ロシア舞踏公演−「舞踏−大いなる魂」

 ロシア舞踏公演-「舞踏-大いなる魂」

国際交流基金(ジャパンファウンデーション)は、モスクワとサンクトペテルブルグで、日本の舞踏を紹介する事業「舞踏-大いなる魂」を開催します。

1960年代に土方巽により創始された舞踏は、西洋の伝統的な舞踊とは異なる新しい身体概念のもとに、日本における舞踊の概念を変革するものとして確立されました。土方の暗黒舞踏の誕生から50年を過ぎた現在、その優れた芸術性と精神性がヨーロッパを中心に世界各地で高く評価され、バレエや演劇をはじめとする優れた舞台芸術の歴史を誇るロシアにおいても、舞踏の独自の身体性に基づく表現の世界には高い関心が寄せられています。

土方巽の暗黒舞踏には、写真家の細江英公、作家の三島由紀夫や澁澤龍彦、美術家の中西夏之や横尾忠則といった同時代の前衛芸術家たちが関わっています。彼らは土方の舞踏のために文章を寄せ、舞台にのせる美術作品を制作し、ポスターをデザインし、土方の踊りをカメラに収めました。そこには、同時代のあらゆるアヴァンギャルドの結晶とも言える、至高の芸術が存在したのです。

舞踊というひとつの身体表現のジャンルにとどまらず、美術や写真、映画など同時代の前衛芸術と深く結びつき、奇跡のような芸術体験を観る者にもたらした舞踏の姿を振り返るべく、今回の事業では土方の舞台公演のフィルム上映、舞踏家によるパフォーマンス、専門家によるレクチャー、記録写真や公演ポスターの展示を通し、舞踏の創始者である土方巽の舞踏の総合芸術としての姿を紹介します。フィルム上映では、土方巽の舞踏世界を代表する作品と言える「肉体の叛乱」「疱瘡譚」をはじめとする舞台作品の記録映像と実験映画を上映。舞台公演では、土方巽の直系の弟子である山本萌を中心とした金沢舞踏館によるパフォーマンスを上演します。土方巽がつくりあげた深遠なる舞踏の世界がロシアの地に甦ります。

公演日程:2010年11月20日 土曜日 から 11月28日 日曜日まで

サンクトペテルブルグ公演 日時: 2010年11月20日 土曜日 19時より フィルム上映・レクチャー・舞台公演
会場: リツェディ劇場 http://www.licedei.com/

出演: 山本萌、白榊ケイ(金沢舞踏館)
レクチャー:
森下隆 (慶應義塾大学アート・センター 土方巽アーカイヴ)
國吉和子 (舞踊評論家)
主催: ジャパンファウンデーション、在サンクトペテルブルグ日本総領事館
共催: アートセンター・ベーレグ

モスクワ公演

2010年11月27日 土曜日 15時より
フィルム上映・レクチャー 20時より 舞台公演

2010年11月28日 日曜日 15時より
フィルム上映・レクチャー 20時より 舞台公演

会場: ドラマ芸術学院  http://sdart.ru/
出演: 山本萌、白榊ケイ(金沢舞踏館)
レクチャー:
森下隆 (慶應義塾大学アート・センター 土方巽アーカイヴ)
國吉和子 (舞踊評論家)
主催: ジャパンファウンデーション
共催: ドラマ芸術学院

土方巽について

土方巽(1928~1986)
舞踏の創始者であり、1960年代にアヴァンギャルド宣言のもと、実験的なダンスを展開し、ダンスの概念の変革とともに舞踏を確立した。その後も、1970年代から1980年代にかけて、日本の風土と文化に規定された身体に表現の可能性を見出し、画期的なメソッドの開発により、世界にも類のないダンスの創造に挑むなど、たえず舞踏の革新を図った。
土方によるダンスの革命は、後に世界で活躍する多くの舞踏家を生み出した。さらに、その影響は、ダンスのジャンルにとどまらず、舞台芸術から美術、写真、映像、さらには文学にまで幅広く及び、異端から出発しながら、戦後日本の文化史に大きな足跡を残すことになった。
その独自の身体哲学が肉体の芸術としての舞踏に結びつき、舞踏が世界に広まり、舞台芸術の一潮流となる思想的基盤を与えた。また、独特の言語感覚から生まれた傑作「病める舞姫」など、文章の世界にも稀有な才能を発揮し、著作は「土方巽全集」にまとめられている。

■ プログラム詳細

上映作品(制作年順):

