旧アジアセンター知的交流課 事業実績 1999(平成11)年度 2.公募助成事業  (4)有形・無形文化遺産の保存、記録、公開 (25件)

インド修復協会(インド)

貝葉文献修復の研修

\2,736,214
1999年11月29日~2000年3月/プバネシュワール

紙の使用に先立ち、南アジア、東南アジアにおいて記録を残す手段として用いられてきた貴重な貝葉文献の修復・保護を目指す、調査、研修、マニュアル作成事業の第2年次。今回はワークショップ参加者のニーズに応え、紙の文献全般の修復・保護に関するプログラムを盛り込みながら、アジア各地から参加した図書館司書や学芸員を対象として貝葉文献の修復・保護に関する研修を実施した。また、貝葉文献の保護に関する教育を広く実施するためのマニュアルの編集作業を開始。

カルカッタ社会科学研究センター(インド)

ベンガルの制度とアイデンティティに関する文化アーカイブの構築

\1,686,680

19世紀後半から20世紀初頭にかけて、植民地支配に対する民族主義の高まりとともに発展したベンガル地域の文化史を語る資料が、西ベンガルとバングラデシュに散逸しており、激動期のベンガルの動きを伝える貴重な資料となっている。これらの文献資料、絵画、写真、ポスター等を収集し、マイクロフィルムとカラースライドに保存する3ヵ年プロジェクトの初年度。今年度はコンナガール図書館の8万ページに及ぶ資料や、1930年代の幼児向け雑誌等をマイクロフィルム化した。また、ベンガルの社会歴史家、社会改革論者、著名な写真家等が収集した写真や絵画等の稀少コレクションのリストを作成するとともに、そのネガの複製やスライド作成を行なった。

インドネシア教育文化省遺跡保存局(インドネシア)

木造建築遺産保存に関するワークショップ

\1,242,392
1999年11月15~21日/ジャワ州中部

インドネシア人の中堅技術者を対象とした木造建築保存・修復専門家養成の研修事業の第2年次。本年度は木造建築遺産保存の知識をより広範に広めることをめざし、木造建築保存と修復に関する理論講義やディスカッション、ラボラトリーでの演習、フィールドでの実践等が行なわれた。日本の文化庁、(財)文化財建造物保存技術協会等から4名の専門家、インドネシアからは7名の専門家とリソース・パーソンが参加。政策提言文書や、インドネシアと日本の共同保存プロジェクトの活動計画書が作成された。今後は、日本での保存・分析研究の実習、専門家の交換等が予定されている。

インドネシア口承伝統文学協会(インドネシア)

インドネシアの口承伝統調査及び会議

\2,425,092

1997年度に助成した「スマトラ地方の口承伝統調査及び会議」の関連事業で、その際にマッピング調査を行なったスマトラ島4州(アチェ、リアウ、北スマトラ、西スマトラ)の口承伝統について、写真・ビデオ撮影、録音等によるより詳細な記録保存を実施した。さらに前回調査の及ばなかった地域(ニアス島、ムンタワイ諸島等)も調査対象とした。調査後、海外の専門家を交えて「ミレニアムの声:異文化間の対話」(10月14日~16日,ジャカルタ)と題する国際セミナーを開催し、講演会や口承伝統の実演を行なった。

スジャティ財団(インドネシア)

インドネシア無形文化財映像保存プロジェクト

\2,458,524

インドネシアの無形文化財を映像で記録するもので、西ジャワ州・チレボンの仮面舞踏と南スラウェシ州口承文学の継承者のドキュメンタリーをデジタル記録媒体を用いて記録し、テレビで放映したり、教材として活用する事業。映像制作にはジャカルタ芸術大学の学生が参加し、映像記録に関する人材育成も行なった。

プノンペン芸術大学(カンボジア)

カンボジア舞踊の研究・記録

\2,409,224

ポル・ポト政権下の弾圧が原因で、消滅の危機にさらされている伝統的なクメール舞踊の復興と次世代への継承を目指し、プノンペン芸術大学舞踊学科学生とスタッフを対象に、クメール舞踊の調査、記録の方法論に関して研修を行なう事業。2ヵ年計画の2年次。カンボジア、米国、インドネシアの国際チームからなる専門家の指導により、4種の舞踊の歴史、意味、所作や記録技法の研究がなされたほか、舞踊の動きを詳細に記録するためのフォト・セッションが行なわれた。また、前年度に引き続き、踊り手へのインタビューも行なわれた。最終的に、725の図解を含む140ページにわたる記録書が作成された。研究成果は文化継承のための資料として公文書として保存される。

クメール文化研究所(カンボジア)

