平成29(2017)年度 日本語指導助手レポート ポーランド、クラクフの町から

日本美術技術博物館
 井手剛平

皆さんはポーランドと聞いた時、どんなものを想像しますか? 私はポーランドへの派遣が決まった時、地図帳を開いて国の場所から改めて確認し直したのを今でもよく覚えています。ある程度のイメージがつく西ヨーロッパと比べると東ヨーロッパという地域は一般の日本人にとっては情報の少ないエリアではないでしょうか。

日本美術技術博物館(マンガ)の画像
日本美術技術博物館(マンガ)

しかし、ポーランドは日本語の学習に関しては東欧一の学習者数を誇る国で、最新の調査では国全体の学習者数は4,400人以上と報告されています。日本語教育機関としては、日本語学科を有する大学だけでなく、お金を払って一般の人が通う民間の日本語学校も数多くあります。私が現在派遣されている日本美術技術博物館(マンガ日本語学校)も母体は国立博物館ではあるものの、そのような民間日本語学校の1つです。

私はそこで日々の日本語授業を担当すること、学校全体の日本語コースの運営をサポートすることを主な業務として派遣されています。マンガ日本語学校の学習者は現在半数以上が社会人となっていて、教室では学生から社会人まで多様なクラスメートがともに学んでいます。また、海外の民間日本語学校としては珍しく、本当のゼロから始める初級クラスから、JLPT(日本語能力試験)のN2、N1レベルを対象とした上級クラスまで、あらゆるレベルのクラスが存在していることも特徴の1つです。私は現在、初・中・上級と異なるレベルのクラスを担当させてもらっています。それぞれのレベルで意識しなくてはいけないことは異なり、教師として貴重な経験をさせてもらっています。ポーランドの学生は非常に優秀で、予習や復習もきちんとこなしてくれる場合が多く、授業中も熱心に取り組んでくれます。そのような学生を前に、限られた時間しかない教室で何をするべきか、どうすれば学生の日本語能力の向上に最も貢献できるのかを考えながら日々授業を行っています。

また、学校全体の日本語コースの運営サポートも業務の1つですので、現地のコーディネーター、先生方とともにミーティングを重ね、どのような教材を使うか、どのようなコース設計にするかというような日本語コース全体の舵取りにも参加しています。

教室の窓から見えるヴァヴェル城の画像
教室の窓から見えるヴァヴェル城

日本語指導助手としてのもう一つの醍醐味は、国全体の日本語教育普及事業へ関われることだと思います。教師会はもちろん、弁論大会などポーランド全体の日本語教育関係のイベントに参加し、そこで一つの役割を担えることは非常に刺激的で貴重な経験になっています。

まだ任期は一年以上ありますが、今後もっと力をつけ、より多くの場所で多くの人たちに貢献ができるようになりたいと思っています。

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