パプアニューギニア(2016年度)

日本語教育 国・地域別情報

2015年度日本語教育機関調査結果

機関数 教師数 学習者数
初等教育 中等教育 高等教育 その他
教育機関
合計
1 1 0 0 30 0 30
0.0% 0.0% 100.0% 0.0% 100.0%

(注) 2015年度日本語教育機関調査は、2015年5月~2016年4月に国際交流基金が実施した調査です。また、調査対象となった機関の中から、回答のあった機関の結果を取りまとめたものです。そのため、当ページの文中の数値とは異なる場合があります。

日本語教育の実施状況

全体的状況

 パプアニューギニアでは、パプアニューギニア大学(首都特別区ポートモレスビー、以下UPNG)、国立ポートモレスビー高校(2008年より日本語コースは休止中)、ゴロカ大学(東ハイランド州、2015年1月より日本語コースは休止中)の3機関において日本語教育のコースが設定されている(実施は1機関)。2016年現在、日本語教師の派遣はUPNGへシニア海外ボランティア(SV)1名となっている。
 パプアニューギニアの日本語教育に対する関心は、個人の興味レベルにとどまっており、教育省など政策レベルでの関与は特に見られない。国全体としての日本語の需要は低く、この傾向はしばらく続くものと思われる。このため、日本語、日本文化・社会に対する個人の興味が日本語学習の最大の動機となっている。全機関、レベルは初級中心である。
 また、同国教育省に認定されたシラバス・ガイドラインや教科書がなく、ボランティアの裁量によりシラバス・ガイドラインや教科書が作成、選定されているため、日本語教育の一貫性や継続性に問題がある。

沿革

  1. 1.国立ソゲリ高校:1981年から2006年まで、日本語教育が行われた。
  2. 2.セント・イグナシウス高校:1999年から2013年まで日本語の初級教育が行われていた(2013年末をもって、青年海外協力隊員〔以下JOCV〕の派遣は終了)。
  3. 3.国立ポートモレスビー高校:2007年から選択科目として日本語コースが開設。2008年より休止中。
  4. 4.UPNG:1984年から、初級日本語教育が選択単位科目の一つとして行われている。2008年度に関しては、ボランティア未確保のためコースは休止されていたが、2009年3月にボランティアが派遣された。
  5. 5.ゴロカ大学人文社会学部言語文学科:2003年から初級日本語教育が選択単位科目の一つとして行われている。2008年度に関しては、ボランティア未確保のためコースは休止されていたが、2009年3月にボランティアが派遣された。2015年より休止中。

 日本語教師は当初国際交流基金から派遣されていたが、1999年より2013年までJOCVが引き継いだ。また、大学に対してはSVが派遣されるようになった。

背景

 豪州で盛んだった日本語教育の影響を受け、日本語教育開始。市場に日本企業の進出、日本製品が出回るにつれて日本への興味関心が高まり、日本語履修者も増加したが、日本企業の撤退に伴い減少していった。2010年3月に日・PNG投資協定が署名され、両国間の投資や投資に伴う人的交流が相互に促進されると共に、PNG国内における日本のテレビ番組の放映が増えており、こうした環境が、今後日本語教育の需要を高める動機付けとして期待されている。

特徴

 国全体としての日本語需要は高くない。中等・高等教育ともに選択科目としての位置づけで、そのため初級レベルにとどまっている。したがって、現地人の教師育成が困難であり、日本からの教師派遣に頼っているが、そのためにもまずは同国の治安問題が解決されることが先決である。

最新動向

 日本の経済協力については、よく知られており、社会・経済開発等の面での日本の認知度は高い。
 また、当地でトヨタ車を販売するエラ・モーターズ社(豊田通商)等日本企業への就職や国費留学生試験の合格あるいは当地大学在学中の交換留学で日本に滞在することを目的に日本語を学習する学生はコンスタントに存在する(UPNGは早稲田大学及び琉球大学と留学提携している)。なお、当地では、日本語履修者の意欲向上、地域での社会的認知を狙いとして、日本語スピーチコンテストが様々な教育機関において断続的に実施され、最近では、UPNGで日本語ビデオコンテストが開催された。
 2016年には、国立ソゲリ高校と仙台育英高校が姉妹校締結し、仙台育英高校から日本語教師が派遣される予定である。

