ヴェネチア・ビエンナーレ 第13回国際国際建築展(2012)

日本館の展示概要

展示テーマ TOKYO METABOLIZING
コミッショナー 北山恒 (建築家、横浜国立大学大学院/Y-GSA教授)
参加作家 塚本由晴(建築家、東京工業大学大学院准教授、博士(工学))、
西沢立衛(建築家、横浜国立大学大学院/Y-GSA教授)
展示概要

第12回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展が開催される2010年は、50年前の1960年に、メタボリズムという概念を日本から発信して半世紀たつという年である。

メタボリズムとは、日本から世界に向けて始めて発信された建築・都市について影響力のあるマニフェストであった。それは、都市を機械のように機能部品の置き換えによって新陳代謝させるという革命的なアイデアである。しかし、そのメガロマニアックな都市イメージは実際には現前していない。だが、東京の様相はこの50年間で凄まじい変化を遂げたことを考えれば、メタボリズムによって言語化された概念は静かに進行していたと言える。

東京という都市はヨーロッパの都市に見られる連続壁体で造られる都市構造ではなく、ひとつひとつ独立した建物(グレイン)の集合体として構成されている。すなわち個体の個別変容が容易に行われるようなシステムが内在しているのだ。絶え間なく生成変化する現代の東京で生まれている独特の建築を観察すると、東京は「新しい建築」、そして都市建築理論を生み出す孵化装置であることがわかる。

2008年の資本主義経済の大きなクラッシュの後、資本権力のアイコンとしての建築が都市の主役から退場し、生活を支える建築のあり方が問われている。都市とは経済活動の場であるのだが、同時にその都市の大多数を占める主役は生活の場である。そこに立ち戻り、20世紀後半に展開した資本のスペクタクルではない、生活を主体とした静かな都市要素の集積が壮大な都市の変化を創ろうとしている、その変化そのものを表現したい。歴史上存在した、あらゆる都市は何らかの偏在する大きな力(権力)によって形作られてきた。私たちが眼前にみる生命体のように変化し続ける現代の東京において、これまで出現したことのない、遍在する弱い力(徹底した民主主義)による都市風景が生まれようとしている。それは、私たちが獲得しなくてはならない、環境と共生する都市、そして共同体としての生活を支える建築の姿を指し示しているようにも思える。

塚本由晴と西沢立衛は共に40歳台半ばであり、そして共に現在の日本の建築状況のエッジを形成する作品および論説を活発に展開している。この二人の建築家は現代の東京という都市状況と反応しながら「新しい建築」、そして都市建築理論を展開している。この二人の建築家の仕事を道案内に、生活を主体とした東京の都市イメージを明らかにしようという企画である。

大いなるインパクトを持って受け止められた、1960年に提示された言説から半世紀たち、再び、日本が世界の建築・都市に関する思想的リーダーとなる可能性を諮る展示でもある。

(コミッショナー: 北山恒)

TOKYO METABOLIZING
ハウス&アトリエ・ワン(塚本由晴+貝島桃代)の写真
ハウス&アトリエ・ワン(塚本由晴+貝島桃代)

森山邸(西沢立衛)の写真
森山邸(西沢立衛)

主催 国際交流基金(ジャパンファウンデーション)

ページトップへ戻る