ギリシャ(2016年度)

日本語教育 国・地域別情報

2015年度日本語教育機関調査結果

機関数 教師数 学習者数
11 19 479
学習者数 内訳
教育段階 学習者数 割合
初等教育 0 0.0%
中等教育 0 0.0%
高等教育 139 29.0%
その他 教育機関 340 71.0%
合計 479 100.0%

(注) 2015年度日本語教育機関調査は、2015年5月~2016年4月に国際交流基金が実施した調査です。また、調査対象となった機関の中から、回答のあった機関の結果を取りまとめたものです。そのため、当ページの文中の数値とは異なる場合があります。

日本語教育の実施状況

全体的状況

沿革

 ギリシャにおける日本語教育は、1974年にアテネのギリシャ日本友好協会で日本人留学生を講師とする日本語コースが発足したことに始まる。以来、日本語教育は主に民間語学学校、アテネ大学有料語学クラブあるいは個人授業のレベルで実施されており、ギリシャの大学等教育機関に日本語専攻学科はない。日本語コースを設けている民間語学学校の数は2016年10月現在、全国12校(アテネに9校、テサロニキに2校、ギリシャ北部・ラリサに1校)である。
 1996年以降、毎年12月に日本語能力試験が実施されており、近年受験者数の増加は顕著である。2013年時点で、ギリシャ全土の日本語学習者数は推定約600~700人である(個人家庭教師による学習者も含む)。
 2002年3月シミティス首相訪日ならびに2003年5月小泉総理訪希を機に、二国間関係の深化を図る日本・ギリシャ共同行動計画が発表され、その一環として両国間の学術協力・交流の分野で、アテネ大学に日本研究を含むアジア研究学科を設置するという提案がなされたが、実際に日本研究講座の開講に向けた動きは見られなかった。2005年11月カラマンリス首相訪日の際、同首相より再び2007年の日本研究講座開講を目指す旨の発言がなされたが、開講準備は停滞している。

背景

 ギリシャにおいて外国語教育の促進は、言語政策の優先課題であるが、EU加盟国として主にヨーロッパ言語の習得が重視・強化されている状況にあり、日本語に関する言語政策は皆無に等しく、学校教育に日本語は導入されていない。1993年にEUによる財政援助の下、公務員の成人教育の一環として日本語教育が開始され、3年間続いたが資金援助が停止した時点で同教育も消滅した。公立観光ガイド養成学校が不定期に日本語コースを設置することもあったが、同様の現象がみられた。

特徴

 日本語学習者は、毎年、ギリシャから文部科学省国費留学生3、4名が研究生として選出されることもあり、日本への留学を希望する大学生・大学院生も多く、その他は日本の文化、伝統芸術、武道、アニメやマンガに関心のある一般社会人や学生が主である。

最新動向

 ギリシャでは、日本語はまだ特殊言語に位置づけられているが、近年の厳しい経済状況にも関わらず、日本大使館には日本語コースの新設を希望する民間語学学校より日本語教師照会の連絡が入ることがある。同様に、日本語能力試験の受験者数も増加傾向にあり、日本語の普及率は安定していると言える。
 また、最近の傾向として、日本のマンガやアニメが浸透し始めたことに伴い、日本のポップカルチャーへの関心が高まり、小・中・高校生層の日本語学習者も増えている。2007~2010年(2008年除く)にギリシャも対象国であった日本政府主催「日欧高校生交流プログラム」(欧州各国の高校生を日本に招聘し、日本の高校への体験入学と一般家庭でのホームステイを実施)にはギリシャ全国から毎年10名前後の応募者が集まり、そのほとんどが日本語有識者であり、低年齢層からの高い日本語学習意欲がうかがわれた。また、ここ3年間実施している文部科学省奨学金・学部留学生プログラムへの関心も高まっており、応募者も増加傾向にある。

教育段階別の状況

初等教育

 日本語教育は実施されていない。

中等教育

 日本語教育は実施されていない。

高等教育

 日本語教育は実施されていない。

その他教育機関

 高校生・大学生・社会人層(16~30歳ぐらい)が中心の民間語学学校、あるいは個人授業で日本語が教えられている。最近では、個人授業においては11~16歳の年齢層も増えている。

教育制度と外国語教育

教育制度

教育制度

 6-3-3制。

  • 小学校(Dimotiko) 6~12歳
  • 中学校(Gymnasio) 12~15歳
  • 高等学校(Eniaio Lykio)及び2年または3年制の技術訓練高校(Tee) 15~18歳

 高等教育機関は、全国統一入試による国立大学(Panepistimio:一般に4年制であるが歯学・工学系は5年、医学部6年)、国立技術教育専門大学(TEI)(3~4年制)、市民大学(入学資格年齢22歳以上、抽選による採用)の3つに分かれている。
 義務教育は小学校・中学校の9年間。

