キューバ(2016年度)

日本語教育 国・地域別情報

2015年度日本語教育機関調査結果

機関数 教師数 学習者数
初等教育 中等教育 高等教育 その他
教育機関
合計
3 12 0 0 223 20 243
0.0% 0.0% 91.8% 8.2% 100.0%

(注) 2015年度日本語教育機関調査は、2015年5月~2016年4月に国際交流基金が実施した調査です。また、調査対象となった機関の中から、回答のあった機関の結果を取りまとめたものです。そのため、当ページの文中の数値とは異なる場合があります。

日本語教育の実施状況

全体的状況

沿革

 キューバにおける日本語教育は、1970年代頃から少人数の語学学校(学校教育以外)で実施されていたが、1980年代後半にはいずれの学校も廃校となってしまい、一時期、日本語教育実施が途絶えた。しかし、1992年にハバナ大学外国語学部にキューバ人日本語教師による日本語講座が開設されて以来、主に学生及び社会人を対象とした日本語教育がキューバにおける日本語学習機関の中心的存在として現在まで継続している。
 その後、1994年には「クバナカン観光公社」にて、1998年にはアジアの家(CASA DE ASIA)にて、2002年にはフィンレイ研究所(INSTITUTO FINLAY)及び国立芸術学院(INSTITUTO SUPERIOR DE ARTE)にて、2003年には観光省・観光業訓練学校にて、それぞれ日本語講座が開設された。しかし、多くの講座が人手不足等により中止された。また、青年の島(Isla de la Juventud)及びハバナにて日系人を対象とした日本語学習が開設されたが、2016年現在休止中である。また、アジアの家における講座は、同博物館が修復工事中であり、その影響を受け休止中である。他方、2016年9月に、サンクティ・スピリトゥス大学及びサンクティ・スピリトゥス県の博物館グアジャベラの家にて新規講座が開設された。2016年現在、合計4機関で日本語教育が実施されている。

背景

 1960年代及び1970年代、キューバでは頻繁に日本映画(黒沢明監督作品及び「座頭市」等の時代劇)が上映されたところ、その影響を受けて日本文化に対し関心を抱き、日本語学習を開始する人々が多くを占めていた。
 キューバは、ソ連崩壊後の経済政策として観光客誘致による外貨獲得を目指しており、特に、観光業従事者に対する外国語教育に力点を置いているため、観光業訓練学校等で日本語教育を導入したが、日本人観光客の数が伸び悩んだことを理由に2005年に日本語講座の中止が決定された。日本語学習の主な目的としては、ホテル従業員、通訳、観光ガイドなどの観光業に就くことのほか、武道やアニメ等の日本文化に興味を持った延長や、教養のひとつとして身に付けたいなど、様々なことが挙げられる。

特徴

 キューバでは、潜在的な日本語学習希望者は多いと思われるが、教師不足や教材不足等の問題が解消されないなど、各教育機関の日本語教育体制が確立されていないため、学習希望者の受け入れが十分に果たされているとは言えない状況にある。実際、当国における全ての日本語講座において、受講者募集の際、選抜を行って受講人数に制限を設けており、毎年、応募者全員は受け入れることができないでいる。
 また、インターネット環境が整備中であり、多くの教師及び学生は、インターネットへのアクセスがないか、あっても非常に限られている。そのため、情報へのアクセスは極めて限られている。

最新動向

 日本人観光客の急増及び日本企業の進出により、旅行ガイドや日系企業として働きたいとのインセンティブが働き、学習希望者が大きく拡大している。国際交流基金及び民間企業からの日本人日本語教師の派遣もあり、日本人教師の数が増加し、ハバナのみならず地方都市においても講座開設されるに至っている。また、国際交流基金から日本語アドバイザーが頻繁に派遣され、教師間の交流を促進するとともに、教授法のレベルアップがはかられている。他方、不十分なネット環境、教材及び教師の不足等の課題は引き続き存在し、さらなる改善が求められる。