クメール研究ジャーナル「ウダヤ」の創刊

\2,618,532

カンボジア文化の国内、国際的理解の促進を目指す学際的なクメール研究誌「ウダヤ」の創刊準備事業。ジャーナルは、クメール語、英語、仏語で出版され、クメール文化の研究を促進するために、学生、学者、クメール文化関連の仕事に携わるプロフェッショナルへの情報提供のフォーラムとなることを目的とする。本年度は、創刊号の原稿作成、創刊の広告パンフレット作成を進めたほか、「ウダヤ」の情報が掲載されるアンコール・シェムリアップ地域保護管理局のWebサイトを完成させた。Webサイト(www.apsara-authority.org)は、英語、仏語、クメール語で閲覧が可能。「ウダヤ」に掲載される論文はインターネット上で閲覧可能であるほか、インターネット経由で購読お申し込みができる。

アジア・メディア・インフォーメーション・アンド・コミュニケーション・センター(AMIC)(シンガポール)

オーディオ・ビジュアル素材の収蔵・保存・修復に関するトレーニング・ワークショップ

\1,759,720
2000年1月10~14日/シンガポール

アジアの図書館、公文書館にはフィルム、テープ、写真、スライド等様々なアナログ媒体による資料が保存されているが、湿潤なアジアの気候の中では、こうしたアナログ素材の劣化が著しく、保存修復及び長期保存が可能なデジタル形態に転換する作業が必要不可欠の課題となっている。この問題意識に基づき、オーディオ・ビジュアル素材の収蔵・維持・修復及びアクセスに関する基本原則の理解を深めることを目指すトレーニング・ワークショップを開催。東南アジア、南アジア各国から参加したアーキビスト、放送会社スタッフ、図書館員などが、アナログのオーディオ・ビジュアル素材をデジタル形態に転換する上で貴重なハード、ソフトの知識を共有した。

東南アジア山岳民族の文化と開発、調査記録の情報プログラム(タイ)

メコン地域のハニ族、アカ族の無形文化財の記録、保存、公開

\2,385,960

タイ、ミャンマー、ラオス、中国の山岳地帯に存在するハニ族・アカ族の口承伝統を記録し保存することで次世代への継承をめざす事業の最終年次。引き続き、ハニ・アカ族の口承伝統の収集、歌謡集や叙事詩等の古代アカ語、現代アカ語、タイ語、英語、中国語への翻訳作業、ニュースレターの発行、ラオス、ミャンマー、ベトナムのアカ族間の関係強化、ラオスでの国際ワークショップ等を実施した。

東南アジア文相機構考古芸術センター(SPAFA)(タイ)

歴史保存と文化遺産管理のための夏期野外学校

\2,941,238

東南アジアの都市にある重要な歴史的建築物の記録・保存や、文化遺産管理をテーマとした人材養成研修事業で3ヵ年計画の最終年次。SPAFA、タイ政府、ハワイ大学が共同で、カンボジア、タイ、ミャンマー、米国の学生や若手専門家を対象に6週間の研修を実施し、復興計画で注目の集まっているバンコクのバンランプー区域を中心にフィールド調査を行いインベントリーを作成したほか、同地区の5つの建築物の詳細をドローイングで記録した。また、実際に同地区の街並み保存に必要な都市デザインを試み、プロポーザルにまとめた。フィールド調査のほかにも、歴史建築や文化遺産保護に関心のある幅広い分野の専門家を交えた講義やディスカッションを行なった。最終的には、本研修を受けた人材も含め、東南アジアの文化遺産保護政策確立の一助となることを目的としている。

アジア公文書館合同作業会(中国、香港)

公文書員教育のための専門トレーニングセンター設立プロジェクト

\636,480

アジア地域における公文書管理の充実と公文書管理専門家の専門教育プログラムを開発し、それを提供するためのセンターを香港に設立することを目指す事業の第2年次。カナダのブリティッシュ・コロンビア大学の協力を得て、アジア地域の公文書管理専門家のニーズにあったカスタムメードの教育プログラムを開発・提供することとなり、これに伴う大学側との手続き事項の協議、香港でのプログラム説明会、中国や韓国の都市部を中心とする参加者の募集活動等を実施した。実際のプログラムは2001年5月に同大学で始動するが、このパイロット・プログラムが成功すれば、将来は香港あるいは日本にプログラム実施地を移す予定。

中国中医研究院中国医史文献研究所(中国)

日本現存の中国散逸古医籍の伝承史研究と公表

\2,000,000

中国の明朝時代の古医籍、中国伝統医学の古書のうち、266点に及ぶ文献が散逸して中国国内に存在しなくなっている。そのうち、日本に現存する古医籍と伝統医学の古書をマイクロフィルム化する作業を、過去2年間日中の研究者が共同で進めてきたが、今回をもって、日本に現存する古医籍、全153点の複製作業が終了した。今回複製された古医籍の出版とあわせ、解題研究書を発刊。

