台湾(2016年度)

日本語教育 国・地域別情報

2015年度日本語教育機関調査結果

機関数 教師数 学習者数
851 3,877 220,045
学習者数 内訳
教育段階 学習者数 割合
初等教育 3,091 1.4%
中等教育 75,588 34.4%
高等教育 99,035 45.0%
その他 教育機関 42,331 19.2%
合計 220,045 100.0%

2015年度日本語教育機関調査結果 学習者数グラフ
2015年度日本語教育機関調査結果の学習者数に関する帯グラフ。初等教育は3,091名で全体の1.4%、中等教育は75,588名で全体の34.4%、高等教育は99,035名で全体の45.0%、学校教育以外は42,331名で全体の19.2%。

(注) 2015年度日本語教育機関調査は、2015年5月~2016年4月に国際交流基金が実施した調査です。また、調査対象となった機関の中から、回答のあった機関の結果を取りまとめたものです。そのため、当ページの文中の数値とは異なる場合があります。

日本語教育の実施状況

全体的状況

沿革

 台湾における日本語教育は、おおよそ次の5段階に分けられる。

  1. 1.1895年~1945年(日本統治時代)
     日清戦争後に日本が台湾の領有権を得てから第二次世界大戦終結まで、半世紀にわたった日本統治時代には、日本の教育制度が持ち込まれ、初等教育を中心に国語としての日本語教育が行われた。初等教育の就学率は、日本統治時代終了直前には70%超にまで達したという。
  2. 2.1946年~1971年(第二次世界大戦後)
     戦後の台湾では国語(中国語)教育が進められ、日本映画の上映や新聞・雑誌・公共放送など公式な場での日本語の使用は禁止された。しかし、日台間の人的・経済的交流が盛んであったことから、日本語教育の需要は高く、主に語学学校で日本語が教えられていた。1960年代からはそれまで教材として利用されていた日本の小学校教科書や戦前に中国大陸で作られた教材に代わり、台湾製の日本語教材が増加した。1963年、私立の中国文化学院(現在の中国文化大学)に日本語学科が設立され、戦後初めて高等教育機関における日本語教育が開始。その後、中国文化学院に続いて、淡江大学、輔仁大学、東呉大学が加わり、計4校の私立大学に日本語学科が設置された。中国文化学院には修士課程も設置された。
  3. 3.1972年~1986年(日台断交後)
     日中国交回復に伴う日台断交後、日本語学科の増設は一切許可されなくなった。しかし、一方で日台間の経済的・文化的交流は拡大を続け、日本からの観光客の増加もあったことから、日本語教育の需要は高かった。
     1980年、国立の高等教育機関として初めて台中商業専科学校(現在の台中科技大学)に日本語学科が設置された。同時期に、既に日本語学科を有していた東呉大学、淡江大学に修士課程が設置され、教育部(文部科学省に相当)所属の教育ラジオで日本語講座が始まり、さらに官庁でも日本語人材養成クラスが設けられた。
  4. 4.1987年以降~1990年代前半(戒厳令解除後)
     1987年の戒厳令解除、1988年の李登輝総統就任以降、政治状況が一変すると、一元的言語政策による国語(中国語)教育の徹底から転じて、母語(「郷土語言」という。台湾語、客家語、原住民族語がある)教育が始まり、また国際化へ向けて外国語教育が推進された。外国語教育の推進は、最も人気の高い日本語の普及につながることとなる。1989年に国立政治大学、1994年に国立台湾大学に日本語学科が設置されると、日本語学科開設の波は台湾全土に広がった。また、1989年に台湾日本語文学会(日本語・日本文学関連の学会)、1993年に台湾日語教育学会(日本語教育関連の学会)が設立された。
  5. 5.1990年代後半以降
     1996年から高等学校(「高級中学」という)での第二外国語教育が試験的に実施され始めた。
     教育部による「推動高級中学選修第二外語課程実験計画」の試行(1996年)、及び「推動高級中学第二外語教育五年計画」の施行(1999年7月~2004年12月)により、日本語教育の実施校及び学習者数は飛躍的に増えた。教師の待遇や大学における外国語教育との連携などの反省点を踏まえた「推動高級中学第二外語教育第二期五年計画」(2005年1月~2009年12月)では、高級中学学生預修大学第二外語課程專班(APクラス=Advanced Placement class)を開始。これは選抜試験に合格した高校生を対象に、大学教員が週末に教える特別授業であり、履修した授業の単位は大学の単位として認められるなどの特典がある。続いて「推動高級中学第二外語教育第三期五年計画」(2010年1月~2014年12月)、「推動高級中学第二外語教育第四期五年計画」(2015年1月~2019年12月)が施行されている。
     また、2000年代に入ってからは、徐々に小学校や中学校においても日本語をカリキュラム、または課外活動に取り入れる機関が登場している。

