フィジー(2016年度)

日本語教育 国・地域別情報

2015年度日本語教育機関調査結果

機関数 教師数 学習者数
2 3 8
学習者数 内訳
教育段階 学習者数 割合
初等教育 0 0.0%
中等教育 0 0.0%
高等教育 2 25.0%
その他 教育機関 6 75.0%
合計 8 100.0%

(注) 2015年度日本語教育機関調査は、2015年5月~2016年4月に国際交流基金が実施した調査です。また、調査対象となった機関の中から、回答のあった機関の結果を取りまとめたものです。そのため、当ページの文中の数値とは異なる場合があります。

日本語教育の実施状況

全体的状況

沿革

 公的なレベルで日本語教育が開始されたのは、1983年、南太平洋大学(The University of the South Pacific、以下USP)のフィジー・センター(当時、USP本校ではない)に国際交流基金から日本語教育専門家が派遣されたことによる。国際交流基金からは1983~1986年、1986~1988年と2代にわたり専門家が派遣されたが、1987年にクーデターが発生したこと等もあり、国際交流基金からの日本語教育専門家の派遣は1988年をもって中止された。
 5年間の空白期間をおいた1993年に民間の笹川平和財団の援助によりUSP本校において日本語教育が再開された。USPと笹川平和財団との契約は1997年に切れたが、USPが日本語教育の継続を強く希望していたため、1998年からはJICAがシニア海外ボランティア(日本語教育)を派遣していたが2005年より一時見送りが決定しており、その後派遣されていない。
 1987年以降、青年海外協力隊(JOCV)隊員(日本語教育)がフィジー技術専門学校観光学科に派遣されたのをきっかけに、2003年にブニモノ高校へ第二外国語指導員としてJOCV隊員1名が派遣された(現在は両校の派遣とも行われていない)。また、2005年より、フィジー国立大学付属国立訓練生産性センター(旧TPAF)ナマカ校(ナンディ)に、JOCV隊員1名が派遣されていたが、2015年7月以降派遣は行われていない。
 私立のスバ・インターナショナル・セカンダリー・スクールでは、1990年代初頭に日本語教育が開始され、1名の日本語教師が指導にあたっていたが、2016年現在は休止中である(再開の目処はない)。
 公的レベルでの日本語教育とは別に、民間学校として1995年には国際空港のあるナンディに古川外男記念日本語学校が、1999年には観光地であるコーラルコーストに近いシンガトカにシンガトカ日本語学校が開校された。2000年までフィジーの日本語学習者は着実に増加していたが、2000年5月に独立後2回目となるクーデターが発生、日本からの観光客数は激減した。そのため、日本語学習者も激減、民間の日本語学校は経営が成り立たなくなった。その結果、シンガトカ日本語学校は2001年2月に閉校、ナンディの古川外男記念日本語学校も同年8月をもって閉校した。
 なお、日本人の英語学習者を主な対象として設立され、2003年にフィジー政府に認可された日系英語語学学校Free Bird Instituteが2005年よりフィジー人向けの日本語講座を開設している。

背景

 フィジーでは観光産業が3大産業(他は砂糖産業と衣料産業)のひとつとなっており、これが日本語教育の重要な背景となっていた。フィジーの日本人観光客数は、2008年の統計の約2万人から2015年の統計では約6千人と激減したが、日本人観光客の訪問は漸減傾向ながらも続いており、観光産業においては、日本語で日本人観光客に応対できる従業員の需要がある程度存在する。しかし、最近では、中国、そして、韓国からの観光客が増加傾向にあり、日本語より中国語、そして、韓国語の需要が高まっている。
 日本語学習経験者は、ナンディ等日本人観光客の多い地域にある程度存在しており、ナンディの土産物屋には日本語の看板を出しているところもある。また、旅行代理店や大きなホテルには日本語の話せる現地スタッフがいる。彼らは日本語教育機関で日本語を学んだ者、独学で日本語を学んだ者、日本に留学した者、それぞれの会社で日本語の研修を受けた者など様々である。
 このほかにも貿易や車両(主に中古)輸入関係などで日本との関係は深い。日本と関係の深い会社では、会社の予算で社員を日本に研修・出張に行かせているところもある。

特徴

 諸外国の日本語教育と比較した時、フィジーの日本語教育の最大の特徴はその実利主義であろう。この国においては現在までのところ、日本語を極め日本研究に至る者はいない。また、実利主義といっても、想定されるのは【背景】に記したような仕事内容が主であり、高度な日本語能力を活かしてビジネスを行うことを目指す学習者はいないこともあり、学習者の到達レベルは初級程度、ごく一部の生徒が日本語能力試験のN4に到達するかしないかといったところである。また、各機関とも初級程度の日本語教育が中心であり、中級の後半や上級の日本語クラスは開かれていない。上級レベルの日本語話者(元文部科学省国費留学生等)も何人かいるが、純粋にフィジー国内で日本語を学習して上級レベルに到達した者はほとんどいない。

最新動向

 特になし

教育段階別の状況

初等教育

 日本語教育は実施されていない。

中等教育

 日本語教育は実施されていない。

高等教育

 フィジー国立大学付属国立訓練生産性センター(旧TPAF)ナマカ校で日本語が教えられている。(2013年度の累計の日本語学習者数は36名。)
TPAFへは、2005年よりJOCV隊員が派遣され、Hospitalityクラスで日本人観光客への接客を想定した日本語が教えられていたが、2015年7月以降隊員の派遣がなくなったこともあり、現在は休講中。

