ケニア(2016年度)

日本語教育 国・地域別情報

2015年度日本語教育機関調査結果

機関数 教師数 学習者数
31 48 1,107
学習者数 内訳
教育段階 学習者数 割合
初等教育 340 30.7%
中等教育 220 19.9%
高等教育 513 46.3%
その他 教育機関 34 3.1%
合計 1,107 100.0%

(注) 2015年度日本語教育機関調査は、2015年5月~2016年4月に国際交流基金が実施した調査です。また、調査対象となった機関の中から、回答のあった機関の結果を取りまとめたものです。そのため、当ページの文中の数値とは異なる場合があります。

日本語教育の実施状況

全体的状況

沿革

 ケニアにおける組織的な日本語教育は、民間団体の日本アフリカ文化交流協会(Japan Africa Culture Interchange Institute : JACII)が1975年に日本語クラスを開設したことに始まる。
 1980年代に入り、留学希望者を対象としたジョモケニヤッタ農工大学での日本語クラス、ナイロビ大学日本文学講座での課外日本語クラス、アメリカン・ユニバーシティ・プレパレーション・インスティテュートでの日本語クラスが開設されたが、いずれも閉講した。
 高等教育機関での単位認定選択科目としての日本語教育は、1994年に米国国際大学(United States International University : USIU)アフリカ校(私立)及びケニア・ウタリー・カレッジ(国立観光専門学校)に日本語クラスが開設されたことに始まる。続いて、1997年には国立エガトン大学言語学科で課外コースとして、2002年にはストラスモア大学(私立)で単位認定科目として日本語が教えられるようになった。
 国立大学として初の単位認定コースとしての日本語クラスが2004年にケニヤッタ大学外国語学科に開設され、2006年より国際交流基金日本語専門家が派遣されている。
 また、2008年から、USIUでケニア初の日本語副専攻コースも開始された。日本語副専攻コースはUSIUとケニヤッタ大学で開講されている。
 他方、初等・中等教育では、2002年にルアラカ高等学校(公立)で日本語が選択科目として初めて採用される、2004年にステートハウス女子高等学校において課外活動としての日本語クラブが発足する、2007年よりヒルクレスト高等学校にて選択外国語として日本語が採用される、などの動きがあった。
 一方、カラティナ市周辺の初等・中等教育機関では、2007年度以来、課外活動としての日本語日本文化クラブの活動が継続的に報告されている。
 ケニア日本語教師会(JALTAK)は2001年の設立以来活動を続けている。日本語弁論大会は2004年に第1回の大会が開催され、2016年3月に第9回が開催された。また、2006年12月より、サブサハラアフリカ(サハラ以南のアフリカ)で初めて、日本語能力試験がナイロビで実施され、以降毎年受験できるようになっている。

背景

 ケニアはサブサハラアフリカにおいては日本語学習者数の上位国である。この背景には、ケニアには一定数の日本人が定住していること、毎年日本から少なからず観光客が訪れることから観光業等において日本語会話の需要があること、日本がケニアに対する主要な援助国であること、国交樹立以来日本への各種留学生・研修生等が数千人にのぼること、それらの結果、日本人との接触の機会が多いこと、などが挙げられる。

特徴

 ケニアにおける日本語学習者は、かつては学校教育以外の機関での学習者が主であったが、USIUやケニア・ウタリー・カレッジ等での日本語教育の開始とともに、学校教育機関での学習者が多数を占めるようになっている。とはいえ、高度な日本語まで体系的に学習できる機関はないに等しく、入門レベルで学習を終えてしまう者が多い。
 学習動機は、学生の場合、将来日本に渡航したい、就職に有利であるという期待のほか、アニメが好きだから、アニメを字幕なしで見たいという声もある。一方、社会人では、配偶者が日本人である、身近にいる日本人とコミュニケーションを取りたいという者も多い。
 クラブ活動などによる日本語学習の裾野の拡大も試みられているものの、専門的な知識を持つ教師は不足しており、教師の待遇にも問題があるため、日本語教育体制の整備が課題となっている。

