アルメニア(2016年度)

日本語教育 国・地域別情報

2015年度日本語教育機関調査結果

機関数 教師数 学習者数
9 23 235
学習者数 内訳
教育段階 学習者数 割合
初等教育 8 3.4%
中等教育 20 8.5%
高等教育 135 57.4%
その他 教育機関 72 30.6%
合計 235 100.0%

(注) 2015年度日本語教育機関調査は、2015年5月~2016年4月に国際交流基金が実施した調査です。また、調査対象となった機関の中から、回答のあった機関の結果を取りまとめたものです。そのため、当ページの文中の数値とは異なる場合があります。

日本語教育の実施状況

全体的状況

沿革

 アルメニア高等教育における本格的な日本語教育は、1992年私立エレバン人文大学での日本語専攻の開設により始まった。2009年にロシア・アルメニア(スラヴォニク)大学が、2010年にはエレバン国立言語大学が選択科目としての日本語教育を開始した。2012年、エレバン人文大学が廃校となったが、エレバン国立大学が2014年9月より第2外国語としての日本語教育を開始したことにより、現在日本語を教える高等教育機関は3校となっている。毎年秋にモスクワで行われるモスクワ国際学生日本語弁論大会やロシア・CIS日本語教師会総会等にも積極的に参加者を出すなど、首都エレバンの日本語教師たちは地道な活動を続けている。

背景

 ロシア語やその他欧米の文化の人気が高く、日本から地理的に遠いこともあり、日本語教育の歴史は浅く、学習者も少数。しかし、最近ではアニメやドラマなどの影響で、日本語に関心を持つ若者が増えている。

特徴

 日本語教育は日本大使館の開設やロシアにおける日本語教育の状況を受けて、着実な発展を続けている。また、日本の大学との交流を活性化することで教育の質を高めつつある。

最新動向

 国際交流基金プログラムによるアルメニア人日本語教師の訪日研修や、派遣専門家巡回セミナー等の支援が行われているが、日本人日本語教師の不足、アルメニア人教師の日本語能力の向上といった従来からの問題は未だ解決されていない。また、近年特に高等教育における日本語教育への関心が高まりと合わせて、日本語学習者は徐々に増加しつつある。
 2014年9月より、エレバン国立大学の国際関係学部において第2外国語として日本語のクラスが開講されたほか、ロシア・アルメニア(スラヴォニク)大学の付属リツェイでも2014年9月より日本語講座が開講されている。また、ギュムリ大学付属高等学校においても2015年10月より日本語講座が開講され、2016年9月からはギュムリ教育大学へ移して継続されている。
 アルメニアでは毎年弁論大会が開始されているが、2015年から大使杯が授与され、国際交流基金の助成対象としても認定された。さらに、2016年12月に日本語能力試験が実施された。
 また、2015年からスラヴォニク大学が「さくらネットワーク」機関として認定されており、これらの日本の支援を通じて、今後一層学習者の増加が期待されている。

教育段階別の状況

初等教育

 (【中等教育】参照のこと)

中等教育

 ロシア・アルメニア(スラヴォニク)大学の付属リツェイで2014年9月より日本語講座が開講された。また、ギュムリ大学付属高等学校においても、2015年10月より日本語講座が開講され、2016年9月からはギュムリ教育大学へ移して継続されている。

高等教育

 現在日本語教育を行っている高等教育機関は、ロシア・アルメニア(スラヴォニク)大学(アルメニア人教師3名、日本語教師1名(ボランティア)、日本語学習者約37名)、エレバン国立言語大学(日本人教師1名、日本語学習者約28名)、エレバン国立大学(日本人教師1名、アルメニア人教師1名、日本語学習者約45名)である。
 スラヴォニク大学では、筑波大学、山形大学と学生交換協力の協定があり、この制度を利用して日本で学ぶ機会を得る生徒が少しづつ増えている。
 留学に関しては、文科省プログラムを利用して留学するパターンがほとんどである。

その他教育機関

 2009年にNPOとして認定されたアルメニア-日本学術教育文化センター「ひかり」センター(日本人教師1名、日本語学習者約20名)、2014年に日本語教育を目的として設立した「いろは」センター(日本人教師2名、日本語学習者約50名)が、日本語教育や日本文化紹介などの活動を行っている。

教育制度と外国語教育

教育制度

教育制度

 初等・中等教育は4-5-3制。
 アルメニア教育科学省の基準としては旧ソ連時代からの10年制学校教育制度が維持されていたが、2006年に11年制へ移行した。11学年のうち、第1~4学年が初等教育、第5~8学年が前期中等教育、第9~11学年が後期中等教育にあたる。第9~11学年は高等教育を希望する者が進学する。義務教育課程は第1学年から第8学年までである。
 さらに、2007~2008年に再度学校教育制度の改革を行い、子供は6歳から学校に通い始めることになり、アルメニアの初等・中等教育は、小学校4年、中学校5年、高等学校3年が基本の型になりつつある。したがって、義務教育は9年間である。
 高等教育については、多くの高等教育機関では旧ソ連の高等教育システムと同じく5年制の大学教育課程を設けている。しかし、日本や米国のように4年間の学部教育課程、2年間の高等専門教育課程を備えた6年制への移行が進みつつある。

