ベネズエラ(2016年度)

日本語教育 国・地域別情報

2015年度日本語教育機関調査結果

機関数 教師数 学習者数
初等教育 中等教育 高等教育 その他
教育機関
合計
12 35 0 0 30 369 399
0.0% 0.0% 7.5% 92.5% 100.0%

(注) 2015年度日本語教育機関調査は、2015年5月~2016年4月に国際交流基金が実施した調査です。また、調査対象となった機関の中から、回答のあった機関の結果を取りまとめたものです。そのため、当ページの文中の数値とは異なる場合があります。

日本語教育の実施状況

全体的状況

沿革

 当初は、個人教授ベースで、日本語に興味がある者を対象に細々と日本語教育が行われていたが、1978年に在ベネズエラ日本国大使館に日本語講座が開設された(2016年現在は閉鎖)。その後、国立シモン・ボリバル大学、国立ロス・アンデス大学、国立タチラ工科大学(2016年現在は閉鎖)、国立カラボボ大学等、高いレベルを誇る大学が日本語講座を開講した。また、2006年には、私立ホセ・アントニオ・パエス大学(2016年現在は閉鎖)及び国立シモン・ボリバル大学、2007年には、国立ベネズエラ中央大学の市民大学講座でも、日本語講座が設けられた。
 さらに、ベネズエラ各地に私塾の日本語教育講座も開講しており、若年層を中心とする日本のマンガ・アニメをきっかけとした日本語学習人口は増加している。
 2007年度以降、国際交流基金の日本語能力試験が、年1回実施されている。

背景

 日本からベネズエラへの政策移住が行われなかったこともあり、他の中南米諸国と比べて、在留邦人数や日系人数は少ない(2015年時点日本人392名,日系人545名)。また、歴史的、地理的要因により、ベネズエラは欧米偏重傾向にあり、日本語を学習する必要性、モチベーションはそれ程高くはない。しかし、在ベネズエラ日本国大使館が各地で実施している日本文化紹介事業等の反響、アニメ・マンガ文化の浸透、日本食人気等により、若者を中心に、日本の武道をはじめ、生け花、囲碁、茶道、日本食、禅、盆栽、折り紙、和太鼓、アニメ・マンガ、J-POPなどの日本文化に対する関心の増大にともない、日本語への関心も高くなっている。

特徴

 ベネズエラでは、初等教育機関、中等教育機関で日本語を教えているところはないが、上述のとおり、主要大学では日本語講座が開設された。また、日本の大学と交換留学協定を締結している大学もある。これらの大学の日本留学あるいは文部科学省の国費留学を目指すため、および、日本のアニメ・マンガをきっかけとし日本に興味を持ち始め、日本語を学ぶ者が多い。

最新動向

 若年層への日本のアニメ・マンガの浸透、在ベネズエラ日本国大使館が各地で開催している日本文化紹介事業の大きな反響等も相まって、若者を中心に日本や日本文化に対する関心が高まっており、日本語学習人口は増加傾向にある。
 日本語学習人口及び学習希望者数が増加している反面、ベネズエラに十分な数の日本語教師がおらず、希望者の需要を満たすことができていない。日本語学習希望者は、独自にテキストを購入して学習したり、インターネットを利用して学習したりしていることから、日本語教師不足が、ベネズエラにおける日本語教育の主要な問題点と言えよう。
 なお、ベネズエラでは2016年7月に国際交流基金が実施する日本語能力試験に301名が申し込み、258名が受験した。

教育段階別の状況

初等教育

 日本語教育は実施されていない。

中等教育

 日本語教育は実施されていない。

高等教育

 大学における日本語教育では、国立シモン・ボリバル大学(カラカス市)、国立ロス・アンデス大学(メリダ州メリダ市)、国立カラボボ大学(カラボボ州バレンシア市)に日本語コースが開講されている。日本への留学、日本文化に対する興味から学習している者、国際理解・異文化理解の一環として学ぶ者が多い。これらの大学から文部科学省の国費留学生や内閣府の「世界青年の船」参加青年等を毎年多数輩出している。また、国立シモン・ボリバル大学は、国立長岡技術科学大学及び東北大学と交換留学協定を締結していることもあり、日本語学習熱は特に高い。

その他教育機関

 大学が設置する市民大学講座の他、ベネズエラ各地にある私塾でも、日本講座を開設しているところが徐々に増えている。学習者の多くは大学生や社会人で、囲碁、折り紙、武道、盆栽、アニメ等の日本文化紹介団体に加入している者も散見される。在ベネズエラ日本国大使館が、毎年2~3月に開催している日本語弁論大会にも積極的に参加している。

教育制度と外国語教育

教育制度

教育制度

 6-5制。
 基礎教育(日本の小学校に相当)が6年間、中等教育(日本の中学、高校に相当)が5年間、高等教育(日本の大学に相当)が4年または5年間。義務教育は基礎教育から中等教育までの11年間である。

