ネパール(2016年度)

日本語教育 国・地域別情報

2015年度日本語教育機関調査結果

機関数 教師数 学習者数
106 376 4,262
学習者数 内訳
教育段階 学習者数 割合
初等教育 150 3.5%
中等教育 150 3.5%
高等教育 300 7.0%
その他 教育機関 3,662 85.9%
合計 4,262 100.0%

2015年度日本語教育機関調査結果 学習者数グラフ
2015年度日本語教育機関調査結果の学習者数に関する帯グラフ。初等教育は150名で全体の3.5%、中等教育は150名で全体の3.5%、高等教育は300名で全体の7.0%、学校教育以外は3,662名で全体の85.9%。

(注) 2015年度日本語教育機関調査は、2015年5月~2016年4月に国際交流基金が実施した調査です。また、調査対象となった機関の中から、回答のあった機関の結果を取りまとめたものです。そのため、当ページの文中の数値とは異なる場合があります。

日本語教育の実施状況

全体的状況

沿革

 1966年、日本留学を終えたラム・バルマ氏と大向良治氏が中心となってカトマンズに日本語学校を設立。1968年には、トリブバン大学国際言語キャンパスの中にも日本語科が設立され、多くの人材が育っていった。そして、日本・ネパール間の交流拡大に伴い、私立の日本語学校も設立されるようになり、カトマンズにおける日本語学習熱は高まっている。2007年頃からポカラでも日本語学校が増加し、最近ではチトワンなど地方都市部においても日本語教育が盛んになっている。

背景

 日本語教育が盛んになった背景には、まず、ネパールの主要産業のひとつに観光業がある事が挙げられる。2015年のネパール地震の影響で多少の減少はあったものの、毎年2万人台の日本人がネパールを訪問していることもあって、特にホテル、ガイドなど観光業に携わる人々の日本語学習熱が高い。また近年の傾向としては、当国の経済状況、政情不安が若者たちを海外に送り出す要因となっており、日本への留学、就職を希望する人々が増加している。ネパール教育省のデータによると、主な留学先において日本は2009~2012年まで4位から5位の位置を占めていたが、2013年には2位となり、2015年には1位となった。これに伴い、カトマンズ以外の地でも日本語の需要が高まっている。また、高校、大学でも、外国語科目の一つとして選択できるようにしようという動きもある。

特徴

 日本語学習者の多くは、就職して仕事をしながら、または他の大学で専門の勉強をしながら日本語を学んでいる。そのため、大部分の日本語学校は、朝と夕方のみ開講している。多くの学習者は、私立の学校教育以外の機関で留学・就職希望者を対象とする短期コースを受講しており、基礎コースが終了すると日本の教育機関などに渡日する学生が多く、当地において日本語学習を6ヶ月以上継続する学生は少ない。その為、留学等の在留資格認定証の発行状況など、日本に行く事が出来るかどうかによって学習者数は大きく変化するのが現状である。
 一方で、国立トリブバン大学付属国際言語キャンパスには3年間のコースがあり、3年次のアドバンスコースでは、日本の歴史や文化も含めた講義が行われている。

最新動向

 特になし。

教育段階別の状況

初等教育

 日本語教育は実施されていないが、高学年を対象に課外活動の「日本語クラブ」として取り入れている学校もある。

中等教育

 私立においては日本語を課外活動の「日本語クラブ」として取り入れている学校もある。

高等教育

 トリブバン大学の国際言語キャンパスに3年間の日本語コースがあるが学位コースではない。

その他教育機関

 ほとんどが民間の語学学校で、テキストも授業内容も個々の学校によって異なっている。だいたいが3ヶ月から1年のコースである。

教育制度と外国語教育

教育制度

教育制度

 8-4年制。
 現在の教育制度は、2009年から実施されたスクールセクター・リフォームプログラムにより、1~8年生が基礎教育、9~12年生が中等教育、その後が高等教育の大学となっている。義務教育は、1~8年生となっているが罰則規定はなく、就学年齢の1年生への入学率は93.0%となっている(2015年教育省)。

教育行政

 すべての教育機関が教育省の管轄下にある。

言語事情

 公用語はネパール語。
 教育言語としては、ネパール語と英語の両方が用いられている。私立学校の場合は主に英語、公立学校の場合は主にネパール語で教育が行われている。また、多民族国家の当国においては、123の言語を有すると言われ(2011年国勢調査)、マイティリー語、タマン語、ネワール語など、各コミュニティーにおいてそれぞれの言語が話されている。