最新動向

 2015年10月に在ケニア日本国大使館広報文化センターにて初めて「日本語学習者に対する企業説明会」が実施され、企業と高等教育機関の学習者を結ぶ取り組みが行われた。
 2016年3月に第9回ケニア日本語弁論大会が実施された。

教育段階別の状況

初等教育

 カラティナ市周辺のいくつかの小学校で、課外活動としての日本語日本文化クラブが行われている。

中等教育

 イギリス式のカリキュラムを採用しているヒルクレスト高等学校にて、選択外国語としてアラビア語、フランス語、ドイツ語、中国語と並び、日本語が採用されている。また、カラティナ市周辺の高等学校で課外活動としての日本語日本文化クラブが行われている。

高等教育

 観光を主要産業のひとつとするケニアでは、大学とは別に観光業関連資格が取得できる専門学校が多く存在する。そうした専門学校の中には、観光業で必要とされている外国語を教えていることも多い。日本語が教えられている専門学校のうち2機関が高等教育と位置づけられている。
 次の機関が日本語クラスを持つ。

  1. 1. 副専攻としての日本語教育
    • 米国国際大学(USIU)アフリカ校
    • ケニヤッタ大学人文科学部外国語学科
  2. 2. 単位認定科目(選択外国語)としての日本語教育
    • ケニア・ウタリー・カレッジ(国立観光専門学校)
    • ストラスモア大学
    • 米国国際大学(USIU)アフリカ校
    • ケニヤッタ大学(自由選択科目「日本語入門コース」)
    • エガトン大学言語学科
    • ケニア野生生物公社専門学校
  3. 3. 単位認定外科目(選択外国語)としての日本語教育
    • 東アフリカカトリック大学
  4. 4. 日本語クラブ
    • ジョモケニヤッタ農工大学

その他教育機関

 ビジネスマンや高校卒業者対象の語学学校が日本語クラスを設けている。

  1. (1) 日本アフリカ文化交流協会(JACII
     発足以来、ケニアでの日本語教育をリードしてきた。(2004年からは休講中)
  2. (2) カラティナ市、ニャニュキ市のカラムアカデミー
     日本語クラスを開講するとともに、近隣の小中学校、高等学校の日本語日本文化クラブに教師を派遣している。

教育制度と外国語教育

教育制度

教育制度

 8-4制。
 小学校が8年間(6~13歳)、中等教育が4年間(14~17歳)、高等教育は、大学(4~6年)、教員養成学校(2~3年)、職業専門学校(1~2年)、技術専門学校(2~3年)など。

教育行政

 初等、中等、高等教育機関のほとんどが教育担当省の管轄下にあるが、一部の専門学校は他省庁の管轄下にある。
 日本語教育が行われているケニア・ウタリー・カレッジ、ケニア野生生物公社専門学校は観光担当省の管轄下となっている。

言語事情

 多民族、多言語国家であることから、公用語として英語が、また国語としてスワヒリ語が使われている。
 日常会話は別として、公的な場面での使用言語としては英語が主となっている。
 教育言語としても、小学校低学年で地方語による副読本が使われることがあるが、一般教科書はスワヒリ語を除き、すべて英語で記述されている。

外国語教育

 国公立の初等、中等教育機関では、外国語教育は必修科目ではなく、一部の学校では選択科目として採用している。私立の教育機関では、必修または選択科目として外国語教育を実施しているところも多い。中等教育卒業資格試験では選択科目の中にフランス語とドイツ語が含まれる。
 大学においても、外国語は一部の課程(言語・文学科/国際関係学科等)での必修を除き、選択科目として採用されている。

外国語の中での日本語の人気

 中等教育卒業資格試験(Kenya Certificate of Secondary Education : KCSE)の選択科目にフランス語、ドイツ語、アラビア語があり、特にフランス語は人気が高い。日本語はアジア言語として、中国語や韓国語と並ぶ選択肢の一つとなるが、なかなか学習者が集まりにくくなってきている。

