黒森神楽ロシア公演

黒森神楽ロシア公演の画像

国際交流基金(ジャパンファウンデーション)では、岩手県宮古市に伝わる郷土芸能である黒森神楽の初のロシア公演を開催します。

岩手県には神楽や剣舞など多くの民俗芸能が伝承されていますが、中でも宮古市の黒森神社を本拠地とする黒森神楽は、岩手県の陸中沿岸地方の広い範囲を数ヶ月かけて神楽が廻る「巡行」を現在でも行っている他に類のない貴重な神楽として、平成18年に国の重要無形民俗文化財に指定されています。その特徴は、山岳信仰の系譜につながる霊山としての黒森神社への畏敬の念と、岩手の沿岸部で古くから営まれてきた漁業を基礎とした地域の文化が融合した独特の勇壮な舞と囃子であり、黒森神楽はこの地方に伝わる小規模な神楽から優れた舞手を集めて伝承されている、東北を代表する神楽です。巡行先には本年3月に発生した東日本大震災で甚大な被害を受けた地域もありますが、黒森神楽は奇跡的に被害が少なく、既に東北地方の祭礼などでの神楽奉納を再開しています。

今回の公演では黒森神楽の多彩な演目の中から代表的なものを上演するとともに、神楽の巡行を解説した映像の上映も行います。東北の沿岸部の生活や土着の信仰と密接に結びついた民衆の芸能を通して、地域の人々の生活に根ざした文化の重要性や、震災からの復興に向けて重要となるコミュニティの連帯の力を紹介します。広大な国土を持つロシアではかつて農耕や漁業が広く行われており、ロシア文化の根底にはそうした農耕・漁業に基づく文化があります。そうした土着の文化とも相通ずる日本の民俗芸能は、ロシアの人々に深い感動を呼び起こすことでしょう。

公演日程:2011年10月2日 日曜日 から 10月3日 月曜日

ゼレノグラード(モスクワ市内)公演

日程:2011年10月2日 日曜日 17時開演
会場:文化宮殿
出演:黒森神楽(重要無形民俗文化財)
主催:国際交流基金、在ロシア日本大使館
協賛:メトロポリ Link

モスクワ公演

日程:2011年10月3日 月曜日 19時開演
会場:スタニスラフスキー記念演劇劇場
出演:黒森神楽(重要無形民俗文化財)
主催:国際交流基金、在ロシア日本大使館
協賛:メトロポリ Link

9月4日にロシア公演の成功と安全を祈願して神楽の奉納が行われました!
詳しくはこちらのブログをご覧ください。

【黒森神楽について】

黒森神楽の写真1

岩手県宮古市の黒森山にある黒森神社を本拠地とする黒森神楽は、近世に山伏が布教の手段として演じていた山伏神楽に分類されるもので、岩手県の陸中沿岸地方、北は現在の久慈市の一部から南は釜石市の一部までの広い範囲を北廻りと南廻りと一年おきに廻村する巡行(じゅんぎょう)を現在でも伝承している貴重な民俗芸能である。

この地域には近世より多くの神楽が伝えられ、その所属する神社や集落を短期間に巡行している。こうした地域の神楽衆の中から、舞や囃子の上手を集めて数ヶ月に渡る長い巡行を行ってきたのが黒森神楽である。その特徴は、山岳信仰の系譜につながる霊山としての黒森神社への畏敬の念と、岩手の沿岸部で古くから営まれてきた漁業を基礎とした漁村の文化が融合した独特の勇壮な舞と囃子であり、この地域の代表的な神楽と言える。こうした広範囲で長期に渡る巡行を行う神楽は全国的に見ても例がなく、沿岸地域の生活に密着した貴重な習俗が現在も受け継がれていることから、平成18年に国の重要無形民俗文化財に指定されている。

黒森神楽の写真2

黒森神楽の巡行は1月3日の黒森神社での舞い立ちの儀式から始まり、3月まで陸中沿岸の神楽宿(かぐらやど)と呼ばれる巡行先を廻る。神楽の宿を提供するのは地域の有力者であることが多く、その家の家族・親類だけでなく地域の人々も宿に集い神楽を楽しむ。地域と密着した世界観を示す神楽では、この世の悪を鎮め、祝福を約束する神の姿を人々に見せる舞が必ず存在するが、黒森神楽では「権現様(ごんげんさま)」と呼ばれる獅子頭がそれであり、神楽の舞い立ちや神楽宿への舞い込みの際には必ず権現舞が演じられる。また、黒森神楽の代表的な演目である山の神舞や、豊漁を約束する神である恵比寿舞などの地域の生活に密着した演目や、日本各地に伝わる神話の由来を説いた「御神楽(みかぐら)」などの演目の他、劇仕立てで物語性の強い「仕組み」や源平合戦などの歴史上の伝説を題材にした「武士舞」など観る人々を楽しませる演目もあり、大人から子どもまでを魅了している。

このように黒森神楽を支えているのは、貴重な芸能を受け継いできた担い手である神楽衆であり、神楽宿を引き受け神楽衆を受け入れている地域の人々であり、彼らの思いと陸中沿岸で伝承されている文化が結晶となっているのが黒森神楽であると言えよう。

お問い合わせ

国際交流基金 文化事業部舞台芸術チーム (担当)北川
Tel. 03-5369-6063 Fax. 03-5369-6038 E-mail

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