クロアチア(2016年度)

日本語教育 国・地域別情報

2015年度日本語教育機関調査結果

機関数 教師数 学習者数
初等教育 中等教育 高等教育 その他
教育機関
合計
5 11 12 0 126 37 175
6.9% 0.0% 72.0% 21.1% 100.0%

(注) 2015年度日本語教育機関調査は、2015年5月~2016年4月に国際交流基金が実施した調査です。また、調査対象となった機関の中から、回答のあった機関の結果を取りまとめたものです。そのため、当ページの文中の数値とは異なる場合があります。

日本語教育の実施状況

全体的状況

沿革

 旧ユーゴスラビア時代は、首都にあったベオグラード大学にて1976年に日本語講座が開設され、日本語教育が行われていた。その後、1991年に旧ユーゴスラビアからクロアチアが独立し、クロアチアにおいては、1996年頃から首都ザグレブにおいて初等・中等教育が開始された。また、2004年からザグレブ大学哲学部に日本研究コースが開講されたが、学士号・修士号の学位が取れない非正規コースであるため、隣国のセルビア、スロベニアに比べ、高等教育機関での学習者数が少ない。2015年にプーラ大学がクロアチアでは初めて学位の認定される日本学科を開講した。

背景

 クロアチアに進出し日本人駐在員が常駐している日本企業はほとんどなく、就職を目的として日本語を専門的に勉強するケースはほとんどない。しかしながら、クロアチアでは、先端科学技術を有する国として、日本に対する興味・関心を持つ人が多く、対日イメージは良好である。また、1990年代の紛争の戦後復興及び民族和解に貢献するため、日本が草の根・人間の安全保障無償資金協力による地雷除去や学校再建等に対する支援を行ったことも、対日感情の向上に貢献している。
 日本文化として、俳句、生け花、折り紙、柔道、剣道、空手、合気道等が広く受け入れられている。特に、俳句については、首都ザグレブのほか地方約10都市にも俳句愛好会が存在し、日本などで開催される国際俳句コンテストで多数の入賞者を輩出している(これは、クロアチア数学界の第一人者であり、日本研究者及び俳句の愛好家としても名高い、故デヴィデ博士の功績によるものが大きい)。日本食に関しても、「シイタケ」「豆腐」「柿」「大根」など、日本語の言葉が現地でもそのまま使われている他、現地の日本食レストランも人気が高い。
 近年は日本からクロアチアへの観光客が急増していることから、日本語能力のある人材に対する需要は増えつつある。また、クロアチアが観光立国を標榜し、外国語教育に力を入れていることから、初等・中等教育においても、各学校の判断により、日本語教育が独自に行われている場合がある。また、各都市の民間の語学学校でも日本語教育が行われている。

特徴

 クロアチアでは、日本語教育の歴史が浅く、日本語を専門とするクロアチア人研究者が未だ育成段階にあることから、日本語教育は主に日本人講師が中心となって取り組んでいる。また、日本語学習の動機として、日本及び日本文化、または日本語自体に対する興味・関心をあげる者が多いのが特徴である。また、大学における学習者は、アニメやマンガをきっかけに日本語に関心を持った者も多い。

最新動向

 2004年秋に国立のザグレブ大学哲学部に、クロアチア初となる大学における本格的な日本語教育機関である日本研究コースが開講した。現在は、1クラス定員30名の3年間コースとなっている。ただし、学士号・修士号の学位が取得できない非正規コースであるため、当初は日本語に関心を抱いていた学生も、本専攻のコースの学習に時間をとられ、途中で日本語の学習をあきらめるケースも散見される。このような事情を踏まえ、ザグレブ大学哲学部では、日本研究コースを早期に正規化することを目指している。これに加え、2015年にプーラ大学が日本学科を開講し、クロアチアでは初めて学位の認定されるコースとなった。観光に特化した日本語教育を行っており、日本人講師も在籍している。
 また、教師間のネットワークとしては、2008年10月にクロアチア日本語教師会が発足し、現在15名の会員がいる。

教育段階別の状況

初等教育

 小学校・中学校については、英語のみ必修であるが、内陸地方東部にあるスティエパン・ラディチ小学校では、選択科目として日本語も教えられている。

中等教育

 以前、ザグレブ第7高等学校及びザグレブ芸術高等学校において日本語が第二外国語の選択科目として教えられていたが、現在休講中。

高等教育

  1. 1.ザグレブ大学哲学部日本研究コース
     2004年に開講した日本語や日本研究を専門とする定員30名、3年間のコース。2007年に第1期の修了生(約20名)を輩出し、その後も同コースの修了生を継続的に輩出している。しかしながら、同コースは学士号・修士号の取得に直結しない副専攻コースであり、上位20名を除いては、同コース履修のための追加的な授業料を負担する必要があるため、毎年の募集には、定員以上の学生が集まるものの、途中で同コースの履修をあきらめる者が多い。同コース修了時の到達レベルは日本語能力試験N4~N2程度であり、修了後は、国費留学やザグレブ大学と日本の大学との大学間協定等を利用して、日本に留学する学生もいる。
  2. 2.プーラ大学哲学部日本語・文化研究コース
     2015年に開講したクロアチアで初めての学位の認定される3年間のコース。地域の特性を生かして観光に特化した日本語の授業を行ったり、日本の大学とも協力して日本人教師を確保し、カリキュラムを充実させている。