背景

 日本台湾交流協会が2016年1月~2月に実施した世論調査によれば、「最も好きな国は日本」という答えが前回2012年度調査より13%上昇して56%に達し、2位の中国の6%に大差をつけて首位を維持した。東日本大震災の発生時には、台湾から200億円を超える義援金が寄せられ、台湾からの支援に感謝を伝える数々の活動が大小問わず年間を通じて今も行われている。人物往来では、2011年のオープンスカイを受けて日台間の航空路線が20路線に拡大したことや円安などにより、2015年の台湾からの訪日者数は前年比約30%増の368万人、日台双方の往来者数は531万人となり、いずれも過去最高を更新した。良好な対日イメージを基盤として、伝統・現代両面の日本文化に対する関心、日本観光の人気は高く、日本語教育の裾野の広さを支えている。

台湾における対日世論調査(日本台湾交流協会台北事務所のウェブサイト)
https://www.koryu.or.jp/taipei/ez3_contents.nsf/all/7B4C76E0FC259BAF49257FF400394934?OpenDocument

特徴

 日本語は英語に次いで学習者の多い外国語である。2015年度日本語教育機関調査によると、最も学習者が多いのは、高等教育機関で99,035人。次に多いのが、第二外国語教育推進政策がとられている中等教育機関における日本語学習者で、75,588人である。いずれも少子化の影響を受け、学習者数は減少傾向にある。日本語能力試験の応募者数は77,318人、受験者数は70,147人(2015年)を数え、応募者数・受験者数ともに人口比では日本語学習者の多い上位10か国中でも随一である。

最新動向

 教育部は、国際的行動能力を備えた人材を育成するため、高等学校(「高級中学」)における第二外国語教育を推進し、海外修学旅行も奨励している。
 1999年の第二外国語教育推進計画の施行以降、高等学校における日本語教育の実施校及び学習者数は増え、2015年時点で第二外国語導入校の95%が日本語を開講し、第二外国語学習者全体における日本語学習者の割合も55%と半分以上を占めている。しかし、近年は以下に述べる第二外国語の多様化により、日本語学習者の割合は減少しつつあり(2015年第1学期〔8月~翌年1月〕、教育部)、日本語学習者数も2010年代に入り減少傾向にある。
高等学校における第二外国語は、1996年に日本語、フランス語、ドイツ語、スペイン語の4言語で始まり、現在は10以上もの言語に多様化している。とくに近年は、①婚姻により定住する「新移民」とその子女の増加、②経済交流の推進、に対応するため、東南アジア言語が奨励されている。これらの方針は第二外国語教育に対する教育部の補助金制度にも反映され、最も履修者の多い日本語については元々低く設定された補助率が0まで下げられた。
 上記のとおり第二外国語学習者数全体における日本語学習者の割合は減少傾向にあるものの、日本語は比較的教員を探しやすく、台湾全土で開講されている。一方で、教員のほとんどが非常勤かつ兼任のため教員養成が進まないという問題もある。
 2014年8月から新たに施行された「十二年国民基本教育」は、人口減少に伴う生産力低下に備えて教育の多元化と質の向上を目的とする政策である。2014年11月に「十二年国民基本教育課程綱要 総綱」というカリキュラム・ガイドラインが公布され、第二外国語を含む科目毎のカリキュラムが2018年より導入される。また、修学旅行をはじめとする教育旅行や姉妹校提携など日本との交流機会が増え、中等教育における日本語教育では異文化理解とコミュニケーションが重視されている。

