スロベニア(2016年度)

日本語教育 国・地域別情報

2015年度日本語教育機関調査結果

機関数 教師数 学習者数
初等教育 中等教育 高等教育 その他
教育機関
合計
1 8 0 0 275 0 275
0.0% 0.0% 100.0% 0.0% 100.0%

(注) 2015年度日本語教育機関調査は、2015年5月~2016年4月に国際交流基金が実施した調査です。また、調査対象となった機関の中から、回答のあった機関の結果を取りまとめたものです。そのため、当ページの文中の数値とは異なる場合があります。

日本語教育の実施状況

全体的状況

沿革

 旧ユーゴスラビア時代には、セルビアのベオグラード大学が日本語教育に早くから力を入れており、1976年に日本語講座が開設された。スロベニアでは、1980年代にボランティアメンバー「スロベニア東方学会」による日本語講座が設けられ、これが母体となって1995年にリュブリャナ大学文学部アジア・アフリカ研究学科内に日本研究講座(Japanese Studies)が開設された。また、国内第二の都市マリボルでは、マリボル大学文学部が2008年11月より一般市民を対象とした公開日本語講座を開設したが、財政上の理由により同講座は閉講となっている。 ※スロベニア共和国は1991年に旧ユーゴスラビアより独立。

背景

 EU各国語をはじめとする広範な地域の言語教育に意欲的に取り組んでいる。諸文化の接点に位置するという地理的条件や、自国語の通用範囲が限定的であることから、ヨーロッパ言語を中心に、複数の外国語を習得している人が多い。日本語や日本文化についても興味関心が高く、若年層では日本のポップカルチャー(アニメ、マンガ、ファッションなど)への関心をきっかけとして、日本語学習を始める学生が多い。
 また、俳句や武道などが日本語学習を始めた契機という日本語学習者もいる。

特徴

 1995年に設置されたリュブリャナ大学文学部アジア・アフリカ研究学科の日本研究講座は、同大学のアンドレイ・ベケシュ教授(文部科学省国費留学生OB、外国人叙勲受章者)の尽力により、発展してきたところが大きい。同講座は旧ユーゴ地域随一の充実した教師陣を誇り、初級から上級まで幅広い講座を提供している。高いレベルの日本語能力と学習成果が問われ、卒業が難しい講座のひとつとされているが、それだけに有能な人材を輩出している。また、筑波大学、群馬大学、東京外国語大学、東京工業大学、宮崎大学、東北福祉大学、日本女子大学、西九州大学、立教大学との留学生・教員・研究者交流が活発に展開されており、日本とスロベニアの人材交流にも大きく貢献している。
 同大学は一般市民を対象とした公開講座も実施しており、これまで累計250名程度の一般市民が、日本語を学習している。

最新動向

 リュブリャナ大学では、言語学の分野に限らず、広範囲にわたる日本関連情報を発信している。また、客員教授の招聘による集中講義や公開講座、日本の伝統芸能の紹介を取り入れた授業なども、積極的に行っている。日本語学習普及に関しては、2009年度より日本語スピーチコンテストが過去4回実施されている。また、2009年9月、2012年3月には、国際シンポジウムが開催され、中東欧から日本研究と日本語教育の専門家が一堂に会し、中東欧地域におけるネットワークの構築や、日本研究分野におけるこれからの方向性についての話し合いが行われた。この話し合いは、その後も中東欧を巡回しながら行われている。
 2014年8月27~30日にはEAJSEuropean Association for Japanese Studies)国際会議が開催され、世界各国から1,000名近い参加者がリュブリャナに集まった。
 なお日本研究講座は、2012年に寄贈を受けた浜口恵俊教授蔵書(約4,000冊)を含む13,000冊の蔵書を有し、2015年には日本研究講座設立20周年を記念し「スロベニア日本研究センター」が設立され、記念行事として国際会議も開催された。2016年、日本語教師が主体となって「スロベニア日本語教育協会」が設立され、高等教育機関以外でも日本語教育を普及していこうという試みが見られる。

