設立30周年にあたって

こちらの事業は、旧機構時のものです。


設立30周年にあたって

国際交流基金 理事長 藤井 宏昭

国際交流基金はおかげさまで、本年をもって設立30周年を迎えることとなりました。30年前、国際交流基金設立にあたって当時の福田外相は、「広く諸国民との間に、心と心が触れ合う相互理解の増進に努めること」が外交に課せられた大きな課題であると強調されました。グローバリゼーションによって地球共通の文明が拡大し、同時に地球規模での異文化共生の問題が否応なしに発生するようになった21世紀の社会において、人と人の「心と心の触れ合い」は、より一層の切実感を持つものと思います。「文化交流は人に始まり人に終る」。松本重治氏のこの言葉は、国際交流基金の初心ともいうべきものであり、現在でもその輝きを失っていません。
日本は異文化と自然を尊ぶ伝統文化を持つ一方で、経済技術面で先端を競う二面性をもつ国であり、このことは今世紀には日本の大きな強みとなりましょう。また、アジアの国々に先駆けて、いち早く近代化を自らのものとして実現した国でもあります。この日本の魅力を広く海外に理解してもらうこと、そして新たなる文化のパラダイムを提唱し、未来の文化交流の地平を拓くこと、これこそがわれわれの持つ限りない可能性であり、使命であるといえるのではないでしょうか。
国際交流基金は改革の眞唯中にあります。来たるべき独立行政法人化に向け、どのように「開かれた活力のある基金」を実現してゆくのか。いかにしてその初心に立ち戻り、「心」触れ合う地球規模の文化交流を展開するのか。わたくしは折に触れ、木を育て、森を作る息長い努力こそ、国際交流基金の真骨頂である、と述べてまいりました。その誕生から30年を経て、われわれが育んできた木、茂りつつある森はどのような姿を見せてきているのでしょうか。これからも皆様が、国際交流基金を末永く暖かく見守っていただければと、心より願っております。


国際交流基金設立30周年のお知らせ

国際交流基金は1972年(昭和47年)10月2日に設立されて以来、30年にわたり、人物交流、日本研究、日本語教育、芸術、出版、映像メディア、スポーツ、生活文化等、幅広い分野において世界各国との文化交流事業を展開してきました。設立30周年を迎えるにあたり、以下のような30周年事業が予定されています。

2002(平成14)年

9月1日(日)
~16日
邦楽中国公演(北京・天津・上海・広州)
10月1日(火)
~11月5日(火)
アジア理解講座 特別講座「現代アジアを概観する」
(東京:国際交流基金国際会議場)
10月17日(木)
~11月9日(土)
第7回アジア漫画展「アジアの就職事情」(東京:国際交流基金フォーラム)
10月25日(金)
日本研究セミナー「日本経済のススメ」(東京:国際交流基金国際会議場)
11月1日(金)
シンポジウム「日本語と日本研究:日本を知るための日本語とは」
(大阪:関西国際センターホール)
11月7日(木)
国際交流の夕べ・能と狂言の会(京都:京都観世会館)
12月7日(土)
~3月2日(日)
アンダーコンストラクション展
(東京:国際交流基金フォーラム、東京オペラシティ・アートギャラリー)
12月15日(日)
国際交流特別セミナー「文化とグローバリゼーション」(京都:京都国際会館)

2003(平成15)年

2月~3月
「アジア演劇の女形」欧州巡回公演(ロンドン、パリ、カイロ、ローマ、ケルン)

その他、国際交流基金賞・国際交流奨励賞授賞式(10月4日(金))、『国際交流』誌特集号「地球的多文化共生の時代を迎えて」の刊行(10月)、シンポジウム「アジアとは何か」(12月13日(金)、14日(土))、国際交流基金地域交流振興賞授賞式(1月29日(水))、30年史の編さん等を予定しています。

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