平成15年度沖縄国際フォーラム

平成15年度沖縄国際フォーラム 「沖縄のうたきとアジアの聖なる空間:文化遺産を活かしたまちづくりを考える

2004年3月27日(土) 10:00~18:00 (受付開始 09:00) 会場:国立劇場おきなわ 小劇場

フォーラムのもよう

沖縄国際フォーラムでは、文化遺産保護のために、またさまざまな場で用いることのできる国際的なツールとして「無形および有形の文化遺産に関する沖縄宣言」【PDF:155KB】 が作成されました。

沖縄のうたきとアジア各地にある類似空間の比較
聖なる空間と無形文化遺産の結びつきを検証
空間と無形文化遺産を包括的に活かしたまちづくりの検討

開催趣旨

国立劇場おきなわ

歴史的にも文化的にもアジアの交流地点である沖縄の豊かな文化遺産は、日本国内においても独特の個性を誇り、また世界的にも注目を集めています。今回のフォーラムでは、沖縄各地で現在も人々の生活の中に息づく文化遺産である「うたき(御嶽)」と祭や踊りなどの伝統芸能(無形文化遺産)に焦点をあて、沖縄の人々が祖先から引き継いできた「うたき」や伝統芸能の意味やアジアとのつながりを考えるとともに、この大切な文化を後世へ引き継いでいくために大切なことは何かということを、海外から参加する専門家や市民リーダーの人たちと一緒に考えていきます。

今、なぜ沖縄の「うたき」や伝統芸能が注目を集めるのでしょうか?沖縄の「うたき」や伝統芸能には、日本の他の地域では見られない大きな特徴があります。それは、「うたき」や伝統芸能が沖縄の島々に住む人々の心と生活の根源に今も深く結びついている「生きている文化遺産」であるということです。このような生活と文化の深い結びつきは、日本各地にもかつては豊かな形で様々に存在していたものですが、生活の都市化や開発の影響により多くの場所で意識されないまま失われてしまいました。

多くの場所で、失ってしまってから人々に文化の豊かさ大切さが改めて意識されていますが、一度失われた文化の再生は容易なことではありません。民俗文化の豊かさにおいては日本国内で最も恵まれた沖縄にあっても、開発や世代交代に伴い、従来あたりまえであった伝統的なライフスタイルが変容していることが近年指摘されるようになり、祖先から受け継いできた生活文化や伝統芸能を若い人たちに引き継いでいくにはどうしたらよいか、という課題に取り組む人々が島々で取組みを行なっています。

一方、視点を歴史的にも地理的にも沖縄と近い関係にあるアジア各地に転じてみると、アジア各地でも民族独自の文化遺産を自分達の手で後世に継承していこうという取組みを行なっている人たちがいます。例えば、フィリピンのイフガオの人々は、稲作文化という独自の生活文化の継承に取組み、それは伝統的な農業としての稲作だけでなく、農作業の中で育まれてきた歌や踊りなどの伝統芸能や美しい棚田という景観の保全までを含み、有形・無形にかかわらない包括的な取組みです。

或は、タイ北部や中国雲南地方、ラオス、ミャンマーなどの国境にまたがる山岳地方に住む少数民族ハニ・アカ族の人たちは、祖先が代々口伝えで継承してきた豊かな民話や伝説などを若い世代の人たちに受け継いでいくための取組みを行なっています。言葉や歌や踊りなど生活の中で育まれ継承されてきた伝統的な無形文化の継承は、形ある文化遺産の継承とは異なる困難さを持った課題ですが、この困難なテーマに取り組んでいる沖縄の人々の経験とフィリピンやタイの人々の経験には、幾つかの共通する問題意識があり、お互いの経験から学びあうことが可能ではないかと思われます。

もう一歩視野を広げて世界を考えてみると、昨年秋、パリで開催されたユネスコ総会において「世界無形遺産条約」が可決され、無形文化遺産の保存や継承に対する関心が高まっています。ユネスコでは、遺跡や建造物など有形の文化遺産を主な対象とした「世界遺産」制度を通じて、人類の貴重な文化財の保存に成果をあげてきましたが、伝統芸能や口承伝統など無形文化遺産の保存と継承はまだまだ新しい課題といえます。沖縄の文化財のなかで伝統芸能や祭などの無形文化遺産が占める位置は非常に重要であり、沖縄では島々の住民の人たちの手によって豊かな無形文化遺産がこれまで守られてきた貴重な体験があり、ユネスコをはじめとする無形文化遺産関係者の間でも関心が寄せられています。

今回のフォーラムでは、沖縄の人々の中で「うたき」や伝統芸能といった文化遺産が、どのような形で継承されているかを改めて見直すことによって、アジアや世界の人々と一緒に、これからの豊かな文化遺産継承のあり方を探ろうという試みです。この試みを通じて、沖縄発で文化遺産の継承に関する新しいメッセージが発信していきたいと考えています。

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