教育行政

 初等、中等、高等教育機関のほとんどが教育省の管轄下にある。

言語事情

 公用語はアルメニア語。

外国語教育

 外国語教育は初等教育で開始される。第2学年よりロシア語(必修)教育が開始され、第3学年より、さらに1言語を学習する。英語が大部分で、そのほかにドイツ語、フランス語などがある。
 高等教育での外国語教育は専攻・教育機関により異なり、統一された基準等はない。

外国語の中での日本語の人気

 ロシア語・英語・フランス語・ドイツ語など欧米の言語が人気であり、アジア圏の言語としては中国語の学習者数が最も多いが、日本語の人気も比較的高い。

大学入試での日本語の扱い

 大学入試で日本語は扱われていない。

学習環境

教材

初等教育

 『みえこさんの日本語』シリーズ(2007-2013年)MIEF(Mie International Exchange Foundation)出版
 『「まるごと」りかい、「まるごと」かつどう』、入門A1(2013年)三修社

中等教育

 『みんなの日本語』スリーエーネットワーク(スリーエーネットワーク)

高等教育

 主に使用されている教科書は次のとおり。
 『みんなの日本語』(前出)
 『初級日本語』東京外国語大学留学生日本語教育センター(凡人社)
 『初心者の為の日本語』1、2 L.T.ネチャエワ著(1999)モスクワ、ブックビッツァ出版
 『中級における和露・露和通訳』M.A.ミーシナ著(1995)モスクワ、トリヴォーラ出版
 『Japanese for busy people Ⅰ、Ⅱ』国際日本語普及協会(講談社USA
 『An Integrated Approach to Intermediate Japanese』(2008年) コンテンツ
 『漢字マスター』シリーズ N5-N1 (2011)、三修社
 『文法スピードマスター』シリーズN5-N1 (2010)(2011)、Jリサーチ出版

その他教育機関

 『BASIC KANJI BOOK VOL1、2』加納千恵子ほか(凡人社)
 『毎日の聞取り50日 VOL1、2』宮城幸枝他(凡人社)
 『エリンが挑戦!日本語できます。VOL1、2、3』国際交流基金日本語国際センター(凡人社)
 『新日本語の中級会話DVD』海外技術者研修協会(スリーエーネットワーク)
 『J BRIDGE VOL1』小山悟(凡人社)
 『日本語の文法』高橋太郎他(ひつじ書房)
 『にほんご90日 1、2、3』ヒューマンアカデミー教材開発室(ユニコム)
 『みんなの日本語1、2』(前出)
 『日本語初歩』国際交流基金日本語国際センター(凡人社)

マルチメディア・コンピューター

 日本語教育の現場ではマルチメディア・コンピューターは使用されていない。

教師

資格要件

初等教育

 特に定められていない。

中等教育

 特に定められていない。

高等教育

 特に定められていない。

その他教育機関

 特に定められていない。

日本語教師養成機関(プログラム)

 存在しない。

日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割

 エレバン国立大学、エレバン国立言語大学 - 1名
 ロシア・アルメニア大学 - 1名(ボランティア)
 「いろは」センター - 2名
 「ひかり」センター - 1名

日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割

 国際交流基金による派遣専門家巡回セミナー、日本語教師訪日研修がある。

現職教師研修プログラム(一覧)

教師会

日本語教育関係のネットワークの状況

 アルメニア日本語教師会が2012年に結成された。

最新動向

 2016年度はアルメニアで弁論大会はアルメニア日本語教師会の主催で、また国際交流基金の支援も受けて行われた。

日本語教師派遣情報

国際交流基金からの派遣

国際協力機構(JICA)からの派遣

 国際交流基金、JICAからの派遣は行われていない。

その他からの派遣

 (情報なし)

日本語教育略史

1992年 エレバン人文大学で日本語専攻開設
2009年 ロシア・アルメニア(スラヴォニク)大学が選択科目として日本語教育を開始
2010年 エレバン国立言語大学で選択科目として日本語教育を開始
2012年 エレバン人文大学が廃校
2013年 アルメニア-日本学術教育文化センター「ひかり」で日本語講座が開講
2014年 エレバン国立大学が第2外国語として日本語教育を開始予定
ロシア・アルメニア(スラヴォニク)大学の付属リツェイで日本語講座が開講
アルメニア・日本教育・文化交流センター「いろは」で日本語講座が開講
2015年 ギュムリ教育大学付属高校で日本語講座開設(2016年9月よりギュムリ教育大学に移して継続)
2016年 ロシア・アルメニア(スラヴォニク)大学が「さくらネットワーク」機関に認定

参考文献一覧

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