教育段階別の状況

初等教育

 日本語教育は実施されていない。

中等教育

 日本語教育は実施されていない。

高等教育

 ハバナ大学外国語学部国立芸術学院、及びサンクティ・スピリトゥス大学にて日本語教育が行われている。
 ハバナ大学外国語学部においては、日本語コースは選択科目であり取得単位として認められていなかったが、2011年より第二外国語としての単位取得が認められるようになった。

その他教育機関

 博物館であるグアジャベラの家(サンクティ・スピリトゥス県)で主に学生向けに日本語教育(初級)が行われている。

教育制度と外国語教育

教育制度

 6-3-3制。
 就学前課程2年間(5~6歳、幼稚園に相当)の後、小学校が6年間(7~12歳)、中学校が3年間(13~15歳)。その上に高等学校が3年間(16~18歳)、高等専門学校は3~5年間。高等教育機関は大学、職業専門学校が2~3年間など。小学校から中学校までの9年間が義務教育。

教育行政

 初等、中等教育機関は教育省、高等教育機関は高等教育省の管轄下にある。

言語事情

 スペイン語が公用語であり国語になっている。英語はホテルや空港など外国人観光客が多く集まる場所で使用されるのみである。

外国語教育

 中学1年より第一外国語を履修(主に英語。必修)する。

外国語の中での日本語の人気

 教師不足等により学習者は少なめだが、根強い人気があり、独学で学習する者も多い。

大学入試での日本語の扱い

 大学入試で日本語は扱われていない。

学習環境

教材

初等教育

 日本語教育は実施されていない。

中等教育

 日本語教育は実施されていない。

高等教育

 主に『みんなの日本語』や『まるごと』等を使って、初学者から日本語及びスペイン語で授業が行われている。キューバで出版された日本語教材はない。

その他教育機関

 【高等教育】に同じ。

マルチメディア・コンピューター

 ハバナ大学では文化無償協力により設置されたLL機材を利用し、会話練習が行われている。

教師

資格要件

初等教育

 日本語教育は実施されていない。

中等教育

 日本語教育は実施されていない。

高等教育

 1960年代、1970年代に語学学校で日本語を学習したキューバ人が中心となって日本語教育を実施しており、近年では国際交流基金の日本語教育プログラムや交換留学制度で訪日した若手のキューバ人も教鞭を執っている。

その他教育機関

 資格要件の基準は特にない。

日本語教師養成機関(プログラム)

 キューバ独自の日本語教師養成システムがないので、国際交流基金の日本語教師研修プログラムを最大限活用して教師のレベルアップを図っている。

日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割

 キューバは50年以上に亘る社会主義政権による国家であり、外国人が就労許可を得るのは容易ではないが、2015年からは、民間企業から派遣された日本人教師が、さらに、2016年からは国際交流基金助成を通じ派遣された日本人教師、それぞれ1名が教鞭を執っており、改善がみられる。

教師研修

 国際交流基金の日本語教師プログラム以外に教師が研修を受けられる機会はほとんどない。

教師会

日本語教育関係のネットワークの状況

 日本語教育関係のネットワークはない。

日本語教師派遣情報

国際交流基金からの派遣

国際協力機構(JICA)からの派遣

 国際交流基金、JICAからの派遣は行われていない。

その他からの派遣

 (情報なし)

日本語教育略史

1970年代 少人数の語学学校にて日本語教育開始
1980年後半 上記日本語学校が廃校
1992年 ハバナ大学外国語学部にて日本語教育開始
1994年 クバナカン観光公社にて観光業従事者向けの日本語講座開設
1998年 アジアの家にて日本語教育開始
2002年 フィンレイ研究所、国立芸術学院にて日本語講座開設
2003年 観光省・観光業訓練学校にて日本語講座開設
2005年 クバナカン観光公社、観光省・観光業訓練学校の日本語講座中止
2006年 フィンレイ研究所の日本語講座中止
2013年 ハバナ市において、日系人対象の新規講座が開設
2015年 ハバナ大学に、日本人日本語教師が派遣
2016年 サンクティ・スピリトゥス大学及びグアジャベラの家に、日本語講座が開設

参考文献一覧

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