カタール(2016年度)

日本語教育 国・地域別情報

2015年度日本語教育機関調査結果

機関数 教師数 学習者数
4 14 146
学習者数 内訳
教育段階 学習者数 割合
初等教育 0 0.0%
中等教育 55 37.7%
高等教育 40 27.4%
その他 教育機関 51 34.9%
合計 146 100.0%

(注) 2015年度日本語教育機関調査は、2015年5月~2016年4月に国際交流基金が実施した調査です。また、調査対象となった機関の中から、回答のあった機関の結果を取りまとめたものです。そのため、当ページの文中の数値とは異なる場合があります。

日本語教育の実施状況

全体的状況

沿革

 ハマド前首長は首長時代より、カタール国民が日本式教育を受けることのできる「日本学校」の設立を自ら強く希望し、同構想の準備段階として2006年11月より、国際交流基金を通じての日本人日本語講師3名の招聘が実現した。2013年6月に新たに即位したタミーム首長も皇太子時代より引き続き日本式教育の重要性を強調している。
 上記3名の日本語教師のうち2名(男性1名、女性1名)は教育省附属語学センターの成人向けクラスに、1名(女性)は最高教育評議会に属するアル・バヤーン女子学校(小中高校)に配属され、児童から成人までの広い年齢層をカバーする日本語講座が同時に誕生した。
 カタール教育省附属語学教育センターは、成人(18歳以上)、また主にカタール政府公務員を対象に、全6レベルの授業を実施。2009年3月に最初の修了生を輩出、2010年6月まで300人以上の学生が日本語を学習したが、2010年7月、語学教育センターの閉校に伴い、日本語講座も終了した。
 Qatar Eastern Language Centerは、カタール教育省語学教育センターの閉校に伴い、同センターに勤務していた日本語講師がカタール人実業家の支援を得て、2011年3月に設立。14歳以上の男女学生、社会人を対象に日本語講座及び文化講座を実施していたが、2013年6月をもって閉校した。
 また、2008年6月、アル・バヤーン女子学校で日本語教育を行っていた日本語教師の任期満了に伴い、2008年10月より在留邦人が同校の日本語講座を受け持ち積極的に日本文化紹介行事等を実施した。同校の日本に対する関心は高いものの、2009年9月から日本語コースは中止されている。
 2010年に、カタール安全保障国際アカデミー(内務省付属)「Qatar International Academy for Security Studies (QIASS)」が日本語講座を開設。現在5名が日本語を学んでいるが、2016年末までに閉鎖見込み。
 2012年より、当地インディペンデント・スクール(カタール政府より資金面でのサポートを受ける一方、学校運営面での一定の独立が認められている公立学校)のターリク・ビン・ズィヤード男子高校にて、第二選択外国語としての日本語教育が導入された。現在30名の生徒が高校3年生であり、20名が高校2年生に属している(2016年10月現在)。
 2012年に丸紅がカタール大学に対して行った5年で総額600万米ドルの支援の一部を用いて、2014年より日本史・日本の社会と文化・日本語の各講座を同大学に開設。当初、エジプト籍講師2名がそれぞれ日本史と日本語を、カナダと豪州の二重国籍を持つ講師1名が日本の社会と文化を担当。2016年9月からはエジプト籍講師に代わり日本語講師として日本人1名が着任。

背景

 新興ガス大国として急速な発展を遂げるカタールでは、2030国家ビジョンの一環の人材育成の柱の一つとして、イスラーム主体の伝統的教育から「自ら考え行動できる人材育成」に向けた教育改革が進められている。海外の教育制度への関心も高く、「伝統と近代化の融合を成し遂げ、勤勉な国民を生んだ国」として、日本の教育制度への関心も強い。

特徴

 会話及び簡単な読み書きが中心になっているが、DVDやスライドを用いた日本文化の紹介も行われており、日本文化全般に親しむことを目的とするコースが多い。全体として、初級レベルのコースが中心となっている。

最新動向

 特になし。

教育段階別の状況

初等教育

 日本語教育は実施されていない。

中等教育

 日・カタール外交関係樹立40周年(2012年)の節目に、第二選択外国語として日本語教育の試験的導入が開始し、ターリク・ビン・ズィヤード男子高校にて日本語教育が行われている。

高等教育

 カタール大学で2014年から日本語講座を開設。「Virginia Commonwealth University in Qatar (VCUQ)」は、京都の精華大学と交流がある他、研修旅行として毎年訪日している。

その他教育機関

 教育省附属語学教育センターの成人向け講座の終了に伴い、民間学校として2011年3月にQatar Eastern Language Centerが設立され、14歳以上の男女学生、社会人を対象に日本語を教えていたが、2013年6月をもって閉校した。また、カタール内務省の教育機関である「Qatar International Academy for Security Studies(QIASS)」は、カタール人公務員を対象にした日本語専修クラスにて日本語教育を行っている。

