平成19(2007)年度中高教員交流(招へい)事業 第2グループ同行記 #1

青木 公(ジャーナリスト/筆者紹介

五つの大陸、26カ国85人の中学・高校の先生たちが、「日本修学旅行」にやって来た。国際交流基金(ジャパンファウンデーション)による招きで、07年12月6日から19日まで、東京、京都、広島、松山を巡って、日本の教育関係者と話し合い、学校訪問やホームステイを体験した。

国際交流基金は、これまで約7,600人にのぼる海外の先生たちをこのプログラムで招へいしている。自分の目や耳で日本を体験し、理解や関心を高めることにより、それぞれの国の教育現場で生かしてもらうためだ。今年(2007年)度は、同プログラムを事業評価することになり、依頼をうけた4人の評価者が、3グループに分かれた諸国の先生たちに同行した。
どんな国の先生たちが来日したのだろう。12月7日朝9時半、東京港区の高層ビル20階にある国際交流基金の国際会議場に、ホテルから3台のバスに分乗して現れた。民族衣装姿、日本性のカメラを手にした人、眠そうなのは時差病か。A、B、Cのグループに分かれて着席。日本勉強1日目の85人は生徒になったようで、神妙にみえた。
遠来の先生たちは、たとえば日本で話題のOECD学力調査で世界一の北欧フィンランドから来たランポラさん。国家教育委員会勤務。「日本からの教育視察者は今年240人。日本語のパンフレットを差し上げましょう。何でも聞いて下さい」と用意周到。英語のパンフレットを、諸国の先生に配っていた。

アフリカ大陸西岸セネガルからは3人。その一人、教育省視学官のサルさん。「私は、かねがね日本研修を希望していたのです。やっと機会が回ってきた。日本大使館のマダム・タカス(国際交流基金から出向の高須奈緒美一等書記官)が親切でした。わが国の教科書に登場する日本は、明治維新後しか出てこない。日本の歴史全部を知りたいと意気込む。日本で広く読まれている「星の王子さま」の作者サンテグジュペリが飛行拠点にした旧フランス統治国。言葉も教科書もフランス語のお国だ。

インド・ニューデリーの私立中・高校のダス先生は、こう言った。「小泉首相が訪印時に見に来られました。私の学校での授業は英語です。語学コースでは英、仏、独・・・日本語も教えていますよ。外国へ交流に出かける生徒は多く、日本にもおじゃましています」と言って、カラー刷り100ページ近い学校年報を見せてくれた。関西での訪問校で記念撮影した制服姿の中学生が載っていた。

大柄で活動的なドゥトヴァ先生は、日本の隣国ロシアはカムチャッカ半島の南端、ペトロパブロフスク・カムチャツキーの英語教師。「私の町からシベリア沿海部ウラジオストクに飛び、そこから新潟行きのロシアの旅客機で来ました。新潟からは新幹線ですよ。2日かかりましたね。ウクライナで生まれ、7歳のとき、カムチャッカに移り住みました」と日本製デジカメを手放さない。講師との記念撮影は失礼ではないかと気にしていた。

中南米からは7カ国。ブラジル・ペルナムブコ州レシフェ市にある公立大学付属校で地理の先生のパシェコさん。「大西洋岸の海辺の町で、観光地でもあります。日本は初めて、寒いですね。(註:ブラジルは夏)。家族に電話したいなあ」と、いささか心細く・・・。ポルトガル語の国だが、スペイン語圏の中南米諸国の先生たちと一緒にいると安心した顔に。
みなさん、他国の先生とは初顔合わせで、日本側講師のレクチャーの合間に、自己紹介に忙しかった。昼食は、日本風の和洋折衷弁当。現代日本の食文化との出会いだった。

ページトップへ戻る