大学入試での日本語の扱い

 大学入試で日本語は扱われていない。

学習環境

教材

初等教育

 主に日本で出版された各種教材を組み合わせて使っている。

中等教育

 主に日本で出版された各種教材を組み合わせて使っている。

高等教育

 『みんなの日本語』スリーエーネットワーク(スリーエーネットワーク)、『まるごと』国際交流基金(三修社)等、主に日本で出版された各種教材を組み合わせて使っている。

その他教育機関

 同上。

マルチメディア・コンピューター

 教師によっては、パソコンやデータプロジェクター、インターネット、DVDなどを授業内で積極的に利用している。

教師

資格要件

初等・中等教育

 特に基準はない。

高等教育

 原則として修士号以上の取得者。

その他教育機関

 特に基準はない。

日本語教師養成機関(プログラム)

 本格的な日本語教師養成を行っている機関・プログラムはない。

日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割

 日本語教師のうちネイティブ教師は全体の10%ほどを占める。国際交流基金派遣専門家1名(ケニヤッタ大学)、その他は、大学、専門学校、語学学校で常勤、もしくは非常勤として授業を受け持っている。また、在留邦人がボランティアとして日本語を教えるケースも報告されている。

教師研修

 2006年9月より、在ケニア日本国大使館広報文化センターにて、JALTAK会員教師を主な対象とした「教師セミナー」が実施されている。
 そのほか、訪日研修として国際交流基金「海外日本語教師研修」プログラムが行われている。

現職教師研修プログラム(一覧)

 国際交流基金「海外日本語教師研修」プログラム

教師会

日本語教育関係のネットワークの状況

2001年10月 大使館の主導の下、当地の日本語教育機関で教えている教師の参加を得て「ケニア日本語教師会(JALTAK : Japanese Language Teacher Association - Kenya)」が設立された(設立当初参加教師数:6機関、9名)
2003年8月 JALTAK主催により「第1回JALTAK教師養成セミナー」が大使館広報文化センターにて3日間にわたって実施された
2004年2月 大使館・JALTAK共催の日本語弁論大会がストラスモア大学にて2日間の日程で開催。また、国際交流基金日本語巡回セミナーがJALTAKを対象に大使館広報文化センターにて2日間の日程で実施された
2006年9月 大使館広報文化センターにて、JALTAK教師を対象とした「教師セミナー」を開始
2006年12月 サブサハラアフリカで初めて、日本語能力試験がナイロビのケニア・ウタリー・カレッジで実施開始
2008年10月 ケニヤッタ大学にて第2回日本語弁論大会が開催
2009年9月 カラティナにて第1回日本ケニア文化祭が開催
2010年2月 ストラスモア大学にて第3回日本語弁論大会が開催
2010年6月 第2回カラティナ日本ケニア文化祭が開催
2010年11月 JALTAK主催、国際交流基金後援「eラーニングセミナー」が開催
2011年3月 大使館広報文化センターにて、日本文化祭とともに、第4回日本語弁論大会が開催
2011年9月 第3回カラティナ日本ケニア文化祭が開催。
2012年2月 大使館広報文化センターにて、第5回日本語弁論大会開催
2012年8月 大使館広報文化センターにて、第1回ケニア日本語教育会議開催
2013年2月 USIUにて第6回日本語弁論大会開催
2013年7月 大使館広報文化センターにて、第1回東アフリカ日本語教育会議(第2回ケニア日本語教育会議)開催
2014年3月 大使館広報文化センターにて、第7回日本語弁論大会開催
2014年8月 大使館広報文化センターにて、第2回東アフリカ日本語教育会議(第3回ケニア日本語教育会議)開催
2015年3月 大使館広報文化センターにて、第8回日本語弁論大会開催
2015年8月 大使館広報文化センターにて、第3回東アフリカ日本語教育会議(第4回ケニア日本語教育会議)開催
2016年3月 大使館広報文化センターにて、第9回日本語弁論大会開催

最新動向

2012年の第1回ケニア日本語教育会議開催以降、近隣諸国の日本語教育関係者との交流が盛んになってきている。2016年の第4回東アフリカ日本語教育会議はマダガスカルで開催され、ケニアから代表者が出席した
定期刊行物(JALTAKジャーナル/東アフリカ日本語教育)