教育制度と外国語教育

教育制度

教育制度

 6-3-3制。
 義務教育は高校まで。高等教育機関は、かつてカタール大学が唯一の大学であったが、1997年以降、カタール財団が欧米の大学を学部単位でカタール人の支援としてEudcation Cityに誘致しており、大学選択の幅が急速に拡大している。

教育行政

 2009年度より教育省は最高教育評議会(SEC)に吸収され、教育・高等教育相はSEC事務局長を兼務していたものの、2016年1月にSECは廃止され、その機能は教育・高等教育省の管轄に吸収された。中等教育機関には、 Education InstituteIndependent School、カリキュラム等の管轄及びPrivate Schoolの管轄)、 Evaluation Institute (テスト、生徒や学校のパフォーマンス等の管轄)及びHigher Education Institute (高等教育、職業教育等の管轄)がある。

言語事情

 アラビア語が公用語だが、英語も広く話されている。

外国語教育

 英語が主流。課外授業としてフランス語等の教育が行われている。

外国語の中での日本語の人気

 生活や仕事に必要とされる言語ではないため、それほど学習者は多くない。他方、カタールではアフター・スクール、アフター・ワークの余暇時間が十分にあり、学習者の多くは、日本のアニメやドラマ、ゲームなどポップカルチャーの影響、あるいは日本語学習そのものへの興味から、趣味として日本語を学習している。また、2012年は日・カタール外交関係樹立40周年に当たり、在カタール日本大使館とカタール政府及び関連機関は、共同プロジェクト「カタール日本2012」を立ち上げ、その下で一年を通じて種々の祝賀行事を実施した。日本語スピーチ大会の開催や日本関連書籍の寄贈等、日本語普及を主な目的とする行事に加え、日本のポップカルチャーに焦点を当てた行事を多数実施したことにより、特に若者層における日本語への関心を高めることになった。

大学入試での日本語の扱い

 大学入試で日本語は扱われていない。

学習環境

教材

初等教育

 日本語教育は実施されていない。

中等教育

 ターリク・ビン・ズィヤード男子高校では、講師自らが教材を用意しているほか、生徒は学校側から支給されたタブレットPCを学習に利用している。

高等教育

 カタール大学で2014年から日本語講座を開設。

その他教育機関

 『みんなの日本語』スリーエーネットワーク(スリーエーネットワーク)を基本とし、講師が自ら作成。

マルチメディア・コンピューター

 日本語教育にマルチメディア・コンピューターは使用されていない。

教師

資格要件

初等教育

 特になし。

中等教育

 特になし。

高等教育

 特になし。

その他教育機関

 特になし。

日本語教師養成機関(プログラム)

 日本語教師養成を行っている機関、プログラムはない。

日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割

 2014年6月現在、カタール安全保障国際アカデミー(内務省付属)「Qatar International Academy for Security Studies (QIASS)」では、日本人日本語教師1名が勤務している。2016年10月現在、カタール大学では、日本人日本語教師1名が本年9月より勤務している。その他、個人で日本語を自宅等で教えている方も数名いる。

教師研修

 現職の日本語教師対象の研修はない。

教師会

日本語教育関係のネットワークの状況

 「カタール日本語教師会(JALTAQ)」(2010年設立)
 日本語教師のみならず、日本語教育に関心がある在留邦人や日本や日本文化を発信していくことに関心のあるメンバーを中心として活動中。また、カタールでは日本語教師の不足も課題となっているため、日本語教育への関心がある者への勉強会の開催や情報交換を行っている。2016年10月現在の会員数は6名(この他賛助会員が8名)。
 2016年5月に日本語スピーチコンテストを在カタール大使館とカタール日本語教師会が共催で開催。カタール日本語教師会は、不定期に日本語で会話を行う「話そう会」を実施している。この他、不定期(年1~2回)に短期集中講座を実施している。

日本語教師派遣情報

国際交流基金からの派遣

国際協力機構(JICA)からの派遣

 国際交流基金、JICAからの派遣は行われていない。

その他からの派遣

 (情報なし)

日本語教育略史

2006年 カタール教育省附属語学教育センター成人向け講座開始 アル・バヤーン女子学校にて日本語講座開始
2009年 アル・バヤーン女子学校日本語コース中止
2010年7月 カタール教育省附属語学教育センター閉校
2010年9月 カタール安全保障国際アカデミー(内務省付属)「Qatar International Academy for Security Studies;QIASS」開校
2011年3月 Qatar Eastern Language Center開校
2012年9月 ターリク・ビン・ズィヤード男子高校にて日本語学習が開始
2013年6月 Qatar Eastern Language Center閉校
2014年9月 カタール大学にて日本語講座が開設
2016年12月 カタール安全保障国際アカデミー(内務省付属)「Qatar International Academy for Security Studies;QIASS」閉校(予定)

参考文献一覧

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