教育行政

 初等・中等・高等教育機関は教育・研究・宗教省の管轄下にある。

言語事情

 公用語は現代ギリシャ語。

外国語教育

 公立の学校では、小学校1~4年生まで第一外国語として英語を履修(必修)。また、小学校5年生より英語に加え、第二外国語としてフランス語またはドイツ語を履修(必修)。
 中学校1年生では、第一外国語として英語を履修(必修)するとともに第二外国語としてフランス語またはドイツ語を履修(必修)。中学校2・3年生では、英語の他、第二外国語としてフランス語、ドイツ語より1か国語を選択(必修)。
 高校3年間は、英語・フランス語・ドイツ語より1か国語を選択(必修)。
 大学では通常英語の履修が義務づけられるが、学部によって異なる。

外国語の中での日本語の人気

 第1に英語、次にドイツ語、フランス語、イタリア語、スペイン語の順に他のヨーロッパ言語が圧倒的に多く学ばれている。日本語は、特殊言語の一つとして見られる向きが強く、ヨーロッパ言語に比べると人気・普及率はまだ低い。ヨーロッパ言語を重視・促進するギリシャの教育政策、ヨーロッパ言語の習得が就職に不可欠である現状、日本語学科の不在が主な理由と考えられる。また、2010年以降、当国の財政状況の悪化に伴う民間語学学校の経営縮小化やビジネスを中心とした中国の台頭による中国語への関心の高まりなどもみられるが、日本語学習者の数に減少傾向はみられず、日本語能力試験の受験者数の増加、日本のポップカルチャーの人気上昇といった状況を踏まえ、日本語への関心はある一定レベルを保持していると言える。

大学入試での日本語の扱い

 大学入試で日本語は扱われていない。

学習環境

教材

初等教育

 日本語教育は実施されていない。

中等教育

 日本語教育は実施されていない。

高等教育

 日本語教育は実施されていない。

その他教育機関

 民間語学学校の多くは国際交流基金の教材寄贈プログラムにより日本で出版された教材(教科書・CD・CD-R等)を使用している。また、ギリシャで日本語教材を入手するのは困難なので、大使館図書室所蔵の日本語教材を利用する日本語教師、日本語学習者が多い。

マルチメディア・コンピューター

 語学学校の授業においてコンピューターはほとんど利用されていないが、日本語学習者の多くは個人的にかなり利用し、教材入手が困難な現状においては、インターネットで日本語能力試験や教材に関する情報を収集したり、アニメや日本のドラマ等をダウンロードしたりして学習に役立てている。

教師

資格要件

初等教育

 日本語教育は実施されていない。

中等教育

 日本語教育は実施されていない。

高等教育

 日本語教育は実施されていない。

その他教育機関

 本来、民間語学学校の教師には、教育・研究・宗教省が発行する教師免許の取得が義務付けられているが、日本語の場合、同免許の取得者が極端に少ないことから、学校は日本語教師採用の際、免許取得の要件をつけていないのが現状である。
 日本語教師が日本文学学士号取得者であること、また、学士号証書に教育・研究・宗教省からの認証を得る必要がある。また、英語またはギリシャ語能力が求められる。

日本語教師養成機関(プログラム)

 日本語教師の養成を行っている機関、プログラムはない。

日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割

 近年の経済問題の影響で、学習者の減少傾向が出始めると推測されるため、今後の教育機関の減少もある程度予想されるものの、個人授業教師等としてのネイティブ教師の需要は、しばらくは続くと見られる。英語はほとんどの学習者がかなりのレベルで習得していると見受けられるが、英語を母国語としていない日本とギリシャにおいて、第二外国語での教授には、かなりの無理が生じるため、教師側のある程度のギリシャ語習得は必要。

教師研修

 現職の日本語教師対象の研修はないが、2007年より毎年、国際交流基金ローマ日本文化会館より日本語教育専門家1名を迎え、ほぼ1年に1回、日本語教師会を中心に「日本語教育巡回セミナー」を実施している。

教師会

日本語教育関係のネットワークの状況

 2014年現在ギリシャで活動している日本語教師会としては、1997年に任意団体として発足した「ギリシャ日本語教師会」がある。発足当初「ギリシャ日本語教師会」という名称であったものが、2004年より日本語教育部門と文化部門から成る「日本文化研究会」に改称し、2006年より正式な法人団体として認可を得て活動していて、2012年に事務的な事情により旧称「ギリシャ日本語教師会」に戻った。主な活動は、月1回の会合のほか、日本語教育に関する情報交換、12月の日本語能力試験開催準備・当日監督員作業の補助、5月の日本語弁論大会開催運営である。

最新動向

 特になし。

日本語教師派遣情報

国際交流基金からの派遣

国際協力機構(JICA)からの派遣

 国際交流基金、JICAからの派遣は行われていない。

その他からの派遣

 (情報なし)

日本語教育略史

1974年 ギリシャ初の日本語コース開設(日本・ギリシャ友好協会運営)
1983年 日本語弁論大会(日本・ギリシャ友好協会主催)の実施開始
1993年 アテネで日本語能力試験の実施開始
1997年 アテネで「日本語教師会」(任意団体)が発足
2001年 日本語能力試験の独立採算化
2004年 「ギリシャ日本語教師会」が「日本文化研究会」に改称
2006年 「日本文化研究会」が法人団体に認可
2012年 「日本文化研究会」はギリシャ国内の事務的な事情により活動を凍結。日本語教師有志による「ギリシャ日本語教師会」を発足させ、グループ活動を開始

参考文献一覧

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