教育段階別の状況

初等教育

 小学校において正規科目または課外活動で日本語教育を導入している機関が14校(国際交流基金2015年度日本語教育機関調査)存在する。なお、小学校・中学校では異文化体験を促進し、国際的視野を養うことを目的とする教育部の国際教育推進の一環として多元文化週間、多元的文化理解活動が設けられている。

中等教育

前期中等教育

 中高一貫校あるいは、小中一貫校で、教科として日本語を取り入れている機関が存在する。そのほとんどが選択科目もしくはカリキュラム外のクラブ活動である。また、日本のアニメ・マンガなどのクラブ活動を有する学校もある。

後期中等教育

 後期中等教育機関506校(教育統計2016年 教育部)のうち、日本語教育を行っているのは、約350機関で7割ほどを占めている(2016年日本台湾交流協会)。日本語学科を有するのは38校(104学年高級中等學校科別資料 2015-2016)である。日本語科目のほかに日本語や日本文化のクラブ活動を行う高校も少なくない。
 教育部による第二外国語教育の推進及び海外修学旅行の奨励を受けて、243校が選択科目として第二外国語を開設、うち95%の230校が日本語を開講している(2015年第1学期〔8月~翌年1月〕、第二外国語中心)。また、日本語の特別クラスとして、「高級中学学生預修大学第二外語課程專班」(APクラス=Advanced Placement class)、「第二外語特色課程」「特色專班」が運営されている学校もある。
 教育局や大学などが主催して高校生対象のスピーチ・朗読コンテストやアフレコ大会、日本語キャンプや日本文化体験講座なども実施されている。
 
教育統計2016 (中華民国 105年版)
https://stats.moe.gov.tw/files/ebook/Education_Statistics/103/103edu_EXCEL.htm

高級中学第二外語教育学科中心
http://www.2ndflcenter.tw/news.asp#n6

高等教育

 高等教育機関158校(教育統計2016年教育部)のうち、日本語科目を開講しているのは142機関(国際交流基金2015年度日本語教育機関調査)で90%近い。
 2015~2016年、日本語学科を有するのは47校で、「日本語文学系」と「応用日本語系」に大別される。そのうち大学院修士課程を有するのは17校、博士課程は1校である(2016年日本台湾交流協会)。就職難の近年は、学生の需要に応えてダブルメジャーや副専攻の体制整備に取り組み、ビジネス日本語など就職に結びつく実用的な日本語科目を強化する動きが見られる。一方で、日本語専攻に限らず、高等教育における全般的な傾向として、修士課程進学者が減少する傾向がみられる。
 日本関連の学会や大学、企業の主催による大学生を対象にしたスピーチコンテスト、ディベート大会、プレゼンテ―ションコンテスト、アフレコ大会など例年様々なコンテストが実施されている。また、大学院生のための論文発表会や論文コンテストも行われている。

その他教育機関

 主に以下のような組織があり、教育レベルの向上、健全な国民を養成できるとして、社会人教育も奨励されている。年少者から日本語世代の高齢者まで幅広い層の学習者が多様な機関で日本語を学んでいる。