外国語教育

 基礎教育から高等教育まで英語が必修。高等教育機関における外国語学位コースは英語とヒンディー語となっている。学校教育においては、第二外国語として中国語が多く選択されている。日本語も選択可能となっているが、教科書の整備が進んでいない事、予算不足等により教師の確保が難しい事などから実際に授業が実施されている学校は少ない。

外国語の中での日本語の人気

 ネパールの教育は英語で実施されている学校(特に私立学校)が多く、英語は特に都市部で広く通用する。英語以外では、日本語の人気は高いが、近年、中国語、韓国語の人気がそれを上まわっている。

大学入試での日本語の扱い

 大学入試で日本語は扱われていない。

学習環境

教材

初等教育

 日本語教育は実施されていない。

中等教育

 日本語教育は実施されていない。

高等教育

 トリブバン大学国際言語キャンパス日本語科では、『初級日本語』東京外語大学留学生日本語教育センター(凡人社)が使われており、副教材として、国際交流基金より寄贈された教材も使用されている。

その他教育機関

 主に『みんなの日本語』スリーエーネットワーク(スリーエーネットワーク)が使用されている。

マルチメディア・コンピューター

 一部の教育機関で使用されているが、計画停電があるなどの事情により十分に活用されてるとは言えない。

教師

資格要件

初等教育

 日本語教育は実施されていない。

中等教育

 規定された資格要件は特にない。

高等教育

 規定された資格要件は特にないが、大学で教える場合は、なんらかの修士号を取得していなければならない。

その他教育機関

 規定された資格要件は特にない。教育機関によって、教師自身も基礎レベルという場合から、日本留学を終えて帰国し日本語能力試験N1レベルの教師まで様々なケースがある。
 いずれの場合も、教師養成コースを終了し資格を持って指導に当たる教師は少ないのが現状。

日本語教師養成機関(プログラム)

 養成講座を開設している個々の機関はないが、日本語教師協会が国際交流基金、大使館と共催で年に1回日本語教師養成講座【基礎】を実施している。

日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割

 当国では、1名の日本人教師が高等教育機関で指導的立場にある。

教師研修

 国内研修としては、国際交流基金、大使館と日本語教師協会の共催で行われる年1回の日本語教師養成講座がある。
 訪日研修としては、国際交流基金の海外日本語教師研修がある。

現職教師研修プログラム(一覧)

教師会

日本語教育関係のネットワークの状況

 ネパール最初のネットワークとして、ネパール日本語教師協会(JALTANJapanese Language Teachers' Association Nepal)がある。設立は1998年10月28日。主な活動には、「日本語能力試験」の実施機関としての業務及び、毎月1回各校の代表者会議を持ち、年1回、日本語教師養成講座を国際交流基金デリー事務所と大使館との共催でカトマンズにおいて開いている。その他、JALTAN主催で「日本語弁論大会」や、日本文化紹介事業として、大使館と共催で「日本映画上映会」、「日本語歌唱大会」などを行っている。
 2001年4月、ネパール政府へ登録。事務所はカトマンズ市内の国立トリブバン大学国際言語キャンパス内に所在。2016年10月現在、19校に所属する教師118名が教師会に加盟している。
 また、2011年5月には、日本留学コンサルタント業務を行う教育機関による「日本語学校協会ネパール(JALSAN: Japanese Language School Association of Nepal)が設立され、2016年10月現在、16校が加盟している。

最新動向

 2015年、当国教育機関の教育省への登録制度が厳格化された為に、学校教育以外の私立教育機関において機関数の減少が見られた。

日本語教師派遣情報

国際交流基金からの派遣

 なし

国際協力機構(JICA)からの派遣

 なし

その他からの派遣

 トリブバン大学国際言語キャンパスへ天理大学より1名派遣。
 そのほか、民間日本語教育機関においてボランティアで教えている人も数名いる。
 近年では、日本人が経営にかかわったり校長を務める私立の教育機関もある。

評価・試験

 国際交流基金主催の日本語能力試験がカトマンズで年2回実施されている。

日本語教育略史

1966年 カトマンズに日本語学校を設立。
1968年 トリブバン大学国際言語キャンパスの中に日本語科が設立。

参考文献一覧

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