コスタリカ(2016年度)

日本語教育 国・地域別情報

2015年度日本語教育機関調査結果

機関数 教師数 学習者数
初等教育 中等教育 高等教育 その他
教育機関
合計
8 26 40 36 220 226 522
7.7% 6.9% 42.1% 43.3% 100.0%

(注) 2015年度日本語教育機関調査は、2015年5月~2016年4月に国際交流基金が実施した調査です。また、調査対象となった機関の中から、回答のあった機関の結果を取りまとめたものです。そのため、当ページの文中の数値とは異なる場合があります。

日本語教育の実施状況

全体的状況

沿革

 コスタリカの日本語教育は、1978年、コスタリカ大学(本校:モンテス・デ・オカ市)における日本語の選択第二外国語としての導入をもってスタートした(同時に、この日本語講座へのJICA青年海外協力隊派遣が開始された)。非営利団体(2009年よりコスタリカ日本人会)が運営する「日本文化教室(旧日本文化センター)」でもこの頃から日本語講座を開講した。なお、同日本語文化教室は、2014年に私立の語学学校「日本文化センター」として独立し、現在に至っている。
 1990年代前半にはコスタリカ大学日本語講座の授業数が増える一方、コスタリカ大学と並びコスタリカの二大国立大学と称されるナショナル大学(エレディア市)の文学言語学部に対しても青年海外協力隊日本語教師の派遣が始まり、1988年に第二外国語としての日本語講座が設置された。1998年にはコスタリカ大学オクシデンテ校(アラフエラ県サンラモン市)に対する青年海外協力隊日本語教師の派遣が開始され、それまで首都圏のみで行われていた日本語教育の地方展開の皮切りとなった。
 この他、1992年に幼稚園から高校まで一貫教育を実施しているラ・グラン・エスペランサ学院(サンタバルバラ市)で日本語が必須科目として採用された。
 最近では、コスタリカ大学本校、ナショナル大学、コスタリカ大学オクシデンテ校で社会人向け講座が開かれている他、私立語学学校でも日本語を取り入れるところが出てきており、2009年にCIDI(Centro Internacional de Idiomas、サンホセ市)、2011年にNLA(New Language Academy、モラビア市)で日本語講座が開講された。さらに2013年には、Casa Manga (モンテス・デ・オカ市)でも日本語が教えられるようになった。

背景

 日本とは地理的に遠く、経済的影響が少しあった程度であり、日本語への関心が必ずしも高くなかった過去があるが、現在は特に日本文化を通して日本語への関心が高まっている。また、前政権(2010年5月)以降アジア太平洋諸国との関係強化を重要視しており、従来の英語、フランス語、ドイツ語などの西洋諸国の言語のみではなく、日本語、中国語、韓国語を中心としたアジア諸国の言語の普及にも関心が高まってきている。

特徴

 コスタリカにおける日本語教育の特徴として、「異文化・異言語への興味」から学習を始めた者、日本への留学希望等の理由により学習を始めた者がいる一方、若い層を中心に、ポップカルチャー(特にアニメ・マンガ)を中心とする日本文化への興味から、マンガや日本のポピュラーソングを日本語で読みたい、あるいは、歌いたいといった動機から日本語を学び始める学生が多い点が挙げられる。
 学習レベルは未だ発展途上段階にあり、複数のレベル設定を行っている学習機関の中上級相当コースでも実用水準へ到達するのは難しく、それ以上のレベルを求める者は、個人レッスンを受けるしかないのが現状。しかしながら、2015年から中米カリブ地域で初めてコスタリカで実施した国際交流基金・日本語能力試験の開催や同年開催した中米・カリブ地域日本語スピーチコンテスト等の実施もあり、コスタリカ人の日本語に対する関心向上や、2015年及び2016年に当地で中米・カリブ日本語教育セミナーを開催したことにより、当地での日本語教師のレベルが向上し、教師数も増加したことに伴い、日本語学習者数も増加傾向にあり、現在は年間平均学習者数が600名を超えている。