  • 補習班
    塾、予備校、語学学校を指す。台湾には大小の語学学校がいたるところにあり、ビジネス日本語、会話、文法、日本語能力試験対策など学習者のニーズに合わせた様々なクラスが開講されている。
  • 語言訓練測験中心(LTTC)
    外国語教育及び検定試験(日本語能力試験を含む)を実施する財団法人であり、学生や社会人等の一般向けに日本語の講座も実施している。
  • 大学の社会人向けクラス
    大学の「推広部」や語学教育を担当する「語言中心」(言語センター)等が一般向けに講座を公開している。
  • 社区大学
    地域の学校や市民センターなどを利用した社会教育機関を指す。1999年に創設され、現在では台湾全土に設置されており、そのほとんどで日本語コースが開講されている。
  • 高齢者対象の生涯学習施設
    「楽齢中心」や「長青学苑」等と呼ばれている施設で、「社区大学」同様、地域の学校やコミュニティーセンター等を利用した生涯学習施設である。受講者は高齢者を対象としており、年齢制限(下限)がある。日本語のみならず、様々な講座が開設されている。
  • 救国団
    青少年活動を目的とした公益社団法人であり、台湾全土に活動センターが存在する。教育やサービスを中心に活動しており、その一環として一般を対象とした様々な講座が開設されている。日本語はその中の一つとして位置づけられている。
  • 日本語授業校・継承日本語ネットワーク
    台湾の各地で子どもたちが継承語として日本語を学ぶ団体が主に母親たちによって運営されている。2011年にはこれら団体が連携し、台湾継承ネットワークを発足し、各地での活動の紹介や意見交換、勉強会や成果発表会などを実施した。

教育制度と外国語教育

教育制度

教育制度

 6-3-3制。
 小学校が6年間(6~12歳)、中学校が3年間(12~15歳)、高等学校が3年間(15~18歳)。前期中等教育3年と後期中等教育3年を合わせた中高一貫校もあり「完全中学」と呼ばれる。高等学校は、高級中学と高級職業学校に区分されていたが、2013年7月に公布された「高級中等教育法」により「高級中等学校」として一本化され、学校類型として①普通型②技術型③総合型④単科型の4つに分けられている。
 高等教育機関は、大学(4年制総合大学)以外に、「四技」(4年制技術系大学)や「二技」(「五専」卒業者向け。大学の3~4学年に相当)、「五専」(高等専門学校)、「二専」(短期大学)など、多様な形態が存在する。
 台湾の義務教育は小学校・中学校の9年間であったが、2014年8月より「十二年国民基本教育」を施行し、小学校・中学校の義務教育9年間と後期中等教育3年間を合わせて 12年間の初等中等教育を保証している。後期中等教育は強制入学ではなく自主入学であり、入学試験の廃止、授業料無償化、新たな学区の設置等が定められている。(2013年7月「高級中等教育法」)

教育行政

 初等、中等、高等教育機関のすべてが教育部の管轄下にあるが、特殊高等教育機関(軍隊警察系大学など)においては、その限りではない。

言語事情

 公用語は中国語(中国大陸の北京語を基礎としているが、繁体字を用い、一部語彙や発音が異なる)であり、国語と呼ばれる。人口の83.5%が中国語(国語)、81.9%が台湾語(閩南語、ホーロー語とも)、6.6%が客家語、1.4%が原住民族語(アミ語、タイヤル語など)を使用する(行政院主計総処「民国99年人口及住宅普査」)。小学校では「郷土教育」の一環として、台湾語、客家語、原住民族言語が1~6年生の選択必修科目である(教育部97年国民中小学九年一貫課程綱要)。公共交通機関では、国語、台湾語、客家語、英語による案内放送が流されている。

外国語教育

 初等教育では、小学3年生より、英語が第一外国語として必修となっている。市や県によっては小学1年生もしくは2年生から開始するところもある。
 中等教育では、高等学校1年生より、第二外国語が選択科目として開講可能となっており、数学等の大学受験科目も加えた中から各学校が開講する選択科目を決定している。教育部は高等学校における第二外国語教育を推進し、日本語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、韓国語、ラテン語、ロシア語、ベトナム語、インドネシア語、イタリア語、タイ語、といった多様な言語が選択されている。

