平成19(2007)年度中高教員交流(招へい)事業 第2グループ同行記 #4

青木 公(ジャーナリスト/筆者紹介

愛媛県教育委員会訪問の写真
愛媛県教育委員会訪問

07年12月12日朝9時半、Cグループ一行は、松山城がある城山を背にした愛媛県庁舎内にある県教育委員会へ。野本俊二教育長以下、29人の来日教師を上回るほど教委幹部・職員が居並び、地元のTV局クルーと記者が、待ち構えていた。

国際交流基金(ジャパンファウンデーション)の要請に応えて、愛媛県内のプログラムを担当、調整役になったのは、県教委の義務教育課で指導主事の上村悦男(うえむらえつお)さん。中学校では英語を教えていた。文部省(当時)派遣の海外研修で西欧、米国で一か月ほど学校をたずね、教育事情を見聞した国際歴がある。

愛媛県では当今、国際交流といえば、松山空港から直行便がある上海とソウルとの行き来だ。07年度に国際交流基金の地球市民賞をもらったのは、長い間内戦が続いていたモザンビークの平和構築・復興支援策として、松山市から引き取り手のない放置自転車を譲り受けて送り、現地で武器と交換するプロジェクトを実現した特定非営利活動法人「えひめグローバルネットワーク」だった。

なぜ4日間にわたって、来日教師グループを引き受けたのだろう。上村指導主事によると、「国際交流基金のおかげで、国際理解教育のよい機会がえられる」「愛媛は4年前にも国際交流基金が招いたCISグループを引き受けたことがある」「26カ国もの教師に一度に接するのは、初めての経験で、受入れ校も生徒も期待している」

どちらかというと保守的と考えている愛媛県にとって、国際交流基金の経費負担、英文資料の作成といった支援が、教育現場や地域社会の国際化に役立つメリットがある、というのだ。

県教委と国際交流基金との事前打ち合わせで。こんなやりとりがあった。

「県教委は、来県の教師にうるし塗りのペンの贈り物をします。団長さんはおられますか」
「特に団長はいません。挨拶のスピーチをする教師は、交代で決めています」
「新設の特別支援学校でも、いろいろと受入れ準備を進めているようです」
「教師グループにはその分野の教育に関心が強い先生がいます。学期末の忙しい時に受け入れてくださり感謝しています」

贈り物の習慣。多国籍で大人数の外国人の接遇法―これも国際交流によるカルチャー・ギャップの学習かも知れない。

県教委による教育事情説明の写真
県教委による教育事情説明

26カ国29人のCグループを支える上村指導主事は黒衣役で、歓迎パーティーからホームステイまで、関係者との調整に徹していた。上村さんは、また愛媛県海外教育事情研究会(県海研)のメンバーだ。先述したように、上村さんは、59年に始まった文部省派遣の海外研修OBで、全国的なネットワークに75年にできた全国海外教育事情研究会(全海研)があり、教育現場で、外国からの教育関係者の受入れに当たってきた。

来日教師を迎えた松山、東温両市の4校には、海外派遣の短期研修を受けた教師や、在外の日本人学校に長期派遣された教師がいて、国際イベントの幹事役となっていた。自らホームステイを引き受ける教師もいた。

「前回、CIS教師が来られたとき、わが家に泊まってもらいました。名簿をみると、今回もCISの先生がおられますね」

CグループのCIS教師に親しみを表わす女性教師を見かけた。国際経験がある大都市の学校にくらべて、愛媛県は海外からの訪問者は少ないだけに、親身な対応になるようだ。

国際交流基金は、72年の設立以来、7000人を超える海外教師を日本研修に招いてきた。招いた国のどこかで、愛媛県教委の上村さんのように、海外との架け橋になっているのかも知れない・・・

Cグループの外国人教師は、日本修学旅行で出会った日本人教師との対話と交流で、日本の教師は社会的にも地位が高く、地域から尊敬されていることや、時間外手当なしに長期勤務を強いられているが、永久就職のように身分は保証されていることなどが、おぼろ気ながら分かってきたようだ。

質問も、核心に触れる内容が増えてきた。例えば―「東京では公立校と私立校の競合を聞いたが、愛媛では、なぜ公立校中心なのか」「英語教育の目的は、何なのか。単なる語学か、国際化への対応か」「地方都市は人口減で、生徒が減り、学校が統合されると、教師の雇用はどうなるのか」「私たち訪日教師にも質問してほしい!」

県教委訪問記念写真の写真
県教委訪問記念写真

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