第2回アチェの子どもたちと創る演劇ワークショップ

第2回アチェの子どもたちと創る演劇ワークショップの写真

国際交流基金では、文化による平和構築・平和維持事業の試みとして、2007年から「アチェの子どもたちと創る演劇ワークショップ」事業を実施しています。
2007年4月に実施した第1回のワークショップには、紛争被害の経験を持つ中学生・高校生30名(中アチェ県、北アチェ県、ピディ県から各10名)が参加し、寝食をともにして、精神面・心理面での被害回復に不可欠な「自分自身を誇りに思う気持ち」、「他人への信頼感」を取り戻すべく、「アチェの未来について」をテーマに話し合い、それを演劇として表現しました。
また、このワークショップに参加した生徒たちは、2008年8月の「アチェ子ども会議」に再結集、自身と周囲の人々にどんな変化があったのかだけでなく、グループワークを通じて紛争時を振り返り、将来の平和維持のために必要なことを話し合いました。また、それらを詩の創作・朗読、演劇、歌・踊りなどの形で発表しました。

第2回目の開催となる今回は、紛争被害の経験を持つ中学生・高校生を新たに募集する一方で、第1回ワークショップに参加した生徒がアシスタント・ファシリテーターとして参加します。
利害が対立してしまった各地域間の信頼を再び取り戻し、将来の紛争再発を防ぐために、未来を担う子ども達を平和の創始者にという考えのもと、子どもの文化活動を支援し、それを通じた地域の活性化につなげる取り組みとして発展させたいと考えています。

概要
日程 2010年12月5日(日曜日)から12月12日(日曜日) (8日間)
場所 インドネシア バンダ・アチェ
ワークショップ シャクアラ大学研修センター
発表公演 インドネシア国営ラジオ放送 バンダ・アチェ支局ホール
主催 国際交流基金、コミュニタス・ティカール・パンダン
参加者 紛争被害の経験のある高校生 30名
ワークショップ
企画・進行
花崎 攝アグス・ヌール・アマルすずきこーた
映像記録 飯島 周

第1回ワークショップ参加生徒が再集合した「アチェ子ども会議」の写真

第1回ワークショップ参加生徒が再集合した「アチェ子ども会議」(2008年8月、中アチェ県・タケゴン近郊で実施)。ワークショップでの経験を各村に持ち帰って日常生活に戻って1年余りが過ぎた子どもたちが、自身と周囲の人々にどんな変化があったのかだけでなく、グループワークを通じて紛争時を振り返り、将来の平和維持のために必要なことをディスカッションした。

スケジュール(予定)

  12月 内容
1日目 5日(日曜日) 開会式、オリエンテーション
於:シャクアラ大学研修センター
2日目 6日(月曜日) 表現活動ワークショップ、文化活動発表
初顔合わせの生徒の緊張をほぐし、自己表現の楽しさを知る。また出身村ごとに予め練習してきた地元芸能を相互に発表。
3日目 7日(火曜日) 演劇活動ワークショップ
インドネシアの口承話芸の手法を用いて、人物観察や描写をしながら、お芝居のシーンを創作する。
4日目 8日(水曜日) フィールド・トリップ(バンダ・アチェ市内)
バンダ・アチェ市内の文化施設などを見学
5日目 9日(木曜日) インタビュー、地図作りワークショップ
大学構内でインタビュー活動体験、自身の村のコミュニティの地図作り。村や周囲の環境を空間的に把握したり、構成世帯や村の歴史を書き入れることで社会的構造を把握する能力を養う。異なる出身背景の生徒の混成グループで活動に取り組むことで、対話の機会となるようにも配慮。共同作業を成功させるために必要な事柄を学ぶ。
アチェ有識者による講話
アチェの歴史や文化、将来像や海外体験など、ロール・モデルになるような大人による講話(堅苦しいものではなく、楽しいお話会のイメージ)
6日目 10日(金曜日) 演劇作品作り
前半の各種ワークショップで体験したことを元に、グループに分かれ、各グループで主題を設定して演劇作品を創作する。紛争経験(過去)を見つめ直し、自身の将来や地域の平和維持について考えを深める。またこれまでのワークショップで学んだ技能を総合発揮する機会とする。
7日目 11日(土曜日) リハーサル
発表公演

於: インドネシア国営ラジオ放送 バンダ・アチェ支局ホール
生徒の家族を含め一般市民を招き、創作した演劇を公演。本事業の成果発表とともに多文化共生や平和維持に関するメッセージを発信する。
8日目 12日(日曜日) 評価ワークショップ
生徒によるワークショップの振り返り
お別れ会