教育段階別の状況

初等教育

 日本語教育は実施されていない。

中等教育

 日本の高校2、3年生に相当するNational High School、Secondary Schoolの11、12年生を対象に初級日本語を指導することになっている。同国の教育制度では、11、12学年のカリキュラムにおいて主要科目以外の選択必修科目は各高校の裁量により設定ができることになっている。
 現地人日本語教師の可能性については、現状の社会情勢では現地人日本語教師に生活可能な給与が支払われることはまずない。必修科目を持った教員に選択科目として担当させるというアイディアもあるがほとんどの学校で教員充足率は定員割れをおこしており、担当できる余力はない。これらの状況を変えるためには様々な問題があることから、現地人日本語教師が誕生する可能性は非常に低いと思われる。
 ほかに理数科教師やコミュニティ開発のため派遣されたJOCVが高校などの依頼により選択科目で日本語コースを運営する事例が散見されている。その内容は専門的な日本語教育ではなく、異文化理解や楽しむことを主眼においた日本語クラブ的なものである。現在までにバイタバグ小学校、聖ポール記念小学校、ココポ高校、タブビル高校、メルシー高校で実施されたほか、現在ではココポ・ビジネス・カレッジで青少年活動のため派遣されたJOCVが独自の教材を使って日本語教育を実施している。

高等教育

 UPNG及びゴロカ大学(2015年まで)では、人文学部1~4年生を対象とした単位科目として日本語クラスレベル1~4を4年間を通じて取得するコースを開講している。
 両校ともに、ほとんどの学生が初級レベルで学習を終える。国内の日本語需要は低く、在留邦人も少ないため学習の動機付けが課題となっている。しかし文部科学省の国費留学制度が日本語学習の数少ない動機の一つとなっている。日本語を生かした進路がほとんどないため、継続して学習意欲を維持するのが困難な状況にある。
 UPNGでは、2000年に宮崎で開催された「太平洋・島サミット」を契機に日本と太平洋島諸国との知的交流が促進されることとなった。2001年に開かれた太平洋・学長サミットにて琉球大学との間で交換留学生受入制度が2002年度から導入されることが決定され、同大学で日本語を履修する学生から日本への留学生を毎年1~2名送り出している。その他、早稲田大学との間にも交換留学制度が設けられ、数名の学生を送り出している。ゴロカ大学及びUPNGでは、パプアニューギニアの日本語教育機関を対象に実施した国際交流基金日本語学習優秀者研修プログラムにより日本語学習者が訪日している。
 大学では日本語教育を言語教育の柱として本格的に取り組む意向を持っているものの、大学のマネージメントや戦略性が十分でないことから、一選択科目である日本語教育をいかに発展させるかが眼前の課題である。受け皿となるべき民間での活用の機会や環境も全く整っていないことから、日本語教育の発展にはかなり時間を要する。

その他教育機関

 セント・イグナシウス高校では、2002年に当時のJOCV隊員が校内の教員向け日本語クラスを開設。受講者から日本語教師を2名輩出した実績がある。両名はともに数学教師で、生徒対象の日本語クラスにおいて当該隊員とチームティーチングを行った。同様にJOCV隊員が地域の一般住民や教員を対象に日本語クラスを開講するケースはあるが、2016年は、そのようなクラスの開講は報告されていない。
 ゴロカ大学では、2004年に日本語クラスの履修が出来なかった学生、大学職員、外部一般社会人によりJapanese Student Associationが設立され、日本語や文化紹介などに関する行事を日本語教育シニア海外ボランティアと協議・調整しながら実施していた。2007年7月には当該大学においてJapanese Culture Dayが開催された。
 2005年6月からポートモレスビーにおいて現地人日本語教師が個人で毎週土日の各2時間、一般人を対象に初級日本語クラスを開いていたが、現在は行われていない。また2005年8月に大使館にて観光業者、ホテル勤務の社会人を対象に3日間の日本語講習を行ったところ、それが報道される等反響があった。

教育制度と外国語教育

教育制度

 パプアニューギニアでは1年生から8年生までは義務教育である。1994年以降、教育改革が進められており、その一環として就学率向上を目的とするトップアップ(最終学年引き上げ)と呼ばれる学制再編が行われている。旧制度の6-4-2制〔初等教育:Community School 6年間(6歳開始)、中等教育:High School 4年間、10年生を対象に実施される全国試験を経て入学が認められるNational High School(全国で6校のみ)2年間〕から3-6-4制〔初等教育:Elementary School 3年間(Prep~2年生)及びPrimary School 6年間(3~8年生)、続いて中等教育:Secondary School 4年間(9~12年生)※National High Schoolは従来のまま存続〕の形に移行しつつある。高等教育は大学(4年制)、初等教員養成大学(2年制)、技術短期大学(2年制)で、初等教員大学 及び技術短期大学への入学資格は10年生修了から原則12年生修了となっている。初等・中等教育は4学期制、大学は前・後期制、初等教員大学は3学期制をとっている。
 2011年に就任したピーター・オニール首相は、教育を重点分野の一つにあげており、2016年現在12学年までの教育は無料となっている。