その他教育機関

 日本語教育は実施されていない。

教育制度と外国語教育

教育制度

教育制度

 8-4-1制。
初等教育(primary school)が8年間(6~13歳)、中等教育が4年間(14~17歳)、大学進学希望者はもう1年、フォーム7で勉強する。高等教育機関には大学(5つのみ)のほか、いくつかの技術専門学校や職業専門学校がある。
中等教育機関に進学するまでの8年間が義務教育である。(注:義務教育制度の実施は1997年から。学費は中等教育修了まで免除。)

教育行政

 インターナショナル・スクールを除き、宗教団体運営の学校も含むすべての初等・中等教育機関は教育省により教員が配置されており、教育省の管轄下にある。
フィジーの高等教育機関は、南太平洋の12の国・地域(パプア・ニューギニアを除く)が共同で運営しているUSPのメイン・キャンパスが首都スバにある。そのほかには、技術専門学校や職業専門学校を統合して2010年に設立されたフィジー国立大学(Fiji National University)、国内唯一の私立大学としてのフィジー大学(The University of Fiji)、また宗教団体運営のフルトン大学やコーパスクリスティー教員養成大学などがある。

言語事情

 主要言語・公用語は英語、フィジー語、フィジー・ヒンディー語である。
公用文書はほぼすべて英語である。新聞も英字紙の発行部数は、フィジー語紙、ヒンディー語紙、中国語紙等の発行部数を凌駕している。
細かく見ていくと、フィジー系住民の中では、日常的には各人の出身地の方言を、他の地域のフィジー人との会話においてはスタンダードなフィジー語を話している。インド系はさらに複雑であり、ほぼすべてのインド系住民が話すフィジー・ヒンディー語(言わばピジン・ヒンディ)のほかに、ウルドゥー語、タミル語、テルグ語、マラヤラム語、グジャラティ語が使われている。さらにはインド系に多いイスラム教徒にはアラビア語を解す者もいる。また、中国系住民の多くは広東語を、少数が普通語(北京語)を話す。

外国語教育

 小学校から公用語である英語で授業が行われるため、英語は日本で言うところの外国語とは見なされていない。しかしながら、日常的に英語に接触する機会のある都会の学生に対して、普段特に英語を使わなくても生活していける村の児童・生徒にとっては、英語は外国語に近いものであろう。その他の外国語教育については特に規定がない。
中国系の学校では、普通語(北京語)が外国語科目として教えられている(プライマリー・スクール1校では必修。セカンダリー・スクール1校では選択。)その他、フランス語を教科(選択科目)として導入している学校がいくつかある。

外国語の中での日本語の人気

 英語はフィジーでは外国語とは見なされておらず、国民一般の外国語習得熱も高くなく、どの外国語が人気があるか分析することは困難。

大学入試での日本語の扱い

 大学入試で日本語は扱われていない。

学習環境

教材

初等教育

 日本語教育は実施されていない。

中等教育

 日本語教育は実施されていない。

高等教育

 日本語教育は実施されていない。

その他教育機関

 日本語教育は実施されていない。

マルチメディア・コンピューター

 日本語教育にマルチメディア・コンピューターは使用していない。

教師

資格要件

初等教育

 日本語教師の資格要件はない。

中等教育

 日本語教師の資格要件はない。

高等教育

 日本語教師の資格要件はない。

その他教育機関

 日本語教師の資格要件はない。

日本語教師養成機関(プログラム)

 日本語教師養成を行っている機関、プログラムはない。

日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割

 日本語教育は実施されていない。

教師研修

 現職の日本語教師対象の研修はない。

現職教師研修プログラム(一覧)

 特になし

教師会

日本語教育関係のネットワークの状況

 日本語教育関係のネットワークはない。

最新動向

日本語教師派遣情報

国際交流基金からの派遣

 なし

国際協力機構(JICA)からの派遣

青年海外協力隊

 なし

その他からの派遣

 (情報なし)

日本語教育略史

1983年 南太平洋大学(The University of the South Pacific)のフィジー・センター(当時)に国際交流基金から日本語教育専門家派遣開始により、日本語教育開始
(1988年にクーデターのため派遣中止)
1987年 フィジー技術専門学校観光学科に青年海外協力隊(JOCV)隊員(日本語教育)派遣
1990年代初頭 スバ・インターナショナル・セカンダリー・スクールにて日本語教育開始(2016年現在は休止中)
1993年 笹川平和財団の援助によりUSP本校において日本語教育が再開
1995年 古川外男記念日本語学校開校(2001年閉校)
1998年 JICAがシニア海外ボランティア(日本語教育)派遣開始(2005年より一時見送りが決定)
1999年 シンガトカ日本語学校開校(2001年閉校)
2003年 ブニモノ高校にて日本語教育(第二外国語)開始(2016年現在は行われていない)
2005年 フィジー職業訓練学院(TPAF:2016年現在はフィジー国立大学付属国立訓練生産性センターナマカ校)にて日本語教育開始(一時中断し、2009年より再開されたものの、2015年7月よりJOCV隊員の派遣がなくなったことを受けて、再び休止)。

参考文献一覧

ページトップへ戻る