旧アジアセンター知的交流課 事業実績 1999(平成11)年度 1.企画開発事業

(1)知的交流分野

アジア・パシフィック・ユース・フォーラム

\6,392,519
1999年11月21日~11月29日/チェンマイ

文化的背景を異にするアジア太平洋地域から、学界、政界、官界、ジャーナリズム、NPONGO等の様々な分野の若者21名が一堂に会し、寝食をともにしつつ、言語、宗教、価値観の違いを乗り越えて共通の課題について議論する。第8回目となる今年度は、タイのチェンマイにて「危機を超えて:若者は変化を生み出せるか?」をテーマに議論が行なわれた。

次世代リーダーフェローシップ

\20,323,056

日本国内の人文・社会科学系大学院生及びアジア地域との共同作業を進めている非営利団体のスタッフが、アジア諸国で調査研究や研修をするためのフェローシップ。アジアの国々との共同作業を担っていく次世代の人材育成を目的とする。平成11年度は合計8名をインド・中国・ネパール、インドネシア、韓国、タイ、フィリピン、ベトナム、マレーシア、モンゴルへ派遣。それぞれの研究テーマは以下のとおり。「変容する地域社会における伝統文化に基づいた住民自身による開発の可能性と課題:インド・ネパール・チベット」、「『改革の時代』とジャワ農村-政府・住民関係の動態的研究」、「韓国における聾者の手話使用に関する調査研究」、「タイにおける都市貧困者層の実態調査とNPONGO活動の研究」、「それぞれの社会主義革命-ベトナム村落住民のライフヒストリー研究」、「フィリピン共和国における『ストリートチルドレン』現象の人類学的研究」、「多民族国家マレーシアにおける知的障害者の生活様態とその特性-地域に根ざした形での作業所設立による知的障害者の環境形成及び地域の意識の変容過程」、「モンゴル国における子供と家族-『伝統的民族教育』を手がかりに」。

東南アジア研究地域交流プログラム(SEASREP)

\19,720,850

東南アジア諸国における東南アジア地域研究の促進と学術ネットワーク構築を目的に、協定8大学(インドネシア大学、ガジャマダ大学、タマサート大学、チュラロンコン大学、フィリピン大学、アテネオ・デ・マニラ大学、マラヤ大学、マレーシア国民大学)を対象に、大学院語学研修フェローシップ、客員教授招聘、大学院研究フェローシップ、地域共同研究助成を行なう。マニラと東京に事務局を設置し、マニラ事務局から年2回『SoutheastAsianStudiesBulletin』(東南アジア研究)を発行。(財)トヨタ財団との共催事業。

アジア地域研究センター支援

シンガポール東南アジア研究所(シンガポール)

成功のためのネットワーキング:ASEANの経験-研修プログラム

\16,131,457

シンガポール東南アジア研究所と連携をはかりながら、ASEANに新規加盟した国の若手研究者、行政官、ジャーナリスト、企業家、NGO関係者等を対象に、政治、経済、法律、環境、社会の分野からASEANの目的、意義、歴史、構造、機能、問題点、域外大国との関係等について、シンガポール東南アジア研究所及びバンコクにて集中研修を行なった。日本人専門家2名が講師として参加し、日本外交とODA政策から見る日本とASEANの関係や、日本における商事紛争処理の手法と伝統等をテーマに講義した。

CLVM(カンボジア、ラオス、ベトナム、ミャンマー)知的支援事業

(1)インドシナ・メディア記念財団(タイ)

文化の伝統・変遷を記録するフォト・ジャーナリズム研修

\3,081,842
2000年3月/チェンマイ

カンボジア、ラオス、タイ、ベトナムから12名のフォト・ジャーナリストを招聘し、チェンマイ大学のマスコミュニケーション学部と協力して4週間のフォトジャーナリズム研修を実施。チェンマイ周辺の伝統文化とその変容をテストケースとし、工業化、交通、環境汚染、観光とその影響、アイデンティティの喪失、伝統文化の保存に関するNGOやコミュニティの取り組み等、様々な課題を取り上げながら、デジタルカメラの使い方、ジャーナリズムにおける写真理論等、写真報道の基礎を学んだ。イギリスのトーマス財団やチェンマイ大学の講師が指導したほか、地元NGOが研修に協力。研修の最後には、優秀な写真映像がバンコクの外国人記者クラブにて発表された。