外国語の中での日本語の人気

 (日本語教育の実施状況→全体的状況→【特徴】のとおり。)
 高等学校における選択科目としての第二外国語教育は、導入校243校、学習者約53,570人のうち、日本語が230校(95%)、29,262人(55%)と最も多い。2位以下は、フランス語(116校〔48%〕、7,054人〔13〕)、ドイツ語(106校〔46%〕、6,112人〔11%〕)、スペイン語(95校〔39%〕、5,722人〔11%〕)、韓国語(77校〔32%〕、4,259人〔8%〕)が続く(2015年第1学期〔8月~翌年1月〕、教育部)。

大学入試での日本語の扱い

 大学入学統一試験科目に第二外国語は含まれない。ただし、2002年に大学入試制度が大幅に変わり、大学が独自の入試方法を取り入れることが可能となり、大学(日本語学科)によっては、入学試験における加点制度(公的外国語試験に合格した者に加点)や推薦入学制度等を設けている。

学習環境

教材

日本で発売された教科書の大半が台湾で版権を取得し繁体字訳やアクセント記号などを付けて売られている。その一方で、台湾で制作・出版されたものも増えている。イラストや漫画を盛り込んだ年少者向けの教材、活動集の開発も進められている。更に、従来の教材を含め、eラーニング教材も制作が進み、携帯型ペン端末でページに触れると日本語が聞ける教材やクラウド技術を応用した日本語学習システムも展開されつつある。

初等教育

児童向け教材として、『新・楽しい子供の日本語』山田伸子(大新書局)などがある。

中等教育

『大家的日本語(みんなの日本語)』スリーエーネットワーク(大新書局)をはじめ、高校の第二外国語教材(現地出版)として、「加油!日本語(ガンバレ!にほんご)」陳美玲ほか(大新書局)、「聽聽説説學日語(ゆうゆうにほんご)」(大新書局)、「新.一看就懂日本語」(全華圖書)も推薦教材として挙げられ、用いられている。その他、「愛上日本語」(瑞蘭国際)、「SUGOI日本語」(致良出版社)、「楽楽日本語」(全華圖書)等、中等教育機関向け教材が次々と出版されている。

高等教育

『大家的日本語』(前出)
『新文化日本語』『文化日本語』文化外国語専門学校(大新書局)
『進学日本語』日本学生支援機構(大新書局)
『來学日本語(学ぼう日本語)』日本語教育教材開発委員会(尚昴文化)
『e世代日本語』林秀禧、楊永良/編著 (致良出版社)
などがよく使用されている。
一方、各校作成のオリジナル教材が開発されており、第二外国語用初級教材、ビジネス、観光、文化、日常会話など多様な教材が出版され、eラーニング教材の開発も進められている。

その他教育機関

 『大家的日本語』(前出)
 『日本語GOGOGO財團法人語言訓練測驗中心(豪風日語)

マルチメディア・コンピューター

 主に高等教育機関で、授業以外で使う自主学習用マルチメディア教材の開発が行われている。また姉妹校とインターネットを介した遠隔教育を行っている学校もある。

教師

資格要件

初等教育

 原則として、教員免許取得者。

中等教育

 初等教育に同じ。

高等教育

 博士号取得者が優先される。修士号取得者が最低要件。

その他教育機関

 定められた要件はないが、学士号を要件とするところが多い。

日本語教師養成機関(プログラム)

 国立・私立大学の日本語学科の中には、日本語教員養成課程を開講し、中等教育の日本語教師養成を行っているところがある。

日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割

初等教育

 資格(教員免許)が必要。日本語を母語とする教師は非常に少ない。初等教育機関での日本語教育は、そのほとんどがノンネイティブ教師(非常勤)である。

中等教育

 中学校・高等学校いずれも資格(教員免許)が必要。日本語を母語とする教師は非常に少ない。中等教育機関での日本語教育は、そのほとんどがノンネイティブ教師(非常勤)である。