教育段階別の状況

初等教育

 日本語教育は実施されていない。

中等教育

 課外活動としてではあるが、一部の高校で日本語教育が行われている。但し組織だった教育ではなく、散発的なものである。高校で選択科目として取り上げることも検討されているが、教師の確保及び指導要綱の策定等が課題となっている。

高等教育

 リュブリャナ大学文学部アジア・アフリカ研究学科内に日本研究講座が設置されている。日本研究に必要な日本語力を育成し、研究者、通訳・翻訳、ビジネスなどの分野に専門家を輩出しており、両国の交流を支援できる人材の育成機関として、不可欠な存在となっている。常勤講師数10名、日本研究専攻の学生は約170人、選択科目として日本語を履修する学習者は約30人である。教育機関における学習者数は減少しているが、これはプログラム運営上の方略であり、日本研究は文学部でも屈指の入学希望者数が多いコースである。2009年10月からボローニャ・システムに基づいた新しいシステムが導入された。専攻にはシングルメジャーとダブルメジャーがあり、学士課程の3年間で日本研究を行うのに必要な基礎的日本語力と専門的知識を身につけることを目的とする。修士課程は2年。

その他教育機関

 リュブリャナ大学が一般市民を対象とした公開講座を実施している。リュブリャナ大学における日本研究を専攻とする学生以外の日本語学習者は約30名である。また、高校生を対象にした日本語コースも2006年から開かれており、リュブリャナ大学の日本研究と交流しながら日本語学習を行っている。
 また、語学学校及び個人教室形式にて、基礎レベルの日本語講座が実施されている。

教育制度と外国語教育

教育制度

教育制度

(出典:スロベニア教育スポーツ省ホームページ
 Education System in Slovenia, General Description Structure

 独立後スロベニアは教育制度改革を徐々に推進し、1996年から2000年にかけて教育に関する新しい法律が多く立法化された。
 義務教育は9年制で、3サイクル(各3年)から構成され、6歳から入学。
 中等教育は、普通科高等学校(ギムナジヤ)のほか、技術科高等学校、職業科高等学校等から成る。普通科高等学校は4年制。高等学校の卒業試験を経て大学入学資格を取得する。
 大学では、3年から6年をかけてディプロマを取得。研究を進める学生は大学院に進学し、修士号に相当する2つ目の学位(マギステル)、更には博士号を取得する。

教育行政

 2004~2011年は教育・スポーツ省と高等教育・科学・技術省、2012~2013年は教育・科学・文化・スポーツ省、2013年から現在に至っては教育・科学・スポーツ省が教育全般を所管。専門的教育や、特別なニーズに対応する教育等については、一部他省庁が所管。

言語事情

 公用語はスロベニア語(母語話者約90%)。少数民族言語はイタリア語とハンガリー語で、少数民族居住地域の公用語として併用。その他、英語、独語、旧ユーゴ諸国の言語を理解する国民が多い。

外国語教育

 初等教育より外国語が必修。これまで第一外国語は小学校4年次より学習していたが、2015年から小学校1年次より第一外国語(英語かドイツ語)が選択科目となり、2016年からは小学校2年次より第一外国語(英語かドイツ語)が必修となった。また現在、7年生(中学1年相当)より第二外国語も必須となる制度改革の途上であり、段階的に実施されている。選択可能言語は、英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語、ハンガリー語、クロアチア語、ロシア語、スペイン語等。

外国語の中での日本語の人気

 日本研究は、近年、人気の専攻分野として常に上位にある。

大学入試での日本語の扱い

 大学入試で日本語は扱われていない。

学習環境

教材

初等教育

 日本語教育は実施されていない。

中等教育

 正規教育という形では日本語教育は実施されていない。

高等教育

初級 "Japonščina za začetnike Ⅰ - Ⅱ" (初級日本語Ⅰ・Ⅱ)
"Sodobna japonska slovnica za začetno stopnjo. Ⅰ・Ⅱ(初級日本語文法Ⅰ・Ⅱ)
"Uvod v japonsko pisavo : hiragana, katakana in prvih 854 pismenk(日本語表記入門)ほか
(いずれもリュブリャナ大学文学部出版)
中級 『新文化初級日本語Ⅱ』文化外国語専門学校(文化外国語専門学校)ほか
中上級 『上級へのとびら』岡まゆみ他(くろしお出版)ほか

