鄭義信作、ソン・ジンチェク演出の意欲作 日韓共同制作 演劇『アジア温泉』韓国公演

(左より)イ・ボンリョン、成河、キム・ムンシク、キム・ジョンヨン、キム・ジンテ、勝村政信、梅沢昌代 ほか
撮影:谷古宇正彦(やこうまさひこ)

アジアのどこかにある島は、古い因習としきたりが守られてきた牧歌的な島だった。ところが、島に温泉が湧くという噂が出て、島民が俗化していくなか、大地は自分の土地を売らずにがんばっていた。そこに、リゾート観光業に乗り出そうと、カケルと、その弟アユムは島にやってくる。カケルは大地の土地を買収しようと交渉するのだが……。

新国立劇場とソウルの芸術の殿堂による日韓共同制作 演劇 『アジア温泉』は、これまで新国立劇場が制作してきた、21世紀の日韓の現在を描いた『その河をこえて、五月』、1970年前後の在日コリアン社会を描いた『焼肉ドラゴン』と、日韓に焦点を当てた内容とはうって変わり、アジアの架空の島に温泉が湧くという噂が出たことで起こる事件を描く音楽入り祝祭劇です。国際交流基金では、この意欲作の韓国公演を共催します。

本作では、『焼肉ドラゴン』でも日韓の観客を笑いと感動の渦に巻き込み、ますます活躍が目覚ましい鄭義信が新作を書き下ろしました。また演出には日韓ワールドカップ開会式の演出も務めた韓国国立劇団の芸術監督ソン・ジンチェクを迎え、両国の俳優たちとともに、ダイナミックかつ音楽入りの祝祭劇が展開されます。

日本からは勝村政信や成河、千葉哲也、梅沢昌代ら、韓国からはキム・ジンテら、人気・実力ともに兼ね備えた俳優が11名ずつ出演。日本語・韓国語のセリフが飛び交う音楽入りの祝祭劇が、劇場の広い空間を使って縦横無尽に繰り広げられます。

東京公演は2013年5月10日(金曜日)~26日(日曜日)に新国立劇場で上演され、好評を博しました。

日程:2013年6月11日(火曜日)から6月16日(日曜日)

時間 19時30分(火曜日~金曜日)、14時/18時30分(土曜日)、15時(日曜日)
場所 韓国 ソウル 芸術の殿堂 土月劇場
主催 芸術の殿堂、財団法人韓国国立劇団
共同主催 公益財団法人新国立劇場運営財団、国際交流基金
制作 芸術の殿堂、財団法人韓国国立劇団(韓国)、公益財団法人新国立劇場運営財団
後援 在大韓民国日本国大使館公報文化院

鄭 義信の写真

[脚本] 鄭 義信(ちょん・うぃしん)

1993年に『ザ・寺山』で第38回岸田國士戯曲賞受賞。その一方、映画に進出、『月はどっちに出ている』『愛を乞うひと』でキネマ旬報脚本賞など多数受賞。さらに平成13年度芸術祭賞大賞受賞作品『僕はあした十八になる』などテレビ・ラジオのシナリオでも活躍。現在も、文学座、こんにゃく座ほかに戯曲を提供する傍ら、自身も作・演出を努めるユニット<海のサーカス>に参加。新国立劇場では、『たとえば野に咲く花のように―アンドロマケ―』(脚本)のほか、『焼肉ドラゴン』(作・演出)では、第16回読売演劇大賞優秀演出家賞、第12回鶴屋南北戯曲賞、第43回紀伊國屋演劇賞、第59回芸術選奨文部科学大臣賞を受賞、『パーマ屋スミレ』(作・演出)がある。

ソン・ジンチェクの写真

[演出] ソン・ジンチェク(孫桭策/Sohn Jin Chaek

韓国の伝統芸能の手法を現代劇創作に生かした演出家として国内外で知られる。1982年、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーで研修。84年『ソウル・マルトゥギ』で演出家デビュー。86年に劇団美醜を旗揚げ。81年から2011年まで様々な演目で公演していた「マダンノリ」は集客数20万人以上といわれ、国民の年末年始の楽しみのひとつになっていた。そのほか、ソウル・オリンピック文化芸術祝典「漢江祭」総監督、日韓共催ワールドカップ開幕式総合演出など、国家的なイベントも手がける。また、フェスティバル・ディレクターとしての才能も発揮し、各種舞台芸術フェスティバルの芸術監督も努める。現在、財団法人国立劇団芸術監督。 04年、新国立劇場でアリエル・ドーフマン作『THE OTHER SIDE/線のむこう側』演出。

