デンマーク(2016年度)

日本語教育 国・地域別情報

2015年度日本語教育機関調査結果

機関数 教師数 学習者数
初等教育 中等教育 高等教育 その他
教育機関
合計
4 13 0 40 314 0 354
0.0% 11.3% 88.7% 0.0% 100.0%

(注) 2015年度日本語教育機関調査は、2015年5月~2016年4月に国際交流基金が実施した調査です。また、調査対象となった機関の中から、回答のあった機関の結果を取りまとめたものです。そのため、当ページの文中の数値とは異なる場合があります。

日本語教育の実施状況

全体的状況

沿革

 日本語教育の歴史は、コペンハーゲン大学が最も古く1968年に、次にオーフス大学が1971年に日本学科を開設した。コペンハーゲン商科大学は経済専門大学であったが、1980年代末、経済に外国語(当時は英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語)を組み合わせた科目が開設され、1992年から日本語とロシア語が科目に加えられた。2015年、コペンハーゲン商科大学は、政府の予算削減計画の影響により日本語コースを含む複数の言語コースを閉鎖する決定を行った旨発表。現在の在籍者が卒業する2019年までに段階的に廃止されていく形となっている。
 高等学校において、日本語の授業は1986年より試行され、1993年から必修科目である第二外国語(ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロシア語、日本語の中から1つを選択)として認定された。青少年の絶対数は2004年より増加が期待され、高等学校側は日本語教育を継続する方針であったが、2005年の高等学校教育改革(欧州統合のため欧州の言語を重視)により、日本語は第二外国語科目(欧州言語のみと改正)から外され、第二外国語科目ではなく選択科目に分類された。その結果、受講学生数が減少し、日本語の科目を廃止する学校が出た。しかし、2007年、当国教育省はロングステッド高校の申請を受け、同校にて日本語を第二外国語科目とすることを認可し、それ以降同校では日本語教育が再開されている。

背景

 かつては、デンマーク人にとって日本語は「難しい異国の言語」というイメージであったが、主にアニメやマンガといったポップカルチャーへの興味から、特に若い世代で日本語への関心も高まった。学習者数の絶対量は、相対的には多くはないが、ポップカルチャーの人気上昇に伴い、関心を持つ年齢層が低下しつつある。

特徴

 デンマークでは、2016年現在大学3校、高等学校1校、高等準備学校1校(高等学校相当)において日本語教育が行われている。

最新動向

 2005年、当国及びフィンランドにて北欧初の日本語能力試験が行われ、デンマークにおける第一回試験の願書申請者数は44名であった。その後、申請者数は増加の一途をたどり、2009年には119名に上ったが、その後漸減し2016年の申請者数は75名であった。
 日本・デンマーク間では、2007年10月からワーキング・ホリデー・プログラムが開始され、同プログラムによる訪日経験者がデンマーク帰国後、日本語学習を継続する等、日本語学習者数増加に寄与している。

教育段階別の状況

初等教育

 日本の小学校に相当する学年では、日本語教育は行われていない。

中等教育

 2016年現在、ロングステッド高校、フレデリクスベァVUC(成人教育センター)高等準備学校(2002年に開始)において日本語教育が行われている。
 なお、かつては、ヴォーディングボー高校、オーフス国立高校、エスパゲァ高校そしてムーラネ高校の4校でも日本語教育が実施されていたが、生徒数の減少及び学内改革により、現在は中止されている。

高等教育

 2016年現在、コペンハーゲン大学、オーフス大学並びにコペンハーゲン商科大学において、日本語教育が行われている。
 大学生の場合、学科を選択するにあたり、就職を見据えて、アジアの中でも急速な経済成長を遂げている中国へのビジネスチャンスを狙い、中国語を選択する等、世界経済情勢が学習言語の選択に影響を与えている。
 また、コペンハーゲン大学では、日本語の会話を練習するクラブが存在する。

その他教育機関

 デンマークは、世界的にも有名なグルントヴィ(国民一般の教養を向上させるための国民高等学校の創始者)思想の発祥地で、成人教育制度が発達しており、政府も力を入れている。成人教育施設のほとんどは、地方自治体の補助金で運営される夜間学校で、日本語教育が行われている施設もある。その他、民間の語学学校においても日本語教育が行われている。

教育制度と外国語教育

教育制度

教育制度

 10-3制。日本の小・中学校に相当する教育は、一貫教育で10年間(6~15歳)の義務教育である。高等学校及び基礎職業学校は3年間(15~18歳)で、大学は学士課程が3年間、修士課程が2年間である。