三好“3吉”功郎

へそと原爆 (1960年制作・モノクロ)
監督:細江英公 出演:土方巽ほか

あんま(1963年制作・2007年完成版・モノクロ)
監督:飯村隆彦 出演:土方巽、大野一雄、大野慶人、笠井叡ほか 音楽:足立智美

バラ色ダンス (1965年制作・2007年完成版・モノクロ)
監督:飯村隆彦 出演:土方巽、大野一雄、大野慶人、石井満隆、笠井叡ほか
音楽:足立智美

肉体の叛乱 (1968年制作・モノクロ)
監督:中村宏 出演:土方巽

疱瘡譚 (1972年制作・モノクロ・短縮版)
監督:大内田圭弥 出演:土方巽

東北歌舞伎計画Ⅳ (1985年制作・カラー)
振付・演出:土方巽 出演:芦川羊子、東北歌舞伎研究会

上演作品:

腹中のむしの写真

腹中のむし
演出・振付: 山本 萌(金沢舞踏館)
舞踏手: 山本 萌 白榊 ケイ(金沢舞踏館)
照明: 曽我 傑
音響: 山本 瑠衣
制作: 鈴木 光子

レクチャー:

土方巽の舞踏
森下 隆(慶義塾大学アート・センター 土方巽アーカイヴ)

舞踏からコンテンポラリーダンスへ-日本の舞踊事情
國吉 和子(舞踊評論家)

展示作品:調整中
*上映・展示作品は予定です。
*上映・上演・レクチャー・展示の内容・日時等についてはやむを得ない事情で変更になることがございます。

出演者プロフィール

■山本 萌 / Moe Yamamoto

*金沢舞踏館代表。1973年、土方巽に師事、暗黒白桃房の公演に参加。1976年、土方巽振付・演出の「正面の衣裳-少年少女のための闇の手本」により独立、金沢舞踏館を創立する。以降、郷里金沢を拠点として、国内外で、公演やワークショップなど精力的に活動している。特に、オーストリア、グラーツでは、劇団アソウとの共同製作(「男爵」、「変身」)や、オーディションによるダンサー達との作品製作(シンクロン)など多くの成果を上げている。ヨーロッパ各国でのワークショップでは、最終日に小品に仕上げ発表、好評を博している。2006年には、クロアチア国立劇場リエカ製作の「松風」(謡曲、松風のオペラ仕立て、演出:ネナッド・グラバン)の振付を担当、新境地を開いた。金沢で、週2回のワークショップを継続的に開催し、若手舞踏家の育成や、海外からの研修生の指導に当たっている。

*金沢舞踏館 / Kanazawa Butoh Kan
1976年、土方巽の暗黒舞踏派・白桃房より独立した山本萌によって設立され、その後白榊ケイの参加を得て、金沢を拠点として国内外で公演や舞踏普及のためのワークショップを行い、精力的に活動している。1999年以降、オーストリアで継続的に公演、ワークショップを行い、その成果として2005 年にはグラーツの劇団 ASOU との共同製作、カフカの「変身」公演をオーストリアと日本で実現、好評を博した。2006年には、「変身」を持ってルーマニア、シビウ国際演劇祭に参加。
また、クロアチア国立劇場リエカ製作の舞踊劇「松風」(原作:謡曲「松風」)の振付を担当した。
近年は子供を対象としたワークショップや、演劇作品のための振付など、東京、金沢での公演、ワークショップの他にも舞踏の可能性を求めて活動の場を広げている。

講師プロフィール

■森下 隆

1950年生まれ。1972年より、土方巽のアスベスト館にて舞台制作に携わる。出版社勤務を経て、1986年の土方巽の死後、土方巽記念資料館の設立と運営に参画。土方巽をめぐる展覧会やシンポジウム等の企画・構成を行う。
現在、慶應義塾大学アート・センターに設置されている土方巽アーカイヴを運営。慶應義塾大学文学部非常勤講師。NPO法人舞踏創造資源代表理事。著書に、「土方巽 舞踏譜の舞踏―記号の創造、方法の発見」。

■國吉 和子

舞踊研究・評論。多摩美術大学客員教授・早稲田大学等非常勤講師。舞踊学会理事。日本洋舞史研究会事務局「舞姫の会」(土方巽研究)主宰。トヨタコレオグラフィーアワード審査員(2002~2004)。著書「夢の衣裳、記憶の壺――舞踊とモダニズム」。共編「日本洋舞史年表Ⅰ~Ⅳ」。編著に市川雅遺稿集「見ることの距離――ダンスの軌跡1962~1996」 

[お問い合わせ]

国際交流基金(ジャパンファウンデーション) 文化事業部 舞台芸術チーム
担当:北川陽子
Tel. 03-5369-6063 Fax. 03-5369-6038

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