高等教育

 日本語学科を有する大学には常勤、非常勤の日本人教師がいる。日本人教師が日本語会話や作文を担当する割合は比較的高く、その他スピーチコンテスト、演劇公演等の課外活動を指導することがある。

その他教育機関

 多くの民間日本語学校で常勤、非常勤の日本人教師が雇用されている。

教師研修

 日本台湾交流協会台北事務所及び高雄事務所は、内外から講師を招くなどして教師研修会を実施している。また、教育部主催で、高校の第二外国語の教師を対象にした研修会も行われている。
 訪日研修としては、日本台湾交流協会が1998~2008年度は大学日本語教師を対象に、また、2009~2011年度は高校日本語教師を対象にした日本語教師訪日研修(約3週間)を年1回実施した(1998~2010年度は杏林大学、2011年度は国際交流基金日本語国際センターが協力)。2011年度から、国際交流基金の海外日本語教師研修プログラムへ台湾からの申請、参加が可能となった。

現職教師研修プログラム(一覧)

 日本台湾交流協会台北事務所及び高雄事務所が、内外から講師を招くなどして教師研修会を実施(不定期)。

教師会

日本語教育関係のネットワークの状況

 大学等高等教育機関の日本語教師を中心メンバーとしている学会が4つあり、それぞれ年次大会、国際シンポジウム、研究会等を開催している。複数の学会に同時に加入している会員も多い。

  1. 1.台湾日本語文学会:1989年設立。日本語、日本文学、日本語教育、日本社会文化の研究を目的として設立された。現在、隔月1回の例会(研究発表会)及び年次大会を開催している。
  2. 2.台湾日語教育学会:1993年設立。2008年度から、年3回、日本語教育実践研究発表会を開催、効果的な指導法や課題等の情報共有を図っている。
  3. 3.台湾日本語言文芸研究学会:2000年設立。日本語、日本文学、日本文化・社会分野の若い研究者がより多く参加できる学会を目指している。
  4. 4.台湾応用日語学会:2002年設立。日本語と、日本の歴史、政治経済、社会、文化、教育をはじめとする広範な学術領域との応用言語の研究を推進する目的で設立された。

最新動向

 2011年、国際交流基金のJFにほんごネットワーク(通称:さくらネットワーク)に台湾日本語文学会と台湾日語教育学会、2015年には台湾応用日語学会が中核メンバーとして登録された。
 2012年、台湾の高等教育と中等教育のアーティキュレーションを図るため、台湾日語教育学会の下に「J-GAP Taiwan」を結成し、例会を開催し、発表会やシンポジウム、教材開発など活動を行っている。
2016年には台湾日本語文学会、台湾日語教育学会が日本の外務大臣表彰を受賞した。
 日本台湾交流協会の日本語教育関係者用メーリングリストの登録者は2016年11月現在約600540名である。各地で台湾人、日本人で共同運営される研究会や勉強会がそれぞれ活動を展開している。現職の日本語教師を対象としたFacebookグループ「台湾日語教師交流会」もある。年少者日本語教育関係者有志による児童日本語スピーチコンテストなども開催されている。

日本語教師派遣情報

国際交流基金からの派遣

国際協力機構(JICA)からの派遣

 国際交流基金、JICAからの派遣は行われていない。

その他からの派遣

日本台湾交流協会 日本語専門家の派遣事業

 台北事務所 2名
 高雄事務所 1名

シラバス・ガイドライン

 中等教育においては、2008年発布、教育部「普通高級中学選修科目『第二外国語』課程綱要」により、高等学校(「高級中学」)の選択科目としての第二外国語教育における1.課程目標、2.核心となる能力(言語能力・学習態度と方法・文化修養と国際観)、3.時間配分、4.教材綱要(編纂原則・製作方式)、5.実施の要点(教材選定・教育方法・学習評価)が示されている。
 URL:http://www.2ndflcenter.tw/laws_detail.asp?lawsid=14