教育行政

 日本の初等及び中等教育に相当する教育は教育省及び地方自治体が、高等教育は高等教育・科学省が管轄し、予算等を決定する。ただし、学校の運営や実務等はすべて各校に一任されている。

言語事情

 公用語はデンマーク語。英語運用能力も一般的に非常に高い。
 デンマークの自治領であるグリーンランド及びフェロー諸島では、現地のそれぞれの言語(グリーンランド語及びフェロー語)が使用されている。

外国語教育

 英語、ドイツ語、フランス語、ロシア語、スペイン語、イタリア語、日本語、アラビア語、ギリシャ語、中国語、ラテン語、トルコ語等が教育機関にて履修可能。

外国語の中での日本語の人気

 ドイツ語やフランス語等他の外国語との比較では、学習者の数は比較的少ない。文字や文法が、デンマーク語と大きく異なるという構造的な理由によるものと、日本に関連する仕事に就かない限り実用性に乏しいという実利的な理由によるものと考えられる。
 アジア言語では、日本語と中国語の二つが高い人気を誇っている。中国の経済的台頭を背景に、日本語の存在感は相対的に減少しつつあるが、他方で、日本のポップカルチャーへの興味をきっかけに、日本語学習を選択・継続する生徒は、常に一定数いると言える。

大学入試での日本語の扱い

 大学入試で日本語は扱われていない。

学習環境

教材

 教育省及び高等教育・科学省は、教科書の選定・認定は行わず、教科書の選択は、各校、ひいては担任の教師に一任されている。教科書だけでなく、小説、雑誌、新聞記事及び教師作成資料等を用いて授業が行われている。

初等教育

 日本語教育は実施されていない。

中等教育

 『初級日本語げんき』坂野永理ほか(ジャパンタイムズ)を用いた授業が主流。

高等教育

 日本語の初級の授業では、『初級日本語げんき』(前出)や『みんなの日本語』スリーエーネットワーク(スリーエーネットワーク)、『A Course in Modern Japanese』名古屋大学日本語教育研究グループ(名古屋大学出版会)等が使用されており、より上級の授業では、『Living Japanese』(イェール大学出版)や『読む力』奥田純子監修(くろしお出版)等の教科書や、新聞、小説、論文等の写し及び教師作成の資料が使用されている。

その他教育機関

 『初級日本語げんき』(前出)を使用して授業を行っている。

マルチメディア・コンピューター

 マルチメディア・コンピューターの設置状況には一貫した基準はなく、学校や地域によって異なる。コペンハーゲン大学では、各教室にスクリーン、プロジェクター、パソコンは備え付けられていないが、コンピューター・ルームが用意されており、マルチメディアやコンピューターが必要な際には使用できる。授業時間外には、学生有志による日本関連の映画や番組の鑑賞会も催されている。

教師

資格要件

初等教育

 日本語教育は実施されていない。

中等教育

 学士号取得(ただし、1つの主要科目及び1つの副専攻科目のどちらか1つが、日本学である必要がある)。また、1年間のインターンとしての経験が、必須である。

高等教育

 修士号取得。

その他教育機関

 修士号取得。

日本語教師養成機関(プログラム)

 日本語教師養成を行っている機関、プログラムはない。

日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割

 日本語教育が行われているコペンハーゲン大学、コペンハーゲン商科大学及びオーフス大学で、講師として各1名以上の日本人が、主に会話と読解の指導に従事している。

教師研修

 逐次、研修が行われている。

教師会

日本語教育関係のネットワークの状況

 「高等学校及び高等予備学校日本語教師会」において、2016年現在4名の日本語教師及び日本語教育関係者達が、政府教育関係者及び他の言語教育関係者との連絡や、ネットワーキング及び情報交換を行っている。

最新動向

日本語教師派遣情報

国際交流基金からの派遣

国際協力機構(JICA)からの派遣

 国際交流基金、JICAからの派遣は行われていない。

その他からの派遣

 (情報なし)

日本語教育略史

1968年 コペンハーゲン大学にて日本語学科開設
1971年 オーフス大学にて日本語学科開設
1986年 高等学校おいて日本語の授業が開始
1992年 コペンハーゲン商科大学の外国語科目に日本語追加
1993年 高等学校において日本語が第二外国語科目の1つに認定
2005年 高等学校教育改革により、日本語が第二外国語科目から外される
デンマークにおける初めての日本語能力試験実施
2007年 ロングステッド高校の申請により、同校にて日本語が第二外国語科目に再認定
2015年 コペンハーゲン商科大学が日本語コースを含む複数の言語コースの廃止を決定。

参考文献一覧

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