(2)メコン地域法律センター(タイ)

工業所有権に関する研修ワークショップ・フェーズ1:商標法と不正競争防止法

\2,372,873
1999年10月4~8日/バンコク

市場開放に伴って外国資本を誘致していくにあたり、またWTOの定める知的所有権協定加盟国として、カンボジア、ラオス、タイ、ベトナムでは、知的所有権を保護する法律の確立とその施行が早急の課題となっている。日本とタイから産業財産法の専門家が講師として参加し、各国の警察、行政官、裁判官、弁護士を対象に、商標の法的保護、不正競争の防止、知的所有権に関する国際法等について研修を実施した。

<日本・ASEAN文化対話フォーラム>

(1)我らアジア人-過去と未来の間で-

\7,615,597
2000年2月21~23日/シンガポール

世紀の変わり目にあたり、アジアにとって20世紀は何であったのかを中心テーマに据え、植民地主義、共産主義と国家の形成、アジアにおける資本主義、戦争、暴力と歴史、記憶の問題について、アジア各国から参集した知識人が掘り下げた議論を展開し、21世紀へ向けての未来志向の議論を行なった。シンガポール文化遺産協会、シンガポール国立文書館との共催。

(2)「危機を超えて:文化からアジアを語る」1999年度会議報告書作成

\3,109,620

1999年3月に東京で実施した第1回日本・ASEAN文化対話フォーラム「危機を超えて:文化からアジアを語る」の英文報告書を作成し、関係機関に配布した。

沖縄国際フォーラム

環境と文明を考える-21世紀の持続可能な社会経済システムを目指して-

\13,309,062
1999年10月25~26日/沖縄

環境問題への取り組みは国境を越えた協力を要すると同時に、学問的専門分野や社会的な活動分野の壁を越えた協働と叡智の結集が必要とされる大きな課題である。経済の発展と調整をはかりつつ、環境負荷の少ない持続可能な社会経済システムを作っていくかという観点から、アジア太平洋地域から参加したパネリストより各国の環境問題の動向が報告され、議論が行なわれた。地元沖縄からは、伝統的自然観、価値観、環境保全の仕組みをいかに活かすべきかという視点が提示された。成果を和文・英文の報告書にまとめて関係機関に配布。

アジアの明日を創る知的対話第2回会議:持続的発展とヒューマン・セキュリティの促進

\1,927,894
1999年7月12~13日/シンガポール

アジアにおけるこれまでの経済成長最優先の開発戦略を見直し、ヒューマン・セキュリティを重視した持続的開発のための新しい戦略を生み出すことめざす国際会議事業。アジアにおける持続的成長とヒューマン・セキュリティに関する問題の検証、現実的解決策の模索、国際機関、地域機関、市民社会が果たすべき役割といったテーマが取り上げられた。ケンブリッジ大学のアマーティア・セン教授(ノーベル経済学賞受賞者)による講演のほか、アジア12カ国から約50名の知的指導者、若手学者・研究者の参加があった。(財)日本国際交流センターとの共催事業。

アジアの非営利活動に関する制度的課題

\2,425,050
1999年9月17日~11月30日/仙台、東京、名古屋、大阪、広島

タイ、フィリピン、中国、韓国から民間非営利セクターの法制度の専門家、もしくは現場の活動経験が豊富で民間非営利セクターの全般に通じている人物を招聘し、日本国内5カ所で公開セミナーを開催した。各国の民間非営利セクターに関する法制度を国際的に比較することによって相互の理解を促進していくことを目的に、特に、日本における特定非営利活動促進法(NPO法)の成立過程及び成立後の最新の動向を題材とし、日本の経験がアジアの諸地域の制度改革にどのような意味を有するのかについて議論した。フォーラムの成果を、関係各国において配布したほか、英文で書かれたアジア各国の民間非営利セクターの法制度を比較した総括レポートと、各国の関連法に関する記述の翻訳を始めた。日本NPOセンターとの共催事業。

