第9回 日中韓文化交流フォーラム 新潟・佐渡 概要報告

2005年から日本、中国、韓国の3ヶ国持ち回りで毎年開かれてきた「日中韓文化交流フォーラム」は、今回で9回目を迎え、日本国内での開催は東京都、奈良県に次いで3回目となり、今回は新潟県(新潟市及び佐渡市)で開催しました。今回の会議では「地域文化と国際交流の促進」をテーマに日中韓三カ国での取り組みについて話し合われました。

本会議概要

本会議写真
地域文化振興と国際交流について意見交換が行われた本会議

小倉和夫議長(日本)は、十日町・津南地域で開催される「大地の芸術祭」と、佐渡市の和太鼓集団「鼓童」が地元で開く「アースセレブレーション」を紹介し、これらは外国人アーティストや観光客との交流が活発に行われた国際交流の成功事例であるとともに、地域の独自性を活かしながら住民を巻き込んで地域の活性化につなげた成功事例だと述べました。

また、佐渡市出身の宮田亮平委員(日本)は、「家業」である蝋型鋳金や島内に点在する能舞台の存在に触れ、「金山が佐渡にあった意義は大きい。当時は(幕府直轄の)天領で文化、経済、行政がうまく回り、民衆が文化をたしなむ心の幅の広さもあった」と話しました。

劉徳有委員長(中国)は、昨今悪化している日中関係などを念頭に、「厳しい情勢だからこそ、三国間で文化交流を強めて猜疑心を解消すべきだ。独特の魅力があるアジア文化を世界に発信することは、世界の安定や平和にも重要」と主張しました。

鄭求宗委員長(韓国)は「三ヵ国は翻訳や演出などで作家間の交流もあり、国境を超えたコミュニケーションができている」と強調し、互いの理解を深めるため、地方都市での青少年ホームステイ事業を提案しました。
会議の最後には、小倉議長による下記のような新潟声明が採択されました。

第9回日中韓文化交流フォーラム 新潟・佐渡
議長声明(新潟声明)
2013年11月15日

第9回日中韓文化交流フォーラムの参加者は、このフォーラムの過去8年にわたる対話と活動を回顧し、こうした対話と活動が今後も継続されることが、東アジアの文化交流、ひいては国民レベルの友好関係の増進に寄与することを、改めて再確認した。

とりわけ、東アジアにおいて、ときとして政治的・外交的緊張や摩擦が生じる際に、文化面の交流を継続することによって、相互理解を深めることが重要であることについて認識を共有した。

また、地方における文化振興活動において、国際交流が大きな意味を持つことについて意見の一致を見た。この点と関連して、佐渡島を含む地元新潟県を中心に行われている国際的芸術祭や美術展について、今後の更なる発展への希望と期待が、多くの参加者から寄せられた。同じく、中国・韓国の各地方で行われている、地方振興と国際文化交流を組み合わせた事業の今後の発展についても、支持と期待が表明された。

次回会合は、2014年の適当な時期に韓国で行うことについて同意された。

以上

佐渡市での交流会について

佐渡市では金井能楽堂で佐渡市民の皆さんとの交流会が行われ、佐渡の伝統芸能・鬼太鼓や能の披露とともに、佐渡市立相川小学校の児童らによる3ヵ国共通曲「わたしは未来」の合唱が披露されました。

この「わたしは未来」という曲は、昨年(2012年)に中国で開催された第8回日中韓文化交流フォーラムで、東京芸術大学長である宮田委員が共通の歌詞を3ヵ国の言葉に訳した歌を創作することを約束したことから始まり、同大の松下功教授が作曲、作家の夢枕獏さんが作詞を手掛けて実現したものです。会場では、「何があるのかわからないけど はらはら どきどき ゆこう」などと、自分たちの未来に期待を持ち、国境を超えて夢を叶えてほしいという願いが込められた歌詞を、相川小学校の6年生20人が明るい曲調のメロディーで元気よく歌いました。

劉徳有委員長(中国)は「歌を通じて交流の輪が広がり、平和の輪が築かれることを期待したいと述べ、鄭求宗委員長(韓国)は「曲も歌詞も美しくて素晴らしい。ぜひ3ヵ国の子どもたちに歌ってもらいたい」と話し、それぞれの国の言葉に翻訳された歌詞が書かれた楽譜を受け取りました。

三カ国語で挨拶する児童ら
相川小児童による3ヵ国共通曲の披露。歌に先立ち、三カ国語で挨拶する児童ら

佐渡の伝統文化・鬼太鼓の披露
小倉地区こども鬼太鼓育成会による佐渡の伝統文化・鬼太鼓の披露。一生懸命踊る可愛い小学生の鬼太鼓

能の披露
佐渡高校の学生による能の披露。プロ顔負けの迫力満点の舞

各地訪問の様子

歓迎晩餐会で歓談する委員
新潟市内での歓迎晩餐会で歓談する委員(左から、泉田裕彦・新潟県知事、宮田委員(日本)、小倉委員長(日本)、劉徳有委員長(中国))

「佐渡おけさ」を披露
佐渡では地元出身の宮田委員(日本)自らが、伝統民謡の「佐渡おけさ」を披露

トキのモニュメントを見学
佐渡・両津港のトキのモニュメントを見学(左から、袁敏道委員(中国)、馮佐庫委員(中国)、鄭求宗委員長(韓国)、劉德有委員長(中国))

大膳神社能舞台を見学
宝生流の太夫家から選ばれた国仲四所の御能場の一つとして、古くから演能が行われている由緒ある能舞台、大膳神社能舞台を見学

日中韓の委員長が3カ国の友好を願い、俳句・漢詩・詩の形で発表
フォーラムの終わりに日中韓の委員長が3カ国の友好を願い、俳句・漢詩・詩の形で発表

「写真:仙波志郎」

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