香港科技大学人文学部南中華研究センター(中国、香港)

ホーチミン市宗教建造物内の碑文の文書化:ベトナム華人コミュニティの歴史・社会調査

\1,311,713

ホーチミン市の華人コミュニティの宗教建造物内に造られた石碑の内容を文書化するためのベトナム、香港、日本の研究者、機関による国際共同研究事業。ホーチミン市の87の建造物内に現存する碑文を文書化し、ホーチミン市の華人コミュニティの貴重な民俗資料として、また、中国・ベトナム間の人の流れやビジネス・ネットワーク形成の歴史を紹介する資料として、データブックを作成。本事業の成果を基盤に、今後、ホーチミン市における華人社会に関する研究が行なわれる予定である。

芝浦工業大学工学部建築工学科(日本)

瀋陽フォーラム:東北アジア都市歴史環境会議

\2,630,400
1999年9月13~15日/瀋陽

瀋陽市の歴史遺産の再評価と東アジアにおける歴史的都市の保存をテーマとする国際会議を開催。東北アジア各地、ユネスコ、世界銀行、ヨーロッパから専門家や行政官が参加し、グローバルな角度から、東北アジアならではの歴史都市のあり方について講演やパネル・ディスカッションが行なわれた。また、日中学生建築ワークショップも行なわれた。本フォーラムをしめくくる宣言として「瀋陽宣言」が採択され、東北アジアの都市が取るべき方向、独自の都市モデルに基づくポスト産業都市のシナリオを示唆するものとなった。今後は行政が積極的に関わることで、具体的な成果をあげることが期待される。

(社)日本建築学会第三世界歴史都市・住宅研究委員会(日本)

東南アジアにおける歴史的都市の保全・開発と環境改善に関する調査研究

\1,970,000
1999年11月6~7日/京都、2000年3月8~10日/バンコク

北東アジア及び東南アジアにおける歴史的都市保存ネットワークの確立をめざす2ヵ年計画事業で、北東アジアが中心だった1年目から対象地域を東南アジアに拡大(昨年度の申請機関は立命館大学国際環境・開発研究センター)。東南アジア各国の政府・自治体関係者や研究者による2回の専門家会議を実施し、東南アジア特有の歴史的都市の保存・開発に関する知見を交換すると共に、行政レベルでのネットワークの構築を試みた。第1回会議(京都)では「歴史的街並みの活用とコミュニティ創生」に関する討議を行ない、その結果を踏まえ、第2回会議(バンコク)では「歴史的都市の保存と住民参加」をテーマに、街づくりへの住民参加の重要性について討議した。会議のほかに、伝統的住宅の活用法や木造建築物の修理状況(京都)、市郊外に所在する水郷地区(バンコク)の視察も行なった。

シャンティ国際ボランティア会(元・日本曹洞宗救済委員会)(日本)

カンボジアにおける図書館活動を通じた伝統的文化の復興と振興

\2,096,950

ポル・ポト時代の圧政により崩壊の危機にあるクメールの伝統文化を、図書館活動を通じて復興することをめざす3ヵ年事業の最終年次。昨年度に引き続き、新しい絵本を5タイトル、紙芝居を2タイトル出版・配布したほか、教員・図書館員を対象としたカンボジアの「お話読み聞かせ」文化の歴史やその方法に関するワークショップの開催、移動図書館活動支援、8つの常設図書館の管理・運営を実施。また、フォローアップとして、申請機関と地方教育事務所のスタッフがワークショップに参加した教員、図書館員の勤務先を訪れ、ワークショップで配布された絵本・資料が効果的に活用されているかをモニタリングしている。「お話読み聞かせ」事業は、その重要性が認識され、昨年から教育省の指導要領でカリキュラムへの導入が明記されたほか、出版された絵本、紙芝居は、ユニセフ、ユネスコ、SavetheChildrenなどのリクエストに応えて配布する等、成果をあげている。

ベトナム国家公文書局(ベトナム)

古文書保存技術に関するワークショップ

\2,039,200
1999年11月29日~12月3日/ハノイ

度重なる戦争と高温多湿の気候の中で、ベトナムでは、文書、木版、フィルム、写真、磁気テープ等、様々な媒体で残っている15世紀から現在に至るまでの貴重な記録資料が十分に保存されていない。このような保存状況を改善するため、日本人専門家が参加し、ベトナム及びラオスの公文書館、博物館、文書保管機関のアーキビスト総勢36名を対象に、「緊急性の高い歴史的文書の保護技術」に関するワークショップを開催した。本事業の成果として、170ページに及ぶ"PreservationandConservationIssuesforPhotographicMaterials"(英文)が作成され、関係者に配布された。

ベトナム民族学博物館(ベトナム)

