ボスニア・ヘルツェゴビナ(2016年度)

日本語教育 国・地域別情報

2015年度日本語教育機関調査結果

機関数 教師数 学習者数
初等教育 中等教育 高等教育 その他
教育機関
合計
2 2 0 13 75 0 88
0.0% 14.8% 85.2% 0.0% 100.0%

(注) 2015年度日本語教育機関調査は、2015年5月~2016年4月に国際交流基金が実施した調査です。また、調査対象となった機関の中から、回答のあった機関の結果を取りまとめたものです。そのため、当ページの文中の数値とは異なる場合があります。

日本語教育の実施状況

全体的状況

沿革

 2000年以降一部の都市において日本語クラスがあったが、2012年時点ではバニャ・ルカのNGOが一般市民向けに行っている日本語教室が唯一の日本語教育機関であった。
 バニャ・ルカ市のNGO「マルコ・ポーロ」では、2004年9月からボランティアの日本人講師を迎え、初心者向けの日本語クラスを開催した。同日本人ボランティアは、2007年6月までの間に年に3~4回バニャ・ルカ市を訪れ、日本語コースを集中的に2~3週間実施、日本帰国中はEメールを通して継続的に指導を実施した。2007年10月からは同市在住の元国費留学生が同クラスを引き継ぎ、引き継ぎ当初は初級クラス及び中級クラスに分かれてそれぞれ週に1回だったクラスを2008年2月に統一し、すべての学習者が週に2回学べるように編成し直した。同クラスは2009年5月まで続いていたが、学校側の都合により一時中断され、同年秋からはベオグラード大学日本語学科卒業生を講師として迎え、初級クラスを再開している。
 また、「BH-日本友好協会」においても、日本人留学生及び2006年に帰国した元国費留学生を講師として迎え、以前から開講されていた中級クラスに加え、初級クラスを2006年12月より開講し、週に1回ずつ授業を行っていたが、講師の都合により一時中断。2009年4月より、週2回初心者向けのクラスを3か月限定で2回実施したが、2010年以降は講師の都合により再開の目処は立っていない。
 2013年10月にサラエボ大学に非正規講座ではあるものの日本語講座が開設され、現在はバニャ・ルカ市の日本語教室と合わせ2か所で日本語教育が行われている。2015年にサラエボ大学は国際交流基金のさくらネットワークのメンバーとなった。いずれにしても、日本語学習希望者が多数いるにもかかわらず、日本語教師が絶対的に不足しており、学習者の要望に十分応えられない状況が続いている。

背景

 ボスニア・ヘルツェゴビナにおける日本の経済協力を背景に、日本文化への関心の高さが、日本語学習の動機付けとなっていると思われる。また、マンガ、アニメ、ゲームなどの影響から若い世代には、独学で日本語を学習しているものも多く、日本語学習への関心は極めて高い。

特徴

 日本・日本文化とともに日本語に対する関心は高く、若者を中心に日本語学習を希望する者も多い。しかしながら、ボスニア・ヘルツェゴビナの日本語教育環境は未だほとんど整備されておらず、国内各地において日本語講座の開設が望まれているものの、圧倒的な教師不足により開講できなかったり、休講に追い込まれたりしている。

最新動向

 2013年10月、首都のサラエボ大学において、非正規ながら日本語講座が開設された。60名の定員に対し214名の申請があり、日本語学習への関心の高さがうかがわれた。2016年現在、同講座は同大学哲学部において継続しており、毎年レベルの向上が期待されている。

教育段階別の状況

初等教育

 日本語教育は実施されていない。

中等教育

 バニャ・ルカ市のギムナジウム(高校)において、2014年から課外講座ながらも民間企業等の資金援助を得て、日本人教師による日本語講座が開設されており、資金不足に悩むながらも現在も約40名程の高校生が日本語を学んでいる。バニャ・ルカ市は当国第二の都市のみならず、ひとつのエンティティであるスルプスカ共和国の首都として政治的な拠点であり、同地における日本語教育の普及はサラエボ同様に重要であるところ、国際交流基金の助成を得て、ぜひ同講座の継続、発展が望まれる。
 また、過去にはデルベンタ市のギムナジウム(高校)において、2000年3月にボランティア・ベースの日本語教室が開講され、日本に滞在経験のある教師が、課外活動として日本語を指導していたが、2007年度より担当者が多忙のため休講している。開講時は、毎年10~15名程度の生徒が日本語を学習しており、ベオグラード大学(セルビア)の日本語学科に進学した受講者も数名いた。

高等教育

 2013年10月、非正規講座ではあるが、サラエボ大学において日本語講座が開設され、現在も活発な授業が行われている。

その他教育機関

 在ボスニア・ヘルツェゴビナ日本国大使館(サラエボ市)において、2000年より現地職員による無料の初心者向け日本語教室を開催し、2006年12月以降は、「BH-日本友好協会」の下、元国費留学生及び日本人留学生のボランティア講師を新しく迎え、講師の都合に合わせ日本語教室を開催してきたが、2013年現在は再開の目処が立っていない。なお、受講者は主に学生であり、受講者数は20名程度であった。
 また、バニャ・ルカ市のNGO「マルコ・ポーロ」において、2004年9月より現在まで、ボランティア講師(定期的に同市を訪れる日本人や元国費留学生)により日本語教室が開催されてきた。現在は、ベオグラード大学日本語学科卒業生が講師を務めている。
 更に、2003年9月に、ビエリナ市の外国語学校においてベオグラード大学日本語学科を卒業した講師による初心者のための日本語コースが開講されたが、2008年夏以降は講師の確保が困難となり、再開の見通しは立っていない。