教育行政

 初等教育機関、中等教育機関、専門学校、短期大学は教育省。高等教育機関(4年制大学)は高等教育省の管轄下にある。

言語事情

 公用語はスペイン語。
 なお、先住民族が、公式の場において先住民族語を使用することは、憲法上、保障されている。

外国語教育

 小学校から高校まで英語が必修科目(最低週3時間)。通常行われている外国語教育は英語のみであるが、イタリア、ドイツ、フランス系の学校は、それぞれ各国の言語を教えている。

外国語の中での日本語の人気

 英語・フランス語・ドイツ語など欧米言語の人気が高い。アジア圏の言語の中では日本語の人気が比較的高い一方、中国語・韓国語の人気が高まりつつある。

大学入試での日本語の扱い

 大学入試で日本語は扱われていない。

学習環境

教材

初等教育

 日本語教育は実施されていない。

中等教育

 日本語教育は実施されていない。

高等教育

『エリンが挑戦! にほんごできます』国際交流基金(凡人社)
『みんなの日本語初級 聴解タスク』スリーエーネットワーク(スリーエーネットワーク)
『日本語の教え方スーパーキット』水谷信子監修(アルク)
『新日本語の基礎Ⅰ・Ⅱ』海外技術者研修協会(スリーエーネットワーク)
『新絵教材(新日本語基礎 準拠)』スリーエーネットワーク(スリーエーネットワーク)
『クラス活動集(新日本語の基礎 準拠)』高橋美和子(スリーエーネットワーク)
『日本語コミュニケーションゲーム80』CAGの会(ジャパンタイムズ)
『日本語で話そうⅠ~Ⅳ』(財)英語教育協議会(英語教育協議会)
『きりはり教室』(日立ソフトウェアエンジニアリング)等
Japonés HabladoBasic Spoken Japaneseの和訳 Michio Nakamura & Fortunato BrownEditora ABCD)等
 その他、必要に応じてカード類、CD、カセットテープ、文学作品等によるオリジナル教材を使用している。
 なお、国立シモン・ボリバル大学及び国立タチラ工科大学では、日本政府が文化無償協力(各々1989年、1993年)で同大学に供与したLL学習機材を活用している。

その他教育機関

『新日本語の基礎』(前出)
『みんなの日本語初級Ⅰ&Ⅱ』スリーエーネットワーク(スリーエーネットワーク)
『ひろこさんのたのしいにほんご』根本牧ほか(凡人社)
『はじめのいっぽ』春原 憲一郎 他(スリーエーネットワーク) 等
その他、スペインの出版社が出版する教材やインターネット上のフリー教材を基にしたオリジナル教材を使用している。

マルチメディア・コンピューター

 高等教育では、編集・発表のためのソフトウェア『生活シュミレーションできるよ!』、『きりはり教室』(前出)を使用している。
 JF関連のウエブサイトやユーチューブにアップされている様々な動画を活用している。

教師

資格要件

初等教育

 特になし。

中等教育

 特になし。

高等教育

 特になし。

その他教育機関

 特になし。

日本語教師養成機関(プログラム)

 日本語教師養成を行っている機関及びプログラムはない。

日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割

 国立シモン・ボリバル大学に1名の日本人教師、ベネズエラ各地にある私塾では日本人、日系人を含めた約9人の日本語教師が在籍している。

教師研修

 現職の日本語教師対象の研修はない。

教師会

日本語教育関係のネットワークの状況

 2007年に日本語教師会を設立。カラカス市内の日本語教師を中心に、定期的に意見交換会を実施している。また、2008年度より実施している日本語能力試験の実施団体としての役割も果たしている。

最新情報

 2008年12月以降、ベネズエラ日本語教師会が中心となって組織しているベネズエラ日本語能力試験実施委員会が、継続的に日本語能力試験を実施している。

日本語教師派遣情報

国際交流基金からの派遣

国際協力機構(JICA)からの派遣

 国際交流基金、JICAからの派遣は行われていない。

その他からの派遣

 (情報なし)

評価・試験

 2008年度より、ベネズエラ日本語能力試験実施委員会により、日本語能力試験が実施されている。
 また、在ベネズエラ日本国大使館とベネズエラ日本語教師会は、毎年2~3月に、日本語学習者の意欲の向上を目的に、日本語弁論大会を開催しており、全国から集まる日本語学習者が優勝を競い合う(同弁論大会は国際交流基金・日本語学習者訪日研修の第一次選考試験を兼ねて開催)。

日本語教育略史

1978年 在ベネズエラ日本国大使館に日本語講座開設(カラカス日本人会日本語講座。2016年現在は閉鎖。)
1987年 国立シモン・ボリバル大学にて日本語教育開始
1991年 国立タチラ工科大学にて日本教育開始(~1997年、2001年~2008年)
2000年 国立ロス・アンデス大学にて日本語教育開始
2006年 ホセ・アントニオ・パエス大学にて日本語教育開始(2016年現在は閉鎖)
国立シモン・ボリバル大学市民大学講座開講
2007年 国立ベネズエラ中央大学にて日本語講座開講
2008年 2月、初めて日本語能力試験(模擬)を実施
12月、日本語能力試験を正式に実施

参考文献一覧

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