最新動向

 2015年はコスタリカにおける日本語教育に大きな変革をもたらした年であった。当国における日本語教育の総本山とも言うべき、コスタリカ日本語教師会が、国際交流基金から当国における日本語教育拠点としての認定を受け、さくらネットワークに加盟した。
 同年8月には同教師会が中心となって中米カリブ地域の枠組みで初めて中米カリブ地域日本語スピーチコンテストを実施。このコンテストの開催は、この地域における日本語学習者の学習意欲の向上と日本語学習の質の向上に多大に貢献することとなった。
 また、同年12月には当国の日本語教育における長年の夢であり、希望でもあった国際交流基金・日本語能力試験を中米カリブ地域ではじめて開催した。応募者数は当初の見込みを大幅に上回る137名が受験し、そのうちの70.8%の受験者が合格した。この合格率は、世界の平均合格率(38.7%)を大幅に上回るもので、これについてはコスタリカ日本語教師会が日頃から当国における日本語教育に真摯に向き合い、日本語学習者への適切な指導と助言を行っている証左である。同能力試験については2016年も実施するが、応募者は2015年の18.3%増の181名となり、今後も増加することが期待されている。
 なお、現在では、日本語講座が開講されていないコスタリカ工科大学(TEC)、コスタリカ技術大学(UTN)、コスタリカ遠隔大学(UNED)、ラティーナ大学(ULATINA)他から日本語講座開講希望が当館に寄せられているが、日本語教師の供給が追いついていないのが現状である。このような状況を踏まえ、日本大使館とコスタリカ日本語教師会は、コスタリカ人日本語教師及びアシスタントの育成並びに質の向上に取り組んでいくことを、喫緊の課題の一つとしている。

教育段階別の状況

初等教育

 (下記【中等教育】を参照のこと。)

中等教育

 初等・中等教育段階で日本語教育を行っているのは、就学前教育から中等教育までを一貫して行う私立のラ・グラン・エスペランサ学院(Colegio La Gran Esperanza:サンタバルバラ市)のみである。同校は、元コスタリカ在住の日本人が1992年に創立した教育機関で、必修外国語として週1回日本語の授業を行っている。2016年現在日本語学習者数は約90名、日本語教師数は1名(日本人1名)。

高等教育

 上記【沿革】に記載の通り、コスタリカ大学(モンテス・デ・オカ市の本校及びサンラモン市のオクシデンテ校)並びにナショナル大学(エレディア市)において、それぞれ日本語コースが選択第二外国語として開設されている。コスタリカ大学本校では、日本語学習者数が約90名おり、日本語教師2名(日本人2名)が週2回のクラスを担当している。コスタリカ大学オクシデンテ校では、日本語学習者数が約30名おり、日本語教師1名(日本人1名)がクラスを担当している。ナショナル大学では、日本語学習者数が約100名おり、日本語教師2名(日本人2名)がクラスを担当している。

その他教育機関

 日本文化センターでは、日本語学習者数が約135名おり、日本語教師7名(日本人2名、コスタリカ人5名)が第1レベルから第8レベルまでの日本語を教えている。同日本語講座は一般向けに4か月毎に開講しており、会話クラス、JLPT対策講座等その時の学習者のニーズに合わせたコースを開講している。また、当地日本人会主催の運動会や餅つき大会などに参加し、日本人との交流を図っている。
 コスタリカ大学に一般人向け日本語コースもあり、コスタリカ人日本語教師2名が土曜の会話クラスで約35名の日本語学習者を担当しており、他大学の学生や一般社会人、高校生、中学生まで学習している。
 私立語学学校でも日本語を取り入れるところが出てきており、2009年にCIDICentro Internacional de Idiomas)、2011年にNLANew Language Academy)で日本語講座が開講された(両語学学校共にサンホセ県所在)。CIDIでは、日本語学習者が約16名おり、日本語教師7名(日本人2名、コスタリカ人 5名)が一般クラス(12歳の子供から大人までで、比較的19歳から24歳の学生が多い。)を担当している。NLAでは、日本語学習者が42名おり、日本人日本語教師2名が一般クラスを担当している。個人レッスン(家庭教師)を受ける者もかなりいるようであるが、その数は把握し難い。年齢層は10~20歳代の学生が多いが、20~30歳代の社会人もよく見られる。さらに2013年には、Casa Mangaというメイド喫茶の一角で日本語講座が始まり、現在日本人日本語教師 1名が20名に日本語を教えている。またコスタリカ人の知人が多いコスタリカ人が夫の日本人妻が、自宅で日本語を教え始め、現在はグループレッスンも含め40名以上の生徒が日本語を学習している。