教育制度と外国語教育

教育制度

教育制度

 9-3(4)-3制
 ボスニア・ヘルツェゴビナは、ムスリム系及びクロアチア系住民が中心の「ボスニア・ヘルツェゴビナ連邦」(Federation of Bosnia Herzegovina)及びセルビア系住民が中心の「スルプスカ共和国」(RS: Republic of Srpska)の2つのエンティティー(構成体)から構成されており、高度に分権化されている。教育行政についても基本的には各エンティティーの自治に拠っている。

プレ・スクール(1年間)
初等教育:義務教育(9年間、6~14歳)
中等教育:専門学校(3年間) 進学予備学校(4年間)
高等教育:学士(3年以上) 修士(2年) 博士(3年)

教育行政

 国、エンティティー(構成体。「連邦」及び「RS」。)、ブルチュコ市(いずれのエンティティーにも属さない特別区)、及びカントン(県)レベルでの行政体がある。国レベルでは、民生省(Ministry of Civil Affairs)が統括を行っているが、民族紛争後の複雑な政治体制の下、2つのエンティティーが強い権限を持ち、中央政府の権限は小さい。

言語事情

 セルビア語、ボスニア語及びクロアチア語が憲法で公用語とされている。旧ユーゴ時代は、これらの言語は「セルボ・クロアチア語」と呼ばれていた。セルビア語はキリル文字表記が多い。

外国語教育

 英語は初等教育第1学年(6歳)より必修科目。第二外国語としてフランス語またはドイツ語を第5学年(10歳)より、選択履修。

外国語の中での日本語の人気

 初等教育で履修する外国語(英語、フランス語、ドイツ語)を除けば、当地で学習可能な言語はイタリア語、スペイン語、ロシア語、トルコ語、アラブ語、ペルシャ語などである。これらの言語は大学で履修可能であるため、これらの言語と比較すると日本語学習者の数は少ないが、サラエボ大学における日本語講座開設時には、200名以上の応募があり、一部学生や一般市民の間で日本語学習に対する関心の高い層が存在する。また、サラエボ大学で日本語講座を開始した際、すでに独学で日本語を学習し、それなりのレベルにある者もいたことを踏まえれば、独学者も相当数あると思われる。

大学入試での日本語の扱い

 大学入試で日本語は扱われていない。

学習環境

教材

初等教育

 日本語教育は実施されていない。

中等教育

 日本語教育は実施されていない。

高等教育

 (詳細不明)

その他教育機関

 初級教材として『げんき 第二版』(坂野永理ほか、1999、The Japan Times)シリーズ、中級教材として『中級から学ぶ日本語 三訂版』(松田浩志ほか、2014、研究者)シリーズを主教材として(いずれも国際交流基金より寄贈)、また、副教材として2013年より国際交流基金から寄贈された日本語教材を多数用いている。

マルチメディア・コンピューター

 サラエボ大学日本語講座では2014年から授業内でプロジェクターを用いてPPTを活用している。

教師

資格要件

初等教育

 日本語教育は実施されていない。

中等教育

 日本語教育は実施されていない。

高等教育

 (詳細不明)

その他教育機関

 統一の資格要件は特に無し
 サラエボ市:サラエボ大学日本語講座では教員資格のある外交官夫人が教えている。
 バニャ・ルカ市:元国費留学生が教えている。

日本語教師養成機関(プログラム)

 日本語教師養成を行っている機関、プログラムはない。

日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割

 日本語ネイティブ教師1名(サラエボ大学)が教師として1年契約を結んでいる。同教師は日本語講座の指導を一任されている。

教師研修

 2016年度より国際交流基金「中東欧日本語教育プラットフォーム」、ベオクラード大学による「セルビア日本語教師会」に参加。学会参加、情報交換等行っている。

現職教師研修プログラム(一覧)

 特になし

教師会

日本語教育関係のネットワークの状況

 日本語教育関係のネットワークはない。

最新動向

 特になし

日本語教師派遣情報

国際交流基金からの派遣

国際協力機構(JICA)からの派遣

 国際交流基金、JICAからの派遣は行われていない。

その他からの派遣

 (情報なし)

日本語教育略史

2000年 デルベンタ市のギムナジウムにてボランティアによる日本語教室開講(休講中)
在ボスニア・ヘルツェゴビナ日本大使館にて日本語教室を開講(休講中)
2003年 ビエリナ市の外国語学校にて初心者のための日本語教室開講(休講中)
2004年 バニャ・ルカ市のNGO「マルコ・ポーロ」にて、初心者向けの日本語教室を開講
2006年 在ボスニア・ヘルツェゴビナ日本大使館に代わり「BH-日本友好協会」の下、初級クラス開講(休講中)
2013年 サラエボ大学非正規講座として日本語講座開講
2015年 サラエボ大学がさくらネットワークのメンバーとなる

参考文献一覧

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