ベトナム及び日本の民族学博物館の共同研究:保存・収集管理技術の向上と人材養成

\1,390,000

ベトナム民族学博物館は、1997年にベトナム唯一の民族学博物館としてオープンした。今回、日本の民族学博物館の協力を得て、研究、保存、展示に関するスタッフ・トレーニング・ワークショップをハノイで実施。研究活動と展示活動が民族学博物館という装置の中でいかに統合されるか、民族学のフィールドリサーチの方法と収集品の管理保存技術等について実習を行なった。あわせて、ベトナムの少数民族調査を実施した。

フエ芸術大学(ベトナム)

ベトナム雅楽(ニャーニャック)の復興

\2,679,837

失われつつあるベトナムの宮廷雅楽(ニャーニャック)を復興し、後継者の養成をめざすプロジェクト。長い戦争を生き残った雅楽継承者3名を中心とする講師陣によって同大学に雅楽科が開設されてから3年間、着実に若い世代へ雅楽の継承が進んでいる。本年度の援助により初年度に入学した生徒が卒業、雅楽グループの一員として演奏活動を行なうレベルに達した。雅楽科は、当初フエ芸術大学に開設された1コースであったが、現在はベトナム政府より正規の大学教育課程として承認されている。

フエ芸術大学(ベトナム)

ベトナム雅楽(ニャーニャック)の復興:洪水被害に伴う追加支援

\503,186

1999年10月から12月にかけてベトナム中部地方を襲った洪水被害により失われた楽器、機材の復興整備を行なうための追加支援を行なった。

マラヤ大学文化センター(マレーシア)

ボルネオ島北部とフィリピン南部のクリンタン音楽とマレーの伝統舞踊

\2,454,430

マレーシア、フィリピン、ブルネイ、インドネシアに分布するクリンタン音楽と舞踊に関する学際的な調査研究プロジェクト。1年目のサラ(マレーシア)、スールー諸島(フィリピン)、ブルネイでの調査に引き続き、今回はサラワク(マレーシア)及びカリマンタン(インドネシア)でのフィールドワークを継続し、採譜を行なった。また、クリンタン音楽の多様な演奏スタイルと舞踊の相関関係に関する研究を実施し、論文、ビデオ・カタログ、オーディオ・カタログ等にまとめた。3ヵ年計画事業の2年目。

ミャンマー国立伝統的写本保存委員会(ミャンマー)

ミャンマー伝統的写本のマイクロフィルム化

\3,040,200

ミャンマー国内の公文書館、寺院等に残存している貝葉および紙文献を中心とした歴史的文書保存事業の最終年度。昨年度に引き続き、北部シャン州、南部シャン州、ヤンゴン地区において写本の保存とマイクロフィルム化を進めるとともに、国立公文書館の稀少写本のマイクロフィルム化を継続して行なった。また、海外の研究者を招き、司書や修復家、研究者を対象に、保存修復技術(湿度や光の管理、修復、搬出入、展示、災害対策、マイクロフィルム作成等)についてトレーニング・ワークショップを2回開催した。

モンゴル文化基金(モンゴル)

海外流出したモンゴル文化財の記録調査

\2,146,000

自国から流出し、海外の主要な研究機関に収集保存されているモンゴル文化に関する資料について調査を行ない、貴重な文化財のカタログを作成する事業。優れたモンゴル文化財のコレクションを保有すると思われる諸博物館のうち、ロシア、ドイツ、デンマーク、アメリカの主要な18の博物館・美術館を巡回し、保有されているモンゴル文化財の概数及び保存管理状態を掌握したほか、来年度以降行なう撮影の対象となる作品を選択した。初年度の最大の成果として、モンゴルの文化の保存や研究に関する人脈が相互に関連づけられた。

マハ・シラ・ヴィラヴォン財団(ラオス)

ラオス織物比較研究(技法と染色)

\1,831,200

1995年、1996年度にアジアセンターの助成により実施した、ラオスの伝統織物の保存と振興を目指す事業の第3年目。96年度までの調査や研修ワークショップの成果を受け、ラオスの主要なエスニック・グループの織物の技法について、地域毎の解説や、詩や文学との関連、染色用植物と染色技法についてのレフェレンスをまとめて出版した。

ラオス国会図書館(ラオス)

ラオス古典文学出版プロジェクト

\1,027,824

国会図書館、王宮博物館、各地の寺院に点在する貝葉文献の中から、古典文学、ジャータカ、宗教文学、散文及び詩に関するタイトルを選定し、文献の書誌データ、物語の概要や関連情報を掲載したインベントリーを作成する事業。第1年次は、1320タイトルのなかから281のタイトルを選定し、そのうち50作品についてシノプシスを作成した。今後この50の作品については、現代ラオ語に翻訳される予定。海外からの研究者を招聘して行なう国際ワークショップは次年度に延期された。

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