教育行政

 公立学校とミッション系の学校、そしてインターナショナルスクールがあるが、インターナショナルスクールを除き教育省・州教育局の管轄下にあり、教職に携わる修道僧を除き、教員は公務員に位置づけられる。国立高校は教育省直轄、その他のSecondary School以下の教育機関は州教育局が管轄する。高等教育機関は高等教育省の下に位置づけられている。

言語事情

 約800種以上の言語があると言われている。公用語は英語、共通語はピジン語、モツ語である。Elementary Schoolでは、現地語か地域で使われている共通語が指導媒体言語となっており、英語教育も除々に行われる。Primary School以上の学校教育は原則英語で行われる。

外国語教育

 パプアニューギニアでは初等・中等教育課程において外国語が指導科目として位置づけられていないため、外国語教育はほとんど行われていないが、11~12年生(日本の高校2~3年生に相当)のカリキュラムでは教育省の承認のもと高校(Secondary School)ごとの裁量により選択科目を設けることができる。
 高等教育では、UPNGで日本語以外に、同じく選択課目としてフランス語(2016年現在では中止)、インドネシア語のコースがある。ゴロカ大学では現時点では日本語のみ(2016年現在中止)となっている。

外国語の中での日本語の人気

 パプアニューギニアのインターナショナルスクールではフランス語、中国語、インドネシア語などが教えられている。大学において日本語の人気はあるものの、他の授業時間と日本語授業時間が重なるなど大学側の運営の問題もあってあまり多くの学生が履修できる状況とはなっていない。

大学入試での日本語の扱い

 大学入試で日本語は扱われていない。

学習環境

教材

初等教育

 日本語教育は実施されていない。

中等教育

 国立ポートモレスビー高校、セント・イグナシウス高校ではボランティア作成の統一教科書が使用されていた。

高等教育

 ゴロカ大学では自作教材あるいは市販の教材を使用し、UPNGでは市販の教科書を購入して使用している。
 パプアニューギニアの日本語教育の共通化を図る環境が十分整っていないため、中等教育から高等教育まで一貫した共通シラバスに基づいた教科書が作成される見通しはない。

その他教育機関

 日本語教育は実施されていない。

マルチメディア・コンピューター

 日本語教育にマルチメディア・コンピューターは使用されていない。

教師会

日本語教育関係のネットワークの状況

 過去に日本語教師分科会がボランティア間で組織されていたが、現在は存在しない。

最新動向

 特になし。

日本語教師派遣情報

国際交流基金からの派遣

 なし

国際協力機構(JICA)からの派遣(2016年10月現在)

シニア海外ボランティア

 パプアニューギニア大学人文社会学部 1名

その他からの派遣

 (情報なし)

シラバス・ガイドライン

 同国教育省に認定されたシラバス・ガイドラインはない。

初等教育

 日本語教育は実施されていない。

中等教育

 シラバス・ガイドラインはJICA派遣ボランテイアが各自作成。内容は初級程度の日本語。

高等教育

 シラバス・ガイドラインはJICA派遣ボランテイアが各自作成。内容は初級程度の日本語。

その他教育機関

 日本語教育は実施されていない。

評価・試験

評価・試験の種類

 ボランティアが作成。

日本語教育略史

1981年 国立ソゲリ高校で日本語教育開始(2006年12月終了)
1984年 パプアニューギニア大学人文社会学部言語文学科にて初級日本語教育(選択単位科目)開始
1999年 セント・イグナシウス高校にて選択科目として日本語コース開設
2002年 セント・イグナシウス高校にてJOCV隊員が教員向け日本語クラス開設(2005年7月終了)
2003年 ゴロカ大学人文社会学部言語文学科にて初級日本語教育(選択単位科目)開始
2007年 国立ポートモレスビー高校にて選択必修科目として日本語コース開設(2008年より休止中)
2008年 ゴロカ大学、UPNG日本語コースがボランティア未確保で一時休止
2009年 ゴロカ大学、UPNG日本語コースが再開
2015年 ゴロカ大学、ボランティア未確保で一時休止

参考文献一覧

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