ペルー(2016年度)

日本語教育 国・地域別情報

2015年度日本語教育機関調査結果

機関数 教師数 学習者数
19 92 4,074
学習者数 内訳
教育段階 学習者数 割合
初等教育 2,104 51.6%
中等教育 290 7.1%
高等教育 100 2.5%
その他 教育機関 1,580 38.8%
合計 4,074 100.0%

2015年度日本語教育機関調査結果 学習者数グラフ
2015年度日本語教育機関調査結果の学習者数に関する帯グラフ。初等教育は2,104名で全体の51.6%、中等教育は290名で全体の7.1%、高等教育は100名で全体の2.5%、学校教育以外は1,580名で全体の38.8%。

(注) 2015年度日本語教育機関調査は、2015年5月~2016年4月に国際交流基金が実施した調査です。また、調査対象となった機関の中から、回答のあった機関の結果を取りまとめたものです。そのため、当ページの文中の数値とは異なる場合があります。

日本語教育の実施状況

全体的状況

沿革

 1908年(明治41年)カニエテ市に日本人小学校が創設されたのが最初であり、その後次々と日本人学校が誕生し、多い時で36校が存在した。1920年(大正9年)には旧リマ日本人小学校が創設され、そのほかにもリマ市内、カリャオ、ワラル、ワチョ、チンボテ、ワンカヨ等において日本人学校が創設された。これは当時の日本人が、永くペルーに残る気持ちはなく、4~5年の間仕事に就き、故郷へ錦を飾るという気持ちを強く抱いており、そのためには子弟の教育も日本語でなければならなかったからである。
 第二次世界大戦が始まると、ペルーはブラジルに先駆けて日本へ宣戦布告する。そして政令により旧リマ日校を始め日本人学校は次々に接収されるか、自発的に門戸を閉じていった。校名を変える、校長をペルー人に変える等の方法で、辛くも存続したのは3校だけであった。
 戦後各地において再度日本語教育機関が創設され、政府の認定校(公教育機関)として現在に至っている。

背景

 日系三世及び四世が主体の現在において、日系一世及び二世が中心となり日本の文化を子弟及びペルー人に伝達すべく、日本語教育と併せて普及活動を行っているが、現在の主流は継承語としての日本語教育でなく、外国語としての日本語教育である。
 大学等で日本語を勉強してもほとんどの場合、単位を取得することは不可能な上、クスコ等の観光都市の一部例外を除き国内において日本語を生かした職につくのは容易ではないのが現状である。

特徴

 2016年6月現在、大小含めて30以上の日本語教育機関、日本語コース、私塾等があるが、きちんと組織され、教師数・学習者数共に充分と言える機関は首都リマに集中しており、地方は体制が脆弱である。また、幼稚園レベルから大学レベルまで幅広く学習者がいるが、大学においては正規科目ではなく課外授業の扱いになっていることがほとんどであり、学習者数の割合は低い。
 日本語学習者は初級レベルが多く、日系人、非日系人、老若男女を問わない。主な学習動機として、(1) 日本語そのものへの興味、(2) マンガ・アニメ等のポップ・カルチャーへの関心、(3)日本への留学、(4)将来の就職等があげられる。マンガやアニメ等、日本のポップ・カルチャーへの関心から学習を開始する若年層が増加している。また、学習者が力を発揮する機会として、日本語能力試験や全国日本語弁論大会等がある。

最新動向

 ペルー日系人協会(APJ)の日本語普及部が、2015年から南米スペイン語圏の各国の参加を得る形で日本語教育連絡会議を開催し、南米スペイン語圏でのネットワーク活性化を図っており、ペルー国内のみならず、南米スペイン語圏を含めた形での日本語教育の推進を目指し精力的に活動を行っている。

教育段階別の状況

初等教育

 下記【中等教育】参照のこと。

中等教育

 2014年現在、ラ・ウニオン総合学校やラ・ビクトリア校など、日系人が設立し、ペルー教育省の公認を受けた5つの小中学校において、第二外国語として日本語が教えられている。これらの学校では、既に非日系人の子弟が過半数を超えており、日常会話を中心に学習している。

高等教育

 日本語は正規の単位取得科目にはなっていないが、2016年10月現在、国立ラ・モリーナ農業大学の語学センター、私立サン・イグナシオ・デ・ロヨラ大学、国立サンマルコス大学で日本語講座を開講している。また、私立カトリカ大学の東洋研究所では、不定期に日本語講座を開講しており、同大学内に設置された山形大学のサテライトオフィスも日本語講座を開講している。一般的に、日本語教育を実施している大学が少ないため、日本語に関心を持つ多くの大学生は、民間の日本語教育機関で日本語を学んでいる。