 なお、2014年11月に公示された「十二年国民基本教育綱要 総綱」(カリキュラム・ガイドライン)に従い、2018年より第二外国語を含む科目毎の新カリキュラムが導入される。

評価・試験

  1. 1.日本語能力試験(JLPT
     台湾における日本語能力試験(JLPT)は、1991年開始。日本台湾交流協会、国際交流基金、語言訓練測験中心(LTTC)が主催している。
     実施回数は、2009年に年2回に増え、2010年第2回以降は、毎回N1~N5まで、全レベルの試験が行われている。
     URL:http://www.lttc.ntu.edu.tw/JLPT.htm
  2. 2.日本留学試験(EJU
     日本学生支援機構(JASSO)の主催、LTTCの実施により、毎年2回行われている。日本台湾交流協会の学部留学生、大学院留学生への奨学金試験として採用されている。
     URL: http://www.lttc.ntu.edu.tw/EJU.htm
  3. 3.第二外語能力測験・基礎級(SFLPT-Basic
     台湾独自の外国語能力試験として、LTTC主催「第二外語能力測験・基礎級」(SFLPT-Basic)が2010年に始まった。これは、教育部が推進する第二外国語教育の成果をみるためのものであり、中学生以上を対象として、日本語、フランス語、スペイン語、ドイツ語の4言語で実施されている。試験の成績は推薦入学の参考となるほか、大学の単位免除にも使われる。
     URL:http://www.lttc.ntu.edu.tw/SFLPT.htm
  4. 4.外語能力測験(FLPT
     LTTC主催「外語能力測験」(FLPT)は、日本語、英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語の5言語を対象とした試験で、1965年に始まった。原則的に毎月行われ、その結果は、公務員の採用や昇進、教育部の国費留学生試験の選考等に使われている。また、一部の大学では、交換留学の際の外国語能力の証明になっている。
     URL: http://www.lttc.ntu.edu.tw/FLPT.htm

 このほか、JNTO通訳案内士試験(一次試験)、2013年からは日本漢字能力検定協会が主催するBJTビジネス日本語能力テストが実施されている。その他、J.TEST実用日本語検定、秘書検定など取り入れている学校もある。

日本語教育略史

1895年 日本統治の開始。初等教育を中心に国語としての日本語教育を実施(~1945年)
1963年 私立中国文化学院(現:中国文化大学)に、高等教育機関として戦後初の日本語学科(当時の名称:東方語文学系日文組)設置、68年に修士課程設置
1980年 台湾省立台中商業専科学校(現:国立台中科技大学)応用外語科に国立の高等教育機関として初の日本語学科(当時の名称:応用外語系日文組)設置
私立東呉大学に修士課程開設
1981年 教育部所属の教育ラジオにて日本語講座開設
1983年 私立淡江大学に修士課程設置
1989年 国立政治大学に国立大学初の日本語学科設置
台湾日本語文学会設立
1991年 日本語能力試験の実施開始
私立東呉大学に博士課程設置
1993年 台湾日語教育学会設立
1994年 国立台湾大学に日本語学科設置
1999年 「推動高級中学第二外語教育五年計画」開始
2000年 台湾日本語言文芸研究学会設立
2002年 台湾応用日語学会設立
2005年 「推動高級中学第二外語教育第二期五年計画」開始
2010年 「推動高級中学第二外語教育第三期五年計画」開始
世界日本語教育大会(台湾)開催
2015年 「推動高級中学第二外語教育第四期五年計画」開始
2016年 台湾日本語文学会、台湾日語教育学会が外務大臣表彰を受賞

参考文献一覧

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