国内上映事業 The Japan Foundation Film Series Part 5 上映作品

巨匠が描いた花街の女たち

『妖刀物語 花の吉原百人斬り』 YOSHIWARA THE PLEASURE QUARTERS2006年3月17日 金曜日 19時~

1960/109分/カラー/ワイド/東映

監督:内田吐夢/脚本:依田義賢/撮影:吉田貞次/美術:鈴木孝俊/音楽:中本敏生

出演:片岡千恵蔵、水谷良重、木村功、山東昭子、千原しのぶ、沢村貞子

江戸時代の吉原を舞台に、成り上がろうと野心を抱く女と、愛を求めて我を忘れ破滅していく男を描いたヒューマニズム溢れる重厚な悲劇。

顔の醜いアザのせいで独身だった田舎商人・次郎左衛門は、優しく接してくれた遊女・玉鶴に夢中になり、金をつぎ込むが…。

遊郭を見事に再現した豪華なセットや絢爛たる太夫のお披露目の光景といった、見ごたえ溢れるオリエンタルな美しさに彩られつつ、迫真にせまる人間ドラマが展開する。「飢餓海峡」(65)や「宮本武蔵」シリーズの巨匠・内田吐夢が、歌舞伎から題材をえて映画化したダイナミックな作品。

『女は二度生まれる』 WOMAN ARE BORN TWICE
2006年3月18日 土曜日 13時30分~

1961/99分/カラー/ワイド/角川映画(大映)※16mm版での上映

監督:川島雄三/原作:富田常雄/脚本:井手俊郎、川島雄三/撮影:村井博/美術:井上章/音楽:池野成

出演:若尾文子、藤巻潤、フランキー堺、山村聡、山茶花究、山岡久乃

1960年頃、東京・九段で芸者をしている小えんをヒロインとして、天衣無縫な女性が男性遍歴を重ねながら、真の自立に目覚めてゆくさまを軽妙に描く。小えんは芸事は苦手だったが仕事に屈託がなく、初老の建築家や若い寿司職人や中年の遊び人といった男たちに出会い、やがてバーのホステスや妾になるが…。

コメディを得意とした川島雄三が持ち味を発揮し、ペーソスを含めて女性の心情を繊細に描写する。可憐な若尾文子がコケティッシュなキャラクターを魅力的に体現。後に続く川島とのコンビ作「雁の寺」(62)「しとやかな獣」(62)の原点ともいえる秀作。

『四畳半襖の裏張り』 THE WORLD OF GEISHA
2006年3月18日 土曜日 18時~

1973/72分/カラー/ワイド/日活

監督:神代辰巳/原作:永井荷風/脚本:神代辰巳/撮影:姫田真佐久/美術:菊川芳江

出演:宮下順子、江角英明、山谷初男、丘奈保美、絵沢萠子、芹明香

不況により日本中で米騒動が起こり社会が不穏になっていた大正7(1918)年頃の東京のとある花街を舞台に、密室で情事に耽溺する人々を描きつつ、大正という時代を捉える。芸者・袖子と遊び人の客のかけひき、年増の花枝による未熟な花丸への特訓、夕子とシベリア出兵していく幼なじみの恋人との純愛といった3組の挿話が並行して繰り広げられ、男女の喜怒哀楽を艶笑喜劇的なタッチで浮き彫りにする。

撮影・照明・美術の高度な技術力による本格的な画面作りが素晴らしい。ロマンポルノを中心に活躍した神代辰巳によるバイタリティに満ちた傑作。

『噂の女』THE WOMAN OF THE RUMOR (aka THE WOMAN IN QUESTION) 2006年3月19日 日曜日 13時30分~

1954/83分/モノクロ/スタンダード/角川映画(大映)

監督:溝口健二/脚本:依田義賢、成沢昌茂/撮影:宮川一夫/美術:水谷浩/音楽:黛敏郎

出演:田中絹代、大谷友右衛門、久我美子、進藤英太郎、浪花千栄子、峰幸子

戦後の京都・島原を舞台に、廓を経営する母と家業を嫌悪していた娘のドラマを描きつつ、女性の悲哀と強さを浮き彫りにする。

初子は夫に先立たれ、置屋とお茶屋を兼ねる井筒屋を女手一つで切り盛りしている。一人娘の雪子は東京の音楽学校へ行っていたが、失恋して自殺を図ったため連れ戻され、やがて廓に生きる女たちの健気さに感化されていく。医師の的場に好意を持った雪子は、彼が初子の恋人だと知るが、母に対して同じ女性としての共鳴感を抱くようになる。

「祇園の姉妹」(36)や「祇園囃子」(53)など、たびたび廓の題材を映画化した巨匠・溝口健二による意欲作。

『偽れる盛装』 UNDER SILK GARMENTS
2006年3月19日 日曜日 15時30分~

1951/103分/モノクロ/スタンダード/角川映画(大映)

監督:吉村公三郎/脚本:新藤兼人/撮影:中井朝一/美術:水谷浩/音楽:伊福部昭

出演:京マチ子、藤田泰子、瀧花久子、村田知英子、小林桂樹、菅井一郎

戦後の京都・祇園を舞台に、母親と姉妹の葛藤を描き、芸者をとりまく厳しい環境とそこから脱け出そうとする女性像を見つめる。

昔は一流の芸者だった静乃家のきくには2人の娘がいる。芸者になった君蝶は古風な母に反発し、男を次々に手玉にとる。対照的に、おとなしい性質の妹は市役所に勤め、恋人との結婚を望むが、周囲に反対される…。

新藤兼人が、師事した溝口健二の「祇園の姉妹」(36)を引き継ぐようにして書いた脚本をもとに、女性映画の名手・吉村公三郎が花街の暮らしを緻密に描き出す。バイタリティあふれる奔放なヒロインを京マチ子が熱演。

『日本橋 』 NIHONBASHI
2006年3月19日 日曜日 18時~

1956/111分/カラー/スタンダード/角川映画(大映)

監督:市川崑/原作:泉鏡花/脚本:和田夏十/撮影:渡辺公夫/美術:柴田篤二/音楽:宅孝二

出演:淡島千景、山本富士子、若尾文子、品川隆二、柳永二郎、船越英二

大正初期の東京・日本橋を舞台に、男女の因縁深い愛憎を物語ったメロドラマ。

売れっ子の芸者・清葉とお孝はライバルだが、誇り高い清葉は男に対して冷淡で、彼女に振られた男にお孝は優しく接していた。清葉とお孝をめぐって伝吉と晋三が織り成す愛憎劇を華麗に描き、芸者の世界を見据えつつ、激しくも美しい女性の競い合いに焦点を当てる。

こころ」(55)や「太平洋ひとりぼっち」(63)など幅広い作品で才能を発揮した名匠・市川崑が、溝口健二も映画化した泉鏡花の同名小説をもとに撮った格調高い女性映画。咲き誇るかのような女優たちの競演が素晴らしい。

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