その他教育機関

 幼児、児童、成人一般と幅広い学習者がいるが、学生、会社員が多数。初級レベルが中心。ペルー日系人協会が日秘文化会館で開講している日本語コースは特に生徒数が多く、2016年12月現在、約500名が在籍している。

教育制度と外国語教育

教育制度

教育制度

 6-5制。
 初等教育が6年間(6~12歳)、中等教育(日本の中学、高校に相当)が5年間。計11年間が義務教育である。

教育行政

 教育機関のすべてが教育省の管轄下にある。

言語事情

 公用語はスペイン語。
 地方ではケチュア語やアイマラ語が使われている。

外国語教育

 公立の小中学校では英語は必修ではないが、一部の学校では教えている。私立学校では、学校により英語のほかに、フランス語、ドイツ語、イタリア語等が幼稚園の時から教えられている。大学では、各校によって選択できる語学に違いがあり、英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ポルトガル語等から選択する。ほとんどの場合日本語では単位を取得できないが、教えている大学もある。

大学入試での日本語の扱い

 大学入試で日本語は扱われていない。

学習環境

教材

初等教育

 下記【中等教育】参照のこと。

中等教育

 日本で出版されたテキストから必要な部分もしくは使用可能な部分を選択、または自作教材を使用している。

  • 『まるごと』(三修社)
  • 『にほんごドレミ』(国際協力機構)
  • 『みんなの日本語初級Ⅰ、Ⅱ』スリーエーネットワーク(スリーエーネットワーク)
  • 『こどものにほんご』子どもの日本語研究会(スリーエーネットワーク)

高等教育

  • 『みんなの日本語初級Ⅰ、Ⅱ』(前出)
  • 自作教材

その他教育機関

  1. 1.日秘文化会館
    1. (1)幼児部、児童部
      • 自作教材
    2. (2)生徒部
      • 『こどものにほんご』(前出)
      • 『みんなの日本語』(前出)
      • 『国語の教科書』中・上級クラス(光村出版)(日本からの帰国子女の教育に使用されている)
    3. (3)成人部
      • 『みんなの日本語』(前出)
      • 『学ぼう! にほんご小中級』日本語教育教材開発委員会(専門教育出版)

マルチメディア・コンピューター

 ほとんどの日本語教育機関にはコンピューターが設置されている。数も使用方法も機関によってかなり違いがあるが、基本的なプリント教材作成、インターネットからのダウンロード、CDDVDなどの視聴覚教材を使ったクラス活動はどの機関でも行われているようである。

教師

資格要件

初等教育

 下記【中等教育】参照のこと。

中等教育

 特に資格や条件は必要ない。
 養成方法としては、ベテラン教師が研修やセミナーまたは実体験で得た知識をもとに、若手教師を養成している。

高等教育

 語学センターでの日本語講座では特に資格や条件は必要ない。

その他教育機関

 特に資格や条件は必要ない。

日本語教師養成機関(プログラム)

 日本語教師養成1年コース(ペルー日系人協会日本語普及部主催)及び日本語教師短期養成講座(ペルー日本語教師会主催)がある。

日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割

 20名の日本人の日本語教師がペルー各地で活動している。

教師研修

 国内研修としては、ペルー日系人協会日本語普及部及びペルー日本語教師会が実施する合同セミナー・勉強会がある。
 訪日研修としては、国際交流基金の日本語教師研修がある。
 JICA助成で、各国持ち回りで開催している「汎米日本語教師合同研修会」がある。

現職教師研修プログラム(一覧)

教師会

日本語教育関係のネットワークの状況

  1. 1.リマ市在住の日本語教師を中心とした「ペルー日本語教師会」があり、弁論大会への協力、日本語能力試験への監督員の派遣、セミナーの開催、教材の貸し出しや相談の随時受け付け等を行っている。
  2. 2.日系人協会日本語普及部主催による「日系校及び日本語教育機関の校長とコーディネーターの会議」(必要に応じて開催)では、日本語教育について情報交換を行っている。

最新動向

 2014年から2015年にかけて、ペルー日系人協会日本語普及部が、国際交流基金、国立サンマルコス大学、サンパウロ大学、ブラジリア大学等の協力を得て日本語教育専門家育成プログラムを開催した。

日本語教師派遣情報

国際交流基金からの派遣

 なし

国際協力機構(JICA)からの派遣(2016年10月現在)

青年海外協力隊

 ペルー日系人協会 クスコ 1名

シニア海外ボランティア

 NGO ペルー日系人協会 日本語普及部 1名

その他からの派遣

 (情報なし)

日本語教育略史

1908年 カニエテ市に日本人小学校が創設

参考文献一覧

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