プエルトリコ(2016年度)

日本語教育 国・地域別情報

2015年度日本語教育機関調査結果

 なし

日本語教育の実施状況

全体的状況

沿革

 1970年代から1980年代にかけては日本企業進出の影響により、日本語補習校が設立。生徒は駐在員子女達を中心に20名前後、日本からの派遣教師1名。その間は地元との文化交流もあり、生け花や折り紙の展示会等も行われていた。1990年からは日系企業が縮小されたため、2001年に日本語補習校も閉校となった。
 1988年にプエルトリコ国立大学人文学部に選択科目として日本語講座が開設、1998年と2004年にはプエルトリコ大学マヤグエス校で一時的に選択科目として日本語講座が開講。2009年、ポンティフィカカトリック大学とインターアメリカン大学(私立)にも選択科目として日本語講座が設立。ポンティフィカカトリック大学は、2010年に日本語学習者28名が夏季に日本への観光・視察旅行を実施した。2013年に担当教授の都合がつかず、一旦閉講となったが、2016年8月から再開した。私立の語学学校では現在日本語クラスは開講されていない。
 2016年11月現在、プエルトリコにおける日本語教育機関数は3校、教師数は3名、学習者数は119名。

背景

 1898年、米西戦争の講和条約でアメリカ合衆国自治領となる。政治的・経済的・文化的にアメリカとの関連が強く、また日本の工業製品も豊富であり、日本に対する尊敬・関心も非常に高い。合気道、空手、武道が活発で、特に大学では柔道を30年以上教えている日本人教授もいる。また、盆栽、日本のポップカルチャーやアニメも流行している。このような背景のもと、日本語に対する地域の人達の興味は年々増加している。日本語に対する政府の関心は、現在のところ、大学を除き、それほど高くない。国としてはスペイン語(第一言語)と英語の2か国語を同時併用することを目的にしているため、初等教育、中等教育においては英語教育が必修科目として非常に重要視されている。私立教育機関においては、外国語として他のラテン系言語を取り入れている学校もある。また日本人が国全体で約30名と少人数であるため、日本語教育の必要性、活用性に限界があることも、政府において日本語が重要視されていないことのひとつの理由となっている。日本語教育はアメリカ合衆国に比べると随分遅れているが、大学では将来、日本留学・就職を目標にする学習者が年々増加している。

特徴

 スペイン語と英語の併用国であるため、英語は初等教育から必修科目である。中等教育に入るとフランス語、イタリア語を教える私立学校もある。プエルトリコ大学人文学部言語学科ではスペイン語、英語が専攻科目、フランス語、イタリア語、ポルトガル語は副専攻科目、ドイツ語、ロシア語、アラブ語、日本語、中国語が選択科目として開設されている。日本語の学習動機は、日本文化への関心、若年層のアニメへの関心などが挙げられ、技術・経済の発展した国として尊敬され、良好なイメージを持っているが、国内には日系人が少なく、日本語は実利性が低いため、日本語学習者には、日本留学、短期留学、または日本での就職を目標とする者が多い。

最新動向

 言語に関する国の政策は、完全なスペイン語、英語併用国となることを第一目標としているため、初等、中等教育における日本語教育は実施されていない。とはいえ、若年層における日本への関心から、日本語学習者は増加傾向にある。プエルトリコ大学では長年選択科目と公開講座が開講されている。また、ポンティフィカカトリック大学では日本語が2009年に選択科目として開設され、2013年に担当教授の都合がつかずに一旦閉鎖されたが、2016年8月から再開している。日本語教師はプエルトリコ全体で3名しかおらず、各々がカリキュラムを組み、教材を選択しており、共通のシラバス・ガイドラインはない。また、日本語能力試験は実施しておらず、受験する場合は個人的にアメリカ合衆国の受験地に参加するようになっている。