教育制度と外国語教育

教育制度

教育制度

 コスタリカにおける一般的な教育課程は次のとおり。

  • 就学前教育1~3年(教育機関により異なる):~6歳
  • 初等教育(エスクエラ)6年間:7~12歳
  • 中等教育(コレヒオ)5年間(前期3年間、後期2年間):13~17歳
  • 高等教育4~6年間(日本の大学とほぼ同様):18歳~

教育行政

 コスタリカの教育機関は、基本的にすべて教育省(Ministerio de Educacion Publica)の管轄。但し、高等教育については、直接的には国家大学学長審議会(Consejo Nacional de Rectores)が監督の任に当たる。

言語事情

 公用語、国語ともスペイン語。但し、カリブ海岸リモン地方においてはパトゥア(一種のクレオール英語)、国内各地の先住民居住区ではそれぞれの民族語も使用されており、現在、ブリブリ、カベカル、グアイミ及びマレクの各先住民言語が使用されている。それらの各言語については、先住民居住区の初等教育学校で、言語及び文化に関する講座が開講されている他、ブリブリ語及びマレク語については、コスタリカ大学本部校文学哲学部言語学科で、大学生及び一般向けの語学講座が開講されている。

外国語教育

 初等教育においては、従来国語(スペイン語)のみの教育が一般的であったが、最近では英語の授業を取り入れる学校も増加している。中等教育以降においては、英語が必須科目。第二外国語を取り入れる中等教育機関も増えている。第二外国語ではフランス語を学ぶのが一般的である。私立学校は学校によって学習開始時期、学習言語が異なるが、ほとんどの学校が初等教育から英語を必須科目としている。
 この他の外国語としては、国立大学の公開講座を中心にドイツ語、イタリア語、ポルトガル語、中国語、韓国語、ロシア語、アラビア語の語学講座が開講されている。特に、中国語は、2009年8月に当地コスタリカ大学内に孔子学院が開設されてから、ナショナル大学(UNA)、国立技術大学(UTN)や国立遠隔大学(UNED)などでも公開講座として中国語の語学講座が開講された他、民間の語学学校などで中国語の語学講座が開講され、学習者数は把握できていないものの、相当数のコスタリカ人が中国語を学習しているとされる。また、韓国語は、2010年2月にナショナル大学(UNA)で韓国語講座が開講され、現在約75名の学生と4名の教師がおり、2013年にコスタリカ大学で韓国語講座が開講され、現在約60名の学生と2名の教師(韓国国際交流財団から派遣)がいる。

大学入試での日本語の扱い

 大学入試で日本語は扱われていない。

学習環境

教材

初等教育

 (下記【中等教育】を参照のこと。)

中等教育

 日本で出版された教材が使用されている他、独自の教材(教師自作教材等)が用いられている。

高等教育

 シニア海外ボランティア日本語教師が独自に作成した教材が、コスタリカ大学とナショナル大学にて用いられている。

その他教育機関

 日本で出版された教材が使用されている他、独自の教材(教師自作教材等)が用いられている。

マルチメディア・コンピューター

 徐々に広まってきているものの、未だ広汎な使用は行われていない状況。

教師

資格要件

初等教育

 (下記【中等教育】を参照のこと。)

