ヴェネチア・ビエンナーレ 国際美術展 51回 展示コンセプト

前回のヴェネチア・ビエンナーレは第50回という節目の展覧会でした。今回は約一世紀を経た後の新たな第一歩として、過去の記憶を未来の刻印にすることを展示コンセプトとして展覧会を構成しています。
まず空間構成ですが、日本館のユニークな特徴を出来るかぎり生かし(1956年、吉坂隆正氏設計)、この空間の醸し出す特有の空気を可能な限り引き出して、石内都作品との相乗効果を生み出したいと思います。
日本館の特徴のひとつとして、白黒帯状の人造大理石が敷かれた床が挙げられます。しかしこの大理石の床は、1986年以来カーペットやリノリウムに覆われて、使用されていません。
今回は20年ぶりに元の状態に戻します。床を戻すことにより、日本館の最大の特徴とも言える、展示室中央の大きな方形の穴が現れます。これは階下のピロティに立体作品を設置し、展示室中央から鑑賞することを前提とした作りであると思われますが、今回はピロティでの展示ではなく、この1m75cm四方の空洞に強化ガラスを貼り、その下に大型モニターを設置した吊り棚を作り、展示室中央の足下から作品を鑑賞するというコンセプトを引き継ぎます。
鑑賞者の足下の大型の画面で展開されるのは、石内都の初期の三部作『絶唱・横須賀ストーリー』(1977)、『アパート』(1978)、『連夜の街』(1981)から厳選した約50点のモノクロの静止画です。
展示室はこの空洞を中心に、もともと4つのコンクリートでできた楔形の壁が建てられています。今回は余分な仮設壁はなるべく作らず、この4面の壁面に展示用に仮設壁を併設するのみにとどめます。見通しのいい空間に、回りの四方の壁面とあわせて、石内都の「Mother's」のシリーズから写真作品38点と、最新作である映像作品が壁面いっぱいに投影されます。
作品と空間双方で、過去と未来が交差します。

mother's #37の写真
mother's #37
(28.5×19.0 cm / direct print)
collection of the artist (2002)

Photo (c) Ishiuchi Miyako
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