日本・モンゴル文化フォーラム-21世紀に向けた新たな文化交流・協力を目指して-

\10,843,681
1999年12月9日/東京

日本とモンゴルの関係は、1972年の外交関係樹立以来順調に発展しており、政治対話や経済面の協力と同様に、文化・教育分野における両国間の幅広い交流の重要性が確認されている。これを背景に、日本とモンゴルの文化財保存、モンゴル研究の国際化とそのための資料保存と活用等のテーマを中心として、広く日本とモンゴルの間の文化交流・文化協力のあり方を探る、両国の文化関係者、研究者によるフォーラムを実施した。国立民族学博物館との共催。会議後に、和文とモンゴル語の報告書を作成、関係機関に配布した。


日印セミナー

\1,251,115
2000年3月8~9日/ニューデリー

従来インドと中国の交流は極めて乏しく、インドの中国認識の多くは、欧米諸国を経由した英語文献、情報によるものであったことから、米国、香港、東南アジアの中国研究者と盛んに交流している日本の現代中国研究に対する関心が高まっている。こうした背景を踏まえ、日本の現代中国研究及び日本が他のアジア諸国と行なってきた現代中国研究の成果をインドに伝えるとともに、インドにおける中国研究の現状と課題や、日本、中国、インドの3か国がアジア地域の諸課題に果たす役割を討議する、日印両国の中国研究専門家の対話セミナーを実施した。日印・印中関係者、インドの政策決定者や世論形成に関わる関係者約70名が参集した中、日本からは立教大学法学部の高原明生教授と、慶應大学法学部の国分良成教授が基調講演者として出席した。

日中研究者フォーラム準備調査

\768,850
2000年3月11~18日/北京、上海

「日中研究者フォーラム」は、日本の中国研究者や中国の日本研究者だけに限らず、両国の国際政治、経済、欧米・アジア研究の専門家による、よりグローバルな視点から日中関係について率直に議論できる枠組みを目指すもの。両国の幅広い分野における継続的なフォーラム開催の前段階として、中国に早稲田大学の毛里和子教授と青山学院大学の天児慧教授を派遣し、準備調査を実施した。中国側のカウンターパートとなる機関、参加の可能性のある機関を訪問したほか、フォーラムの実施方法、テーマ、参加者などについて情報を収集し、連携の大枠を作った。

東アジア知的交流機関ワークショップ

\4,469,891
2000年3月26~29日/東京

近年の東アジア域内交流の活発化と、域内で共同で取り組むべき課題の増加に伴い、日韓・日中の二国間の交流のみならず、日中韓三カ国間における知的交流事業の必要性が増大しつつある。こうした現状を踏まえ、東アジア域内における多国間の交流を促進していく一助とするために、中国、韓国より知的交流機関の専門家を日本に招聘。それぞれの機関の活動を相互に紹介しあうことを通じて、東アジアの関係機関間のネットワーク化を図ると共に、多国間での知的交流の現状と課題を討議するワークショップを開催した。

(2)文化振興分野

<ベトナム中部地域洪水被害に対する緊急支援>

(1)ベトナム雅楽復興に関する洪水被害状況・文化財復旧計画調査

\1,567,863
1999年12月23日~2000年1月5日/フエ

アジアセンターでは、ベトナムのフエに伝承されているベトナム雅楽(ニャーニャック)の保存・復興を目指すフエ芸術大学雅楽科事業に対し継続的に支援を行なってきたが、1999年10月にベトナム中部地域を襲った洪水により、これまで整備してきた楽器や舞台衣装に多大な被害が及んだ。このため、被害の状況や、雅楽プロジェクトの復旧の見通しについて調査するため、日本より2名の専門家をフエに派遣した。調査結果については、関係者を招いて報告会を実施し、今後の対応について意見交換を行なった。

