国際シンポジウム「春樹をめぐる冒険―世界は村上文学をどう読むか」 / 東京プログラム

『春樹をめぐる冒険―世界は村上文学をどう読むか』

【東京プログラム 公開シンポジウム(3/25(土)&ワークショップ(3/26(日)】

主催: 国際交流基金(ジャパンファウンデーション)
共催: 毎日新聞社
協力: 東京大学文学部&大学院総合文化研究科言語情報科学専攻

公開シンポジウム

日時: 2006年3月25日(土) 13:00~18:00
会場: 東京大学駒場キャンパス900番教室 アクセス
使用言語: 日本語および英語(同時通訳)
プログラム
13:00~13:10 開会
13:10~14:00 基調講演
リチャード・パワーズ(作家、米国)
「ハルキ・ムラカミ-世界共有-自己鏡像化-地下活用-ニューロサイエンス流-魂 シェアリング計画」
案内人:柴田 元幸(東京大学教授)
コメンテーター:梁 秉鈞(香港)

Esquire誌に90年代の5大作家に選ばれたアメリカを代表する作家パワーズは、日本人でインパクトを受けたアーティストとして村上春樹の名前を挙げ、「頭と心のパズル」、「構造自体がテーマを反映する構造になっている」という点において自身と共通点をもっていると評価しています。そうした「小さな物語が大きな物語と交わるという構造を持つ」という共通性は、村上春樹が現在アメリカのみならず世界的に愛読されていることとどのように関連するのでしょう。現代の人々が世界共通に求めている物語とは何かを、ニューロ・サイエンス(脳神経科学)と文学の関係性や自身の創作哲学に照らしながら考察します。
14:00~16:00 パネル・ディスカッション
翻訳者が語る、村上春樹の魅力とそれぞれの読まれ方
案内人:藤井 省三(東京大学教授)
パネリスト:Corinne Atlan(フランス)、金 春美(韓国)、Dmitry Kovalenin(ロシア)、頼 明珠(台湾)、Jay Rubin(米国)

各国翻訳者に、自分の国での村上春樹の翻訳・出版状況と読まれ方(読者層・読者評・批評)、村上春樹の何が読者を魅了するのか、村上春樹の翻訳における特色・特別なエピソード等を語り合っていただきます。
・・・休憩 10分・・・
16:10~17:00 翻訳本の表紙カバーに観る村上春樹/日本イメージ比較
案内人:沼野 充義(東京大学教授)

翻訳本の表紙は、作家のイメージのみならずその国において特定の国がどのようなイメージで捉えられているかを表象します。また、同時に翻訳を行なう国の文化・社会・政治状況を反映することもあるでしょう。
様々な言語ヴァージョンの村上作品の表紙カバーを比較・紹介することにより、春樹以前の日本文学翻訳作品と比べて違いはあるのか、そこにはどのように日本に対するイメージが反映されているのかなど、各国において村上春樹がどのようなイメージで捉えられているのかを探ります。
17:00~18:00 映像世界にみる村上春樹
案内人:四方田 犬彦(明治学院大学教授)

村上春樹作品は、短編を中心にいくつかの作品が日本国内で映画化されています。のみならず、海外においても村上春樹作品に影響を受けたと思われる映画作品が少なからず存在しており、いまや村上ワールドは国境のみならず文学というジャンルを越えて伝播・普及しています。映画のなかの村上ワールドは原作の何を写し撮ることに成功し、どこを表現できていないか。「翻訳」が言語を代えることによる新たな創作という面をもっているのと同様、メディアを代えた映画化によって村上ワールドに新しい豊かさや魅力が生み出されたとしたら、それは何でしょうか。グローバリゼーション、マルチメディアの時代における現代文化の翻訳論を映像という切り口から眺めてみましょう。

ワークショップ

日時: 2006年3月26日(日) 13:00~16:00
会場: 東京大学駒場キャンパス(目黒区駒場3-8-1) アクセス
【ワークショップ1 翻訳論】学際交流ホール
【ワークショップ2 表象論】18号館ホール
*ワークショップ1と2は同時開催。
参加費用: 無料
対象: 文学・翻訳・国際文化交流に関わる実務家・研究者・学生
使用言語: 日本語
内容
ワークショップ1: 翻訳の現場から見る村上ワールドの魅力
案内人:柴田元幸・沼野充義
Erdös Gyorgy(ハンガリー)、Mette Holm(デンマーク)、Jonjon Johana(インドネシア)、Tomas Jurkovic(チェコ)、Ika Kaminka(ノルウェー)、Dmitry Kovalenin(ロシア)、頼 明珠(台湾)、Serguei Logatchev(ロシア)、Jay Rubin(米国)、葉 蕙(マレーシア)

村上春樹作品を題材にして、特定の文章の翻訳比較を試みたり、具体的なテキストの翻訳についての技術的な問題を考えたりするほか、村上春樹を翻訳することの楽しさがどの辺りにあるのかを各国の翻訳者から聞いてみたいと思います。
日本語で書かれた文学を翻訳者が自分の言語に翻訳し、それをさらに読者が自分の言葉で翻訳・解釈するというプロセスを通じて、ますます豊かさと面白さを増している村上春樹文学を味わいます。
ワークショップ2: グローバリゼーションのなかの村上文学と日本表象
案内人:四方田 犬彦藤井 省三
Corinne Atlan(フランス)、Angel Bojadsen(ブラジル)、Ted Goossen(カナダ)、Uwe Hohmann(ドイツ)、金 春美(韓国)、梁 秉鈞(香港)、Ivan Logatchev(ロシア)、Anna Zielinska-Elliott(ポーランド)、
Alfred Birnbaum(米国)
グローバリゼーションのなかの文化表象論の視点から、現在の世界を舞台にした春樹ブームを検証します。村上春樹より前の世代の日本の作家に対して、海外の読者は異国情緒や非西洋的価値を求める傾向が少なからずありましたが、他方、村上を日本文学とみなす傾向はあまり見られないように思われます。
村上春樹作品は日本文学として読まれているのか?それとも日本という特定の文化的範疇を超えたコスモポリタンな文学として認識されているのか?受け入れ側の社会状況は、村上作品の受容にとってどの程度影響を与えているのか?各国での読まれ方の比較検証を通じて、村上文学の海外受容の傾向を浮き彫りにしたいと思います。

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