その他教育機関

 リュブリャナ大学の公開講座では、講師が適宜選択。

マルチメディア・コンピューター

 リュブリャナ大学文学部の各教室にインターネットに接続したコンピュータ、プロジェクター等が整備されており、日本語の授業では積極的に利用されている。初級では動画を使った聞き取りや会話練習、中・上級では聞き取りに加えて日本語での情報検索、日本語学習支援ツールの利用など、コンピューターリテラシーの授業も行われている。また、リュブリャナ大学文学部で編集された日本語・スロベニア語辞典や、読解支援システムがインターネット上(http://nl.ijs.si/jaslo/)で公開され、学生と教師に愛用されている。2012年には筑波大学より貸与を受けたPolycom(テレビ会議システム)を設置、主に日本との会議や研究発表で用いられると共に、通常授業ではインターネット回線を利用したテレビ会議システムもしばしば利用されている。

教師

資格要件

初等教育

 日本語教育は実施されていない。

中等教育

 正規教育という形では日本語教育は実施されていない。

高等教育

 講師・助教授・教授は博士号所有、研究業績、国内・国外における日本語教育・日本語研究の業績等が要求されている。助手及びlektor(語学教員)の場合は、学士号、教師経験等一定程度の業績が必要。

その他教育機関

 リュブリャナ大学の公開講座は、大学の教員が担当。

日本語教師養成機関(プログラム)

 日本語教師養成を行っている機関、プログラムはない。

日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割

 リュブリャナ大学では、常勤講師数10名のうち、日本人講師3名。

教師研修

 交流協定に基づき、筑波大学、東京外国語大学、日本女子大学の学生が毎年5~10名前後訪れ、1週間から3週間の集中教育実習を行っている。

現職教師研修プログラム(一覧)

教師会

日本語教育関係のネットワークの状況

 日本語・日本研究が行われている機関が、事実上リュブリャナ大学のみであるため、実質的に、同大学の学科会議がその役割を果たしている。

最新動向

 特になし。

日本語教師派遣情報

国際交流基金からの派遣

国際協力機構(JICA)からの派遣

 国際交流基金、JICAからの派遣は行われていない。

その他からの派遣

 (情報なし)

シラバス・ガイドライン

 統一シラバス、ガイドライン、カリキュラムはない。

評価・試験

 共通の評価基準や試験はない。

日本語教育略史

1976年 ベオグラード大学にて日本語講座開設(旧ユーゴスラビア時代)
1980年代 ボランティアメンバー(スロベニア東方学会)による日本語講座開始
1995年 リュブリャナ大学文学部アジア・アフリカ研究学科に日本研究講座設置
1997年 リュブリャナ大学にて「第10回日本語教育連絡会議」
2003年 リュブリャナ大学にて「第16回日本語教育連絡会議」
2006年 リュブリャナ大学にて「第19回日本語教育連絡会議」
2008年 マリボル大学文学部に、公開講座として日本語講座開始
2009年 リュブリャナ大学文学部アジア・アフリカ研究学科第1回国際シンポジウム開催
リュブリャナ大学にて、南東欧・西バルカン日本語教育研究国際会議開催
リュブリャナ大学にて、第1回日本語スピーチコンテンスト実施
2012年 リュブリャナ大学文学部アジア・アフリカ研究学科第2回国際シンポジウム開催(第2回中東欧日本研究ネットワーク会議)
リュブリャナ大学にて、第2回日本語スピーチコンテンスト実施
2013年 リュブリャナ大学にて、第3回日本語スピーチコンテンスト実施
2014年 リュブリャナ大学にて、第4回日本語スピーチコンテンスト実施
リュブリャナ大学にて、EAJS第14回国際会議開催
2015年 リュブリャナ大学にて、第1回日本研究フェスタ(研究発表会)開催
リュブリャナ大学にて、文学部アジア研究学科(日本研究講座)設立20周年を記念し、国際会議を開催
2016年 リュブリャナ大学にて、第2回日本研究フェスタ(研究発表会)開催

参考文献一覧

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