(2)ベトナム中部地域洪水被害文書緊急修復ワークショップ

\3,254,479
2000年2月29日~3月14日/ハノイ、フエ、ホーチミン

ベトナム中部地域を襲った洪水により、多大な被害を受けた公文書館・博物館所蔵文書の修復を緊急に進めるため、東京修復保存センターの坂本勇氏と北東文書保存センターの今井潔氏をベトナムに派遣し、被災文書の緊急修復に関するトレーニングワークショップを実施した。ワークショップ実施には、ハンノム研究院、国家文書局、ホイアン遺跡博物館の学芸員やアーキビストが協力。

<ブータン国立博物館支援>

無形文化財の映像記録化に関する人材育成研修・報告書作成

\3,545,183
2000年2月5~22日/ブータン

国内の無形文化財を映像に記録する事業計画のあるブータン国立博物館に、日本人の専門家2名(国立民族学博物館栗田靖之教授と田上仁志同情報管理施設・情報システム課映像音響技術係長)を現地に派遣し、博物館スタッフに対する映像記録に関する研修を行なった。また、博物館の人材育成に役立てるため、1999年2月23~24日に実施した第2回コロキウムの報告書を作成した。

ベトナムにおける無形文化財映像記録化及び人材トレーニング機関基礎調査

\2,993,423
1999年4月21日~9月30日

急速な市場経済の導入と開発によって、ベトナムの少数民族を中心とした伝統文化は急速に失われつつある。
特に、舞踊、民謡、儀礼等は、人材育成に時間を要することから保存に時間がかかるため、その応急処置として、保存の必要な無形文化財を映像記録化し、後世の研究者や実演者に残すための基礎調査を実施。アジア無形文化財映像記録化調査研究会(大阪大学・山口修教授代表)が中心となり、ベトナム国内における政府機関及び文化機関のこれまでの取り組みと現状、及び望ましい国際協力体制を調査した。調査結果は報告書としてまとめたほか、ベトナムとの文化交流・文化協力関係者、政府機関・財団関係者、ベトナム研究者を招いて報告会を行なった。

東南アジアにおける歴史文書の保存と修復に関する国際会議

\7,393,047
2000年2月21~24日/チェンマイ

東南アジアでは歴史文書の保存に関して数多くの国際協力活動が行なわれてきたが、その経験を共有し、有効な相互協力を可能にするようなネットワークが存在しないことに鑑み、各国から歴史研究者、司書、アーキビスト、保存専門家、助成財団関係者等が集まり、東南アジアの歴史文書の保存に関する諸課題を3日間にわたって協議した。マイクロフォーム(マイクロフィルムなど保存媒体の総称)の保存環境、著作権、希少文献の保存法やその実施体制等について討議した結果、最終日にチェンマイ宣言を採択し、SEACAP(SoutheastAsianConsortiumforAccessandPreservation)という国際的なクリアリングハウスを設立した。チェンマイ大学図書館との共催事業。

カンボジアの影絵芝居スバエク・トムの記録事業

\3,462,160
2000年2月1日~3月31日

現在復興の途上にあるカンボジアの伝統的な影絵芝居、スバエク・トムの現状について学術的な記録を行なうため、カンボジア伝統芸能研究会の協力を得ながら、スバエク・トムの全レパートリーの映像記録作成及び関係者に対するインタビュー調査等を実施した。国立民族博物館のスタッフを含む日本人7名とカンボジアの王立芸術大学より専門家2名が参加し、撮影にあたっては、カンボジアの若手研究者・技術者の人材養成もあわせて行なった。収録された映像にはクメール語及び日本語による字幕を付け、演者の同意のもと、カンボジアの関係機関に配布するほか、国立民族博物館で開催されるセミナーや特別展において公開していく。

(3)出版事業

アジアセンターニュース

¥12,908,341

アジアセンター事業の3つの柱である(1)アジア域内の知的交流、(2)アジアの文化振興の支援、(3)日本におけるアジア理解の促進を推進すると共に、アジアセンター事業の普及を目指して年に3回発行。本年度は、12号から14号までの3号を発行した。巻頭対談のテーマは、12号「日本・ASEAN文化対話フォーラム:個人の記憶と国家の物語の間で」、13号「演劇の国際共同制作-新しい言葉を求めて」、14号ジャーナリズムと市民社会」。

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