忘れられがちな人情を描く。

(3)『日本脱出(Escape from Japan)』 2005年3月26日 土曜日 15:00~

1964年   松竹大船 カラー/シネスコ/96分
※16mmプリントでの上映
監督・脚本:吉田喜重/撮影:成島東一郎/美術:芳野尹孝/音楽:武満徹、八木正生
出演:鈴木やすし、桑野みゆき、待田京介、内田良平、坂本スミ子
アメリカに行きたいと憧れるバンド・ボーイは、兄貴分の金庫破りを手伝って警察に追われる身となるが、東京オリンピックを迎える騒ぎの中、日本脱出に全てを賭けようとする。
『秋津温泉』(62)を経た吉田喜重が敢えて取り組んだアクション映画の異色作であり、当時の社会状況に対しての風刺がこめられている。
ラストシーンをカットして公開されたことをきっかけに松竹を去った吉田は、以降、独立プロダクションでの製作を行ない『エロス+虐殺』(70)、『戒厳令』(73)、『鏡の女たち』(03)などを発表。

(4)『乾いた湖(The Dry Lake)』 2005年3月26日 土曜日 19:00~

1960年   松竹大船 カラー/シネスコ/88分
監督:篠田正浩/脚本:寺山修司/撮影:小杉正雄/美術:佐藤公信/音楽:武満徹
出演:三上真一郎、岩下志麻、炎加世子、山下洵一郎、伊藤雄之助
『心中天網島』(69)、『写楽』(95)、『スパイゾルゲ』(03)などの篠田正浩は、この監督第2作により松竹ヌーベル・ヴァーグの一翼として注目された。松竹ヌーベル・ヴァーグは、大島渚、吉田喜重、篠田正浩を中心として1960年代前半にセンセーションを巻き起こした。脚本に寺山修司を初起用。
60年安保で騒然の頃、無軌道な青春を謳歌する下条は学生運動から離脱し、テロの夢想を抱く。さまざまな社会矛盾を身近に感じつつ、ニヒリズムに駆り立てられる青年像を三上真一郎が好演。デビュー間もない岩下志麻が篠田作品に初出演。

(5)『太平洋ひとりぼっち(Alone Across the Pacific)』 2005年3月27日 日曜日 11:30~

1963年 石原プロモーション=日活 カラー/シネスコ/97分
監督:市川崑/脚本:和田夏十/撮影:山崎善弘/美術:松山崇/音楽:芥川也寸志 武満徹
出演:石原裕次郎、森雅之、田中絹代、浅丘ルリ子、ハナ肇
市川崑は、『こころ』(55)、『炎上』(58)などの文芸作品から『東京オリンピック』(65)といった異色ドキュメンタリーや時代劇など、多彩な秀作群により高く評価されている。
日本人の海外旅行が自由化される以前の1962年、小型ヨットで太平洋を横断した青年のニュースが話題になった。
ベストセラーとなった同名の手記を映画化し、海の醍醐味を視覚的に表現し、94日間におよぶ航海の冒険と孤独との闘いを物語る。また、郷里の家族への思いを回想で織り交ぜつつ、もどかしい親子関係や新旧世代の隔絶をも描き出している。

(6)『にっぽん昆虫記(The Insect Woman)』 2005年3月27日 日曜日 14:00~

1963年 日活 モノクロ/シネスコ/123分
監督・脚本:今村昌平/脚本:長谷部慶次/撮影:姫田真佐久/美術:中村公彦/音楽:黛敏郎
出演:左 幸子、北村和夫、長門裕之、吉村実子、露口茂
『楢山節考』(83)と『うなぎ』(97)がカンヌ映画祭パルムドールを受賞するなど世界的な評価も高い今村昌平は、『豚と軍艦』(61)や本作など60年代の作品で“重喜劇”といわれる独自のスタイルを打ち出した。
東北生まれの中年女性のバイタリティ溢れる半生を、昆虫観察のように冷徹なリアリズムで描いた傑作。
日本社会の底辺を見据え、戦中戦後をしたたかに生き抜く女たちの姿を通して、人間の本質や土着的な性をあからさまにした描写が圧倒的。ベルリン映画祭主演女優賞受賞。

(7)『東京流れ者(The Tokyo Wanderer)』2005年3月27日 日曜日 17:00~

1966年 日活 カラー/シネスコ/83分
監督:鈴木清順/脚本:川内康範/撮影:峰重義/美術:木村威夫/音楽:鏑木創
出演:渡哲也、松原智恵子、二谷英明、川地民夫、吉田毅
鈴木清順は、『ツィゴイネルワイゼン』(80)はじめ独特の美学で魅了し、最新作『オペレッタ狸御殿』(05)ではチャン・ツィイーを主演に迎えている。この初期の代表作では、ジャンル映画の枠組を発展させ、鮮やかな色彩感覚と大胆な虚構性を発揮している。
主人公の“不死鳥の哲”はヤクザから足を洗ったが、かつての敵・大塚組の妨害にあい、各地を流れ歩く。
ひとつの主題歌をモチーフにして、ハードボイルド風の東京篇、任侠映画的な新潟篇、喜劇タッチの北九州篇と、異なる趣向を融合させている。

ページトップへ戻る