アチェ概況

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インドネシア政府軍とアチェ独立派「独立アチェ運動」(GAM)による紛争が30年にわたり続いていたましたが、2004年12月のスマトラ沖地震による甚大な被害を契機として和平への機運が高まり、2005年8月15日に和平合意が成立しました。
合意に沿った和平プロセス、津波被災からの復興も比較的順調に推移し、情勢不安が危惧された2009年4月の議会選挙、7月の大統領選挙も概ね平和裡に実施されました。
GAM兵士の社会復帰をめぐる問題や、復興開発が進むにつれての経済格差などの社会問題が依然として残っていますが、紛争後の平和が維持されています。

共催団体

コミュニタス・ティカール・パンダン Komunitas Tikar Pandan (http://tikarpandan.org/new/)
2002年にアチェの各大学で学ぶ学生により設立。文化活動を通じて、多文化共生、平和、平等、民主化等の実現を目指す。書店「Dokarim」経営、高校・大学生向けの文章教室、雑誌『Gelombang Baru』(ニュー・ウェイブの意)の発行、出版事業、地方の文化団体の支援、ストーリーテリングの公演・ワークショップの開催、アチェの伝統文化の研究などを行なう。作家としても活躍するアズハリ(Azuhari)氏が代表を、創設メンバーの一人であるユルファン・マルピ(Yulfan Marpi)氏が事務局長を務める。

参加専門家プロフィール

花崎 攝の写真

花崎 攝 (はなさき せつ)
早稲田大学第1文学部演劇科卒業後、劇団黒テントに参加。公演活動とともに、特に障がい者や女性、子供など社会的に弱い立場にある人々とのワークショップ活動を多数主宰。最新の舞台作品(構成・演出・出演)は、「女/鬼 女たちのコラージュ」(コロンビア国際女性演劇祭招へい作品)。日本大学芸術学部、武蔵野美術大学にて教鞭も執る。企業組合演劇デザインギルド専務理事。

アグス・ヌール・アマルの写真

アグス・ヌール・アマル (Agus Nur Amal
アチェの伝統文化である語り芸を現代化し、独自のジャンルを開拓したアーティスト。話芸家、俳優、作家として活躍、テレビ・映画出演も数多くインドネシア全土で知名度も高い。和平合意直後には、国際移住機関(IOM)による平和構築活動の一環として、演劇グループを率いて紛争で疲弊した村落を多数訪問、伝統芸能を通じて人々に和平プロセスへの支持を訴える活動を行なった。

すずきこーたの写真

すずきこーた
学生時代より小劇場の俳優として活動。現在は、世田谷パブリックシアターの「地域の物語ワークショップ」の進行役など、外国籍児童も含めて子供から大人まで様々な対象者に向けたワークショップを手がける。神奈川県立大師高校非常勤講師。企業組合演劇デザインギルド理事。

飯島周の写真

飯島 周 いいじま しゅう
武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業後、フリーランスで映像制作を行なう。主な監督作品に、2004年『文月の唄』(東京ビデオフェステバル優秀作品賞受賞)、2005年『葉月の海』(第1回山形国際ムービーフェスティバル音楽賞受賞)、また2007年より、白梅学園大学の現代ニーズGPのプロジェクト『しらうめだれでもアート作戦』(第2回キッズデザイン賞受賞)にドキュメント映像の制作として関わる。「Building A Better Asia: Future Leaders’ Dialogue」(主催:アセアン、日本財団)2008年開催回において、花崎氏とともにファシリテーターを務めるなど、国際交流活動にも従事。

これまでのあゆみ

  • 2007年4月 アチェの子どもたちと創る演劇ワークショップ

JFサポーターズクラブJFサポーターズクラブ「国際交流最前線」掲載(2007年8月)
本事業を企画した初代担当職員による実施報告
「アチェの子ども達と創る演劇ワークショップ」~きっかけから実現 そして未来へ~

『地球を、開けよう。』Blog公式ブログ「地球を、開けよう。」掲載(2007年5月28日)
社内報告会の模様をレポート

  • 2007年7~8月 公開セミナー 「アチェ 津波と紛争からの復興」

『地球を、開けよう。』Blog公式ブログ「地球を、開けよう。」掲載(2007年9月18日)
京都及び東京での公開セミナーの様子をレポート

JFサポーターズクラブJFSC会員ページ「国際交流最前線」掲載(2008年8月)
アチェの子どもたちの作文 ワークショップから1年、アチェ子ども会議を前にして
花崎攝氏及び担当職員による実施報告

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