シラバス・ガイドライン

初等教育

 統一シラバス、ガイドライン、カリキュラムはない

中等教育

 統一シラバス、ガイドライン、カリキュラムはない

高等教育

 統一シラバス、ガイドライン、カリキュラムはない

その他教育機関

 統一シラバス、ガイドライン、カリキュラムはない

評価・試験

 各大学が出す証書のほかは、国際交流基金が実施する日本語能力試験が唯一の公的な評価基準となっている。

日本語教師派遣情報

国際交流基金からの派遣(2014年6月現在)

日本語専門家

 ケニヤッタ大学 1名

国際協力機構(JICA)からの派遣

 なし

その他からの派遣

 (情報なし)

日本語教育略史

1975年 民間団体の日本アフリカ文化交流協会(Japan Africa Culture Interchange Institute : JACII)にて日本語クラス開設
1980年代 ジョモケニヤッタ農工大学にて日本語クラス(留学希望者対象)開講(のちに閉講)
ナイロビ大学日本文学講座にて課外日本語クラス開講(のちに閉講)
アメリカン・ユニバーシティ・プレパレーション・インスティテュートにて日本語クラス開設(のちに閉講)
1994年 米国国際大学(USIU)アフリカ校にて日本語クラス(単位認定選択科目)開設
ケニア・ウタリー・カレッジ(国立観光専門学校)にて日本語クラス(単位認定選択科目)開設
1997年 国立のエガトン大学言語学科にて日本語クラス(課外コース)開設
2001年 「ケニア日本語教師会(JALTAK : Japanese Language Teacher Association - Kenya)」が設立
2002年 ストラスモア大学にて日本語クラス(単位認定選択科目)開設
ルアラカ高等学校で、日本語(選択科目)を採用(のちに閉講)
2003年 「第1回JALTAK教師養成セミナー」実施
2004年 ケニヤッタ大学外国語学部に国立大学として初の認証コースとしての日本語クラス開設
ステートハウス女子高等学校において日本語クラブ(課外活動)発足
ストラスモア大学にて日本語弁論大会(国際交流基金助成)実施
国際交流基金日本語巡回セミナー開催
エガトン大学言語学科(課外)にJICAシニア海外ボランティア派遣(~2007年)
2006年 ケニヤッタ大学外国語学科に国際交流基金が日本語専門家の派遣開始
2006年 ナイロビのケニア・ウタリー・カレッジを会場として、サブサハラアフリカで初めて日本語能力試験が実施開始
2007年 カラティナ市周辺の高等学校で最初の日本語日本文化クラブが発足
エガトン大学言語学科への暴動による治安悪化のためJICAシニア海外ボランティアの派遣中止
9月 「中東日本語教育セミナー」で「アフリカ分科会」を実施
ヒルクレスト高校にて選択外国語としての日本語の授業を開始
2008年 グレーツァ大学にて日本語クラス開設(のちに閉講)
10月 第2回日本語弁論大会実施
2009年 在ケニア日本国大使館で日本語講座開講
9月 第1回カラティナ日本ケニア文化祭開催
2010年 エガトン大学にて、自由選択科目としての日本語の授業が再開
2月 第3回日本語弁論大会開催
6月 第2回カラティナ日本ケニア文化祭開催
11月 国際交流基金後援「eラーニングセミナー」開催
2011年 在ケニア日本国大使館にて日本語入門講座開講
ケニア野生生物公社専門学校にてJICAボランティアによる選択外国語としての日本語の授業を開始
3月 第4回日本語弁論大会開催
9月 第3回カラティナ日本ケニア文化祭開催
2012年 2月 第5回日本語弁論大会開催
8月 第1回ケニア日本語教育会議開催
2013年 2月 第6回日本語弁論大会開催
7月 第1回東アフリカ日本語教育会議(第2回ケニア日本語教育会議)開催
2014年 3月 第7回日本語弁論大会開催
8月 第2回東アフリカ日本語教育会議(第3回ケニア日本語教育会議)開催
2015年 3月 第8回日本語弁論大会開催
8月 第3回東アフリカ日本語教育会議(第4回ケニア日本語教育会議)開催
2016年 3月 第9回日本語弁論大会開催

参考文献一覧

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