勝村 政信の写真

[出演] 勝村 政信(かつむら・まさのぶ)

ニナガワ・スタジオを経て、1987年、劇団第三舞台に入団。92年の退団まで主要メンバーとして活躍。以後、舞台、映像で幅広く活動中。近年の舞台に、『コリオレイナス』『裏表源内蛙合戦』『コースト・オブ・ユートピア』『ファウストの悲劇』『ああ、荒野』『シンベリン』『ボクの四谷怪談』など。サッカー番組『FOOTBRAIN』のMCも務めている。

成河の写真

[出演] 成河(そんは)

劇団ひょっとこ乱舞、北区つかこうへい劇団を経て、2004年ロバート・アラン・アッカーマン演出『エンジェルズ・イン・アメリカ』のエンジェル役に抜擢、強烈な印象を残す。平成20年度文化庁芸術祭演劇部門新人賞、第18回読売演劇大賞優秀男優賞受賞。主な舞台に、『春琴』『BLUEORANGE』『ザ・キャラクター』『イリアス』『南へ』『クレイジー・ハニー』『ミュージカル・ハムレット』『ぼくに炎の戦車を』、新国立劇場『夏の夜の夢』『サロメ』など。

千葉 哲也の写真

[出演] 千葉 哲也(ちば・てつや)

演劇企画集団「THE・ガジラ」に旗揚げから参加。さまざまな舞台で活躍する一方、近年は演出も手がけ、第14回・第16回読売演劇大賞優秀演出家賞受賞、ほか『BLUE/ORANGE』『寿歌』などがある。 近年の舞台に、『髑髏城の七人』『ハンドダウンキッチン』『トップドッグ/アンダードッグ』(第20回読売演劇大賞優秀男優賞受賞)、新国立劇場では『THE OTHER SIDE/線のむこう側』『胎内』(第5回読売演劇大賞優秀男優賞、第39回紀伊國屋演劇賞個人賞受賞)、『焼肉ドラゴン』ほか多数出演。

梅沢 昌代の写真

[出演] 梅沢 昌代(うめざわ・まさよ)

文学座を経て、1994年まで演劇集団MODEで活躍。こまつ座『父と暮せば』で第2回読売演劇大賞優秀女優賞、新国立劇場『箱根強羅ホテル』で第40回紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞。近年の舞台に、『南部高速道路』『ボクの四谷怪談』『ピアフ』、新国立劇場では『紙屋町さくらホテル』『欲望という名の電車』『ピカドン・キジムナー』『涙の谷、銀河の丘』『母・肝っ玉とその子供たち』『たとえば野に咲く花のように』『エネミイ』『雨』など。

キム・ジンテの写真

[出演] キム・ジンテ(金 鎮泰/Kim Chin Tai

1951年、慶尚南道生まれ。中央大学演劇映画学科中退。72年演劇『放火犯たち』でデビュー。主な作品に、演劇『ハムレット』『アンティゴネ』『水のしぶき』『流浪劇団』、ミュージカル『屋根上のバイオリン弾き』『明成皇后』『ロミオとジュリエット』『ポギー&ベス』ほか。また、ドラマでも活躍し、『ノダジ』『白虎日記』『あけぼの』『武人時代』『大祚榮』『廣開土大王』などがある。 1987年東亜演劇賞男優賞、93年KBS演技大賞最優秀賞、94年韓国放送大賞男性タレント賞、2001年韓国ミュージカル大賞男優助演賞、06年KBS演技大賞優秀演技賞、09年ザ・ミュージカル・アワーズ男優主演賞受賞。

【お問い合わせ】

国際交流基金(ジャパンファウンデーション) 文化事業部 アジア・大洋州チーム
担当:玄田
電話:03-5369-6062 FAX:03-5369-6038

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