とうもろこしと大豆の大地、 インディアナ州より

ジェファーソン・ハイ・スクール
荻内 沙友里

インディアナ州と日本語教育

インディアナ州は、世界有数の、農業に適した穀倉地帯の一つである。州のほとんどを広大な耕作地が占め、昔から今も、とうもろこし、大豆などが、重要な産業として栽培され、州経済を支えている。

このような土地で日本語教育が、全米でも、比較的盛んに行われている理由は、日本との経済的な繋がりが大きい。特に、1980年代~90年代に多くのスバルなどの日系企業がインディアナ州に進出。その数は、州全体で200社を超え、カリフォルニアに次いで全米2位で、雇用者数約42,610人は、同州外国企業内で群を抜いている。また、大豆、とうもろこしを取り扱う日本商社の出入りも多い。

同州の教育水準・予算は、全米において平均的だが、様々な予算面でのカット、近年の、いわゆる「教育の効率化」の推奨などのため、資金面において、中西部の州の中では政治のサポートがやや脆弱。さらに、近年の世界経済を取り巻く不況の影響を受け、予算は削減される傾向にある。

教育に逆風が吹く中、スペイン語、中国語への関心の高まりや、最近日本企業の進出が皆無に等しいことなどから、日本語の教育は停滞、もしくは、下降気味で、同州K-12において、過去5年間で、1割強の日本語プログラムがカットされている。

ジェファーソン高校日本語プログラムの現状と課題

ジェファーソン高校は、演劇、経営などの多彩な選択コースが特長で、外国語コースもその一つである。6ヶ国語(西、仏、独、露、中国、日本語)が揃い、この選択肢の多さは、州内でも珍しい。

同校日本語プログラムは、日本企業スバルが、市内に進出した翌年、1988年に始まった。1993年より、現職のカレン・カントリーマン氏が教鞭をとり、常に生徒数60人~80人という高さを維持している。現在は、1年生35人、2年生16人、3年生12人、4年生1人、合計64人が学ぶ。

日本語の学習目的は、州内他校の傾向と同じく、設立当初は、就職に有利であるため、日本経済やビジネスへの関心が主であった。しかし、これも他校同様に、近年は、漫画やアニメなど、ポップ・カルチャーに興味を持って日本語を選択する学生がほとんどである。

日本語は根強い人気があるものの、近い将来のカントリーマン氏の退職に際し、教育委員会が、後任を積極的に探すかどうかが懸念されている。米国において、教師の退職後、プログラムが閉鎖されることは少なくなく、また、ラフィエット市でも、中国語の勢いが増していることなどから、予断を許さない状況である。今後、さらに活発に、学内外において、日本語プログラムをプロモートしていく必要がある。

クラス外における主な活動

日本語クラブ

月に一度、日本語プログラムのPRを兼ねた、日本語クラブを開催している。料理教室、運動会、日本スーパーへの買い物ツアー、カラオケ大会などを実施。毎回、50~60人が参加した。今年度は初めてパデゥー大学剣道部を招待し、剣道の体験教室も開催することに貢献できた。大学とのつながりができたのは、大きな収穫だと思われる。

「塾」の開講

授業以外でもさらに日本語を学びたいという生徒のために、私が主催で放課後に、週2回、各1時間の「塾」を開講した。内容は、授業ではカバーしない、文法や日本事情がメインで、自由参加ながら毎回、5~10人の生徒の参加があった。生徒の要望により、2012年度後期も開講する予定である。

教室外における展示

廊下にあるディスプレイ・ケースを利用し、日本についての展示を行っている。単純で、時間のあまり掛からないプロモーション活動であるが、展示品について質問に来る生徒もおり、生徒の関心を引く、一助となっている。

テコムサ中学校での出張授業

隣接するテコムサ中学校では、1学年を通して、6ヶ国語を学ぶ授業がある。そこで、日本語を学ぶ際、私がクラスに出向き、日本語や日本の文化、習慣などを紹介。また、美術の授業にも参加し、折り鶴を指導した。

所感と2年目の目標

インディアナ州は「最も平均的なアメリカ」と言われているそうです。大らかで、協力的で、気持ちの表現が素直な、この州の人たちは、まさに、アメリカ人に対するイメージ通りでしょうか。インディアナは、工業も農業もあり、様々な階級、国籍の住民が、平均的な割合でいる、アメリカ合衆国の縮図。社会学者が研究に訪れるのも頷けます。

この国はよく「人種のるつぼ」と表現されますが、私は「サラダボール」であってほしいと願っています。るつぼではなく、サラダボールのように、それぞれの個性を保ちながら、一つのものを作り上げるのが、私の理想です。

そのためには、お互いを知ることが大切。来年度もますます、日本語プログラムのPRを通して、お互いをより深く知り、「美味しいサラダボール」を作るお手伝いができたらと思います。

2年目は、さらに、スーパーバイザー(SV)のカントリーマン先生と協力し、ますます日本語プログラムを充実させ、地域に対しても、出張授業やマスコミを通じて、広報していきたいと考えています。

また、「教えることは教わること」。教授法や日本語などへの知識を深め、学生の学習意欲に応えられるように自分自身を磨いていこうと思っています。

このような素晴らしい機会をいただけたこと、素晴らしいSVや生徒、インディアナ州の方々に出会えたことに、感謝しながら、2年目も楽しく、日本の草の根大使として、頑張ります。

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