教育段階別の状況

初等教育

 日本語教育は実施されていない

中等教育

 日本語教育は実施されていない。

高等教育

 プエルトリコ国立大学人文学部では1988年以降、現在にいたるまで選択科目として日本語講座が設置されている。言語学科ではスペイン語、英語が専攻科目、ポルトガル語、フランス語、イタリア語が副専攻科目であり、ドイツ語、ロシア語、アラブ語、日本語、中国語は選択科目として扱われている。また公開講座においては他校の大学生・一般人対象に年々受講者が増加している。プエルトリコ大学マヤグエス校では1994年、2004年に選択科目として日本語講座が開講された。将来、大学の言語政策、教授人材によっては日本語教育が進展される可能性もある。ただし、この国には日系人が少ないことから、日本語が多少できても就職には非実利的であるため、JETプログラムや短期留学に参加する学生や、文部科学省奨学金留学生の選考試験に合格することを目標にしている学生もいる。なお、この試験はアメリカ合衆国(ニューヨーク)で受験しなければならないが、2009年と2011年7月に、2名の学生が文部科学省国費生として合格し、多くの学生に良い影響を与えた。その他、2011年6月に学生達と日本人会との共催で第1回日本祭り(東日本大震災への義援金集めが目的)を行い、大好評を博した。これを機に毎年行われている。
 ポンティフィカカトリック大学とポンセ市のインターアメリカン大学(私立)では、2009年に日本語講座を選択科目として開設、日本の大学を卒業した地元出身者が日本語教授として招かれた。2013年、私立サグラドコラソン大学において、初級レベルの日本語が選択科目および公開講座として開講。同大学における今後の目標として、東京の私立大学との交換留学制度の導入を検討している。

その他教育機関

 1970年代から1980年代にかけては、日本企業の進出により、日本語補習校が開校され、小規模ながら地元コミュニティーに文化を紹介するイベント(折り紙・生け花教室)も時々開催していたが、一般人に対する日本語教育は実施されていなかった(2001年閉校)。私立語学学校においては、ベルリッツとパンアメリカンで時々日本人による日本語講座が開講されていたが、2016年現在は閉講となっている。その他、日本人による個人教室も少人数で行われている。学習者は大学生が多く、社会人は非実利的ということもあってその数は少ない。

教師

資格要件

初等教育

 日本語教育は実施されていない。

中等教育

 日本語教育は実施されていない。

高等教育

 大学院卒が条件。ただし私立大学においては、大学卒で日本語教師としての経験があれば採用有り。

その他教育機関

 特に要件はなく、日本人であれば採用有り。

日本語教師養成機関(プログラム)

 日本語教師養成を行っている機関、プログラムはない。

日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割

 ネイティブ教師は、大学の日本語教師2名(大学卒で日本語教師として長年の経験有)。ネイティブ教師としての役割は、語学だけでなく、日本文化(伝統文化や生活等)も含めたクラスでの指導、並びに日本祭の実施など、好評を得ている。英語あるいはスペイン語も堪能である必要有り。

教師研修

 現職の日本語教師対象の研修はない。

教師会

日本語教育関係のネットワークの状況

 日本語教育関係のネットワークはないが、各教師がアメリカの日本語教育会に参加するように努めている。

最新動向

 ポンティフィカカトリック大学、サクラドコラソン大学において、短期留学、文換留学制度を検討中。

日本語教師派遣情報

国際交流基金からの派遣

国際協力機構(JICA)からの派遣

 国際交流基金、JICAからの派遣は行われていない。

その他からの派遣

 以前は、プエルトリコ大学にALLEXAlliance for Language Learning and Educational Exchange)が派遣されたが、2016年現在はない。

シラバス・ガイドライン

 統一したシラバス、ガイドライン、カリキュラムはなく、各教師がニーズにそって制作している。 2016年現在、3つの大学では「Japanese for Busy People Ⅰ, Ⅱ」をテキストとして使用している。

評価・試験

評価・試験の種類

 共通の評価基準や試験はなく、各大学による。

日本語教育略史

1980年 日本人会に日本語補習校が設立される
1980年~1985年 プエルトリコ国立大学で日本語公開講座開設
1988年 プエルトリコ国立大学人文学部に選択科目として日本語講座開設
1990年 私立語学学校ベルリッツが日本語講座開設。現在は閉講
2001年 日本語補習校閉校
2005年 私立語学学校パンアメリカンが日本語講座開設
(学生数が集まった時のみ開講しており、2016年現在は閉講中)
2009年 ポンティフィカカトリック大学、インターアメリカン大学(私立)に選択科目として日本語講座開設
2013年 ポンティフィカカトリック大学、インターアメリカン大学の日本語講座閉鎖
私立サクラドコラソン大学で選択科目(初級)および公開講座(初級)としての日本語講座開設
2016年 ポンティフィカカトリック大学の日本語講座再開
私立サクラドコラソン大学の初級・中級Iがオープン
10月に日本文化祭を開催

参考文献一覧

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