中等教育

 日本語教師としての特段の資格要件はないが、言語のみならず、日本文化・日本事情についても幅広い知識と教授能力が要請されることが多い。

高等教育

 日本語教師としての特段の資格要件はないが、言語のみならず、日本文化・日本事情についても幅広い知識と教授能力が要請されることが多い。

その他教育機関

 

日本語教師養成機関(プログラム)

 日本語教師養成を行っている機関、プログラムはない。

日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割

 コスタリカ大学本校、ナショナル大学及びコスタリカ大学オクシデンテ校では青年海外協力隊員が日本語クラスを担当している。その他機関においても、一般に日本人が授業を担当しているが、最近ではコスタリカ人教師・アシスタントが育成されつつあり、徐々にコスタリカ人教師が日本語講座を担当する例が見られるようになった。

教師研修

 現職の日本語教師対象の研修はない。

教師会

日本語教育関係のネットワークの状況

 2007年2月に「コスタリカ日本語教師の会」発足。毎月1回日本語教師会定例会を開催。同定例会には日本大使館広報文化担当官も出席し、日本語学習に関する情報交換や勉強会、また、日本語教育セミナー、日本語弁論大会、日本語能力試験等に関する企画・運営等に関する意見交換等も行っている。
 2009年9月、コスタリカ日本語教師会が中心となって、中米・カリブ地域における日本語能力と日本語教育能力の向上及び同地域における日本語教師間の交流の場として、中米・カリブ日本語教育ネットワークが設立された。同ネットワークでは毎年中米カリブ日本語教育セミナーを開催している他、昨年8月には第1回中米カリブ地域日本語スピーチコンテストを開催した。今年、8月に開催された第8回中米カリブ日本語教育セミナーには14カ国68名の日本語教育関係者が参加。中南米地域における最大に日本語教育ネットワークとなっている。

日本語教師派遣情報

国際交流基金からの派遣

 なし

国際協力機構(JICA)からの派遣(2016年10月現在)

青年海外協力隊

 国立コスタリカ大学 文学部現代言語学科 1名
 国立ナショナル大学文学哲学学部文学言語学科 1名

シニア海外ボランティア

 国立コスタリカ大学 文学部現代言語学科 1名
 国立ナショナル大学文学哲学学部文学言語学科 1名

その他からの派遣

 (情報なし)

日本語教育略史

1978年 コスタリカ大学で選択第二外国語として日本語を導入
1985年ごろ 日本文化センターで日本語講座開始
1993年 ナショナル大学(エレデゥア市)の文言語学部に青年海外協力隊日本語教師派遣開始
1998年 コスタリカ大学サン・ラモン分校に青年海外協力隊日本語教師派遣開始
コスタリカ大学にて社会人向け日本語講座開始
2000年 第1回日本語弁論大会を日本大使館、コスタリカ日本語教師会及び国際交流基金との共催で開催(以降、2015年を除き同大会を毎年開催)
2002年 コスタリカ工科大学にて社会人向け日本語講座開始
2009年 第1回中米・カリブ日本語教育セミナー開催(於:コスタリカ)
2010年 第2回中米・カリブ日本語教育セミナー開催(於:コスタリカ)
2011年 第3回中米・カリブ日本語教育セミナー開催(於:グアテマラ)
2012年 第4回中米・カリブ日本語教育セミナー開催(於:ドミニカ(共)
2013年 Casa Manga、コスタリカ大学グアピレス校で公開講座開始
Trade Station社で社員向け日本語講座開始
2015年 第7回中米・カリブ日本語教育セミナー開催(於:コスタリカ)
第1回中米・カリブ地域日本語スピーチ・コンテスト開催(於:コスタリカ)
国際交流基金がコスタリカ日本語教師会を当国における日本語教育拠点(さくらネットワーク)に認定
国際交流基金・日本語能力試験の実施(中米・カリブ地域初開催)
2016年 第8回中米・カリブ日本語教育セミナー開催(於:コスタリカ)

参考文献一覧

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