日本と東南アジアのメディア・アート展 「Media/Art Kitchen – Reality Distortion Field 」 プロジェクトコンセプト

プロジェクトコンセプト (岡村恵子+会田大也+服部浩之)

本プロジェクトは、歴史や伝統を異にし、政治や経済、そして文化の状況も各々に違う日本、タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、ベトナム、計7カ国より集ったキュレーター13名が協働して、この時代における「メディア/アート」のあり方を問う展覧会を企画し、順次形を変えながらジャカルタ、クアラルンプール、マニラ、バンコクという4都市で開催するというものです。

グローバル化の旗印のもと、さまざまな情報技術が国境を越えて人々の生活の中に入り込み、その営みに少なからぬ影響を与えている今日、刻々と整備更新されていくメディア環境は、これまでにない新たな経済圏や文化圏を生成しています。それは、大きな変革の端緒ともなり得る一方で、新たな抑圧や格差の広がりを生むリスクも両義的にはらんでいます。

日本ならびにASEAN諸国の間はもとより、会場となる4都市の間をとってみても、それぞれの社会背景とその内における「メディア」や「アート」の位置づけは大きく異なります。プロジェクトを通じた各国のキュレーター、アーティスト間の交歓を手掛かりに、互いの差異の大小を一つずつ発見しながら、時には来場者も一緒になって、新たな価値基準を共に編み直す必要も出てくるでしょう。

本プロジェクトでは、いわゆる「メディア・アート」なるものを既定のジャンルであるがごとく見なすことを避け、用いられる高度な技術や流通・受容の経路によって括るのではなく、あえて「/」を配した「メディア/アート」と表記することで、「Media/ Art=メディアでありかつアート」、つまり「媒介するものとその技術」と読み替えてみることから出発しました。変転し続けるメディアそのもの、またメディアとの関わり方を理解することによって、いかなる「アート」を実践することができるのか、いかに創造的に生きることができるのか。まさにそのことが問われるべき進行形の現在と、待ち受ける未来への展望を描き出したいと考えたからです。

例えば豊かな食文化の成り立ちを考えるとき、その生成の舞台は必ずしも高価な道具を整備し希少な食材が集められたプロフェッショナルな厨房にあるとは限りません。より身近な日常の環境に根差した食材と簡易な調理設備のもと、しかし柔軟な創意と工夫によって生み出された料理が、時に価値観を転倒するほどの味わいをもたらすことも少なからずあるはずです。

同様に、最新の技術や高価な機材、プログラミング等の専門的な知識が整ったうえで初めて成立する、いわゆるハイテクな「メディア・アート」には縁遠くとも、手に入る環境と資源を臨機応変に活用し、柔軟な創造力と独自に探究した技術をもって生み出される、ある種のDIY精神に根ざした作品や活動には、私たちが創造的に生きるための知見や可能性、そしてメディアとは何か、メディアは何を生み出し得るのか、を知る手掛かりが溢れています。

それぞれの状況や環境に応じてどこにでも創出し得る、そして、必要に応じて誰もが利用することのできる創造の舞台として、本プロジェクトでは、展覧会そのものを「キッチン」になぞらえました。アーティストによるさまざまな「料理法」や「味付け」にインスピレーションを得る【作品展示】だけでなく、作品やメディアを巡る状況をより深く理解する手掛かりとなる【ワークショップ】、そして来場者自身が思い思いに制作や表現を楽しむ場である【ラボラトリー】。私たちが構想したのは、その3つの柱を兼ね備えた「キッチン」です。

たとえ高価な機材、あるいは特殊な技術や知識にアクセスできなかったとしても、実験的で挑戦的なマインドと、絶妙なスパイスのごとき工夫やひねりを加えることで、見たことも味わったことも無い料理を生み出すアート(術)があるはず。そう信じることで、不可能を可能にしてしまうミラクルな磁場の創出を、この「Media/Art Kitchen」で私たちは試みたいと思います。

展覧会タイトルについて

Media/Art Kitchen - Reality Distortion Field

主題の”Media/Art Kitchen” は本展をメディア・アートの「キッチン」(台所)になぞらせて、様々の味付けや料理法による料理(作品)である「展覧会」、その作品を理解する「ワークショップ」や楽しむ「ラボラトリー」の3つの柱を持つ事業として提案するもの。また主題を補足する副題の“Reality Distortion Field”は、知らず知らず聴衆を巻き込み感動させる、現実を歪曲した空間のことで、もともとはアップルの創始者スティーブ・ジョブズ氏のプレゼンテーション能力について言及した言葉。

お問い合わせ

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文化事業部アジア・大洋州チーム
担当 : 古市・鈴木
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