その他教育機関

 ザグレブの4つの民間の語学学校で日本語講座が開設されている。また、リエカ、スプリット、ザボックの語学学校や青少年センターにおいても、日本語講座が開設されている。
 また、クロアチアではこれまで、日本語教師会、在日本国大使館、国際交流基金が協力し、「日本語スピーチコンテスト」が開催されてきた(スピーチ部門と発表部門の2レベルに分類)。開催当初は、ザグレブ大学での日本語学習者が優勝することが多かったが、近年では民間の語学学校に通う生徒が優勝するなど、様々な参加者が日頃の日本語学習の成果を見せる場になっている。

教育制度と外国語教育

教育制度

教育制度

 8-4(3)制。
 小・中学校(小学校・中学校一貫教育、7~14歳)が8年間、高校(15~18歳)が4年間(普通高校)、あるいは3年間(職業高校)。高等教育機関は大学。
 小学校、中学校、高校(あるいは職業高校)の12年間(あるいは11年間)が義務教育。

教育行政

 教育・科学・スポーツ省の管轄下にある。

言語事情

 クロアチア語が公用語。国民の構成はクロアチア人(90%)、セルビア人(5%弱)など。

外国語教育

 小学校1年生より高校4年生まで外国語(必修)として英語を履修する。また学校によっては第二外国語としてドイツ語、イタリア語、フランス語、スペイン語等を履修できる。

外国語の中での日本語の人気

 高等教育機関では日本語の人気は比較的高いといえる。ザグレブ大学では、日本研究コースが正規コースではないにも関わらず、選択を希望する学生が相当数いる。プーラ大学でも定員を超える応募があり、50名を超える学生が学位の取得を目指している。

大学入試での日本語の扱い

 大学入試で日本語は扱われていない。

学習環境

教材

初等教育

 (詳細不明)

中等教育

 (詳細不明)

高等教育

 日本で出版された教科書・教材を使用している。

その他教育機関

 『初級日本語 げんき』(前出)等、日本で出版された教科書・教材を使用している。

マルチメディア・コンピューター

 日本語学習者の有志によりウェブ上の日本語学習教材や単語集の作成を計画している。

教師

資格要件

初等教育

 (詳細不明)

中等教育

 日本の大学で学士号を取得し、日本の教員免許を取得していることを求められる。

高等教育

 ザグレブ大学では、日本語講師は修士号取得者を条件としている。

その他教育機関

 特になし。現地人と結婚した在留邦人や帰国留学生等が教えている。

日本語教師養成機関(プログラム)

 日本語教師養成を行っている機関、プログラムはない。

日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割

 ザグレブ大学哲学部日本研究コースでは助手1名、常勤講師2名、非常勤講師1名のポストがあり、うち3名が日本人教師である。ただし、給与水準が日本に比べかなり低いため、実質的にはボランティアに近い形となっている場合もある。

教師研修

 2008年より、クロアチア在住の日本語教師を対象に、国際交流基金派遣の日本語専門家(ハンガリー常駐)による日本語教育セミナーが行われている。

現職教師研修プログラム<一覧>

  1. 1.国際交流基金ブダペスト日本文化センター日本語専門家による日本語教師向けセミナー
     2009年より開催されており、2014年5月には、セミナーがザグレブ大学哲学部で開催された。
  2. 2.国際交流基金欧州日本語教育研修会
     2008年より、クロアチアからも日本語教師1名が、フランスのアルザス地方で開催される同研修に参加している。

教師会

日本語教育関係のネットワークの状況

 「クロアチア日本語教師会」
 国内各日本語教育機関の教師の間で情報交換・交流を行っている。2008年10月発足。

最新動向

 なし。

日本語教師派遣情報

国際交流基金からの派遣

国際協力機構(JICA)からの派遣

 国際交流基金、JICAからの派遣は行われていない。

その他からの派遣

 (情報なし)

シラバス・ガイドライン

 国・地方レベルでの統一シラバス、ガイドライン、カリキュラムはない。

評価・試験

 国際交流基金が実施する日本語能力試験は、現地日本語学習者の到達度を測る為に、各日本語教育機関は非常に重要な試験として位置付けており、毎年、ブダペスト(ハンガリー)にて実施される同試験に多くの学生が参加している。

日本語教育略史

1996年 ザグレブ第7高等学校、ザグレブ芸術高等学校で日本語教育開始
1997年 ザグレブ第2高校、第16高校、ザグレブ古典高校で日本語教育開始
2004年 ザグレブ大学哲学部に日本研究コース(副専攻コース)開設
スティエパン・ラディチ小学校で日本語教育開始
2007年 スプリットの語学学校で日本語講座開設
2008年 クロアチア日本語教師会発足
2015年 プーラ大学にクロアチア初の学位が認定される日本学科が開設

参考文献一覧

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