コネティカット州での日本語教師1年目

Maloney Interdistrict Magnet School
山田 智恵子

コネティカット州って?

北はマサチューセッツ州、東はロードアイランド州、西はニューヨーク州、南はロングアイランド海峡に囲まれたアメリカで3番目に小さい「コネティカット州」。イギリスから最初に独立した13州の1つで、人種構成はニューイングランド地方で最も多様だと言われています。また、アメリカで個人所得が最も高い州とも言われています。

私の赴任先であるMaloney Interdistrict Magnet Schoolは、コネティカット州中心部、5番目に大きい市であるWaterbury市にあり、Pre-Kindergartenから5年生まで約600名が通学している小学校です。州からの基金で運営される公立校で、約70%の児童が市内から、約30%の児童が市外から、抽選によって入学できます。マグネットスクールの特徴として、通常の公立校にはない特別なプログラムが設けられています。そのうちの一つが、「日本語・日本文化プログラム(JLC)」です。コネティカット州には、赴任校以外の公立校で日本語を教えている小学校はなく、州内での日本語教育の規模は大きいとは言えません。しかし、JLCが始まった1994年から、児童たちのニーズに合うカリキュラムを独自に作成し、生徒、親、地域からも愛される日本語プログラムになるよう、努めています。

Maloney Interdistrict Magnet School での日本語クラス

赴任校では、全校児童が必修で日本語の授業を受けています。Kindergartenから5年生は1回25分の授業を週3回、Pre-Kindergartenは2月より、週1回25分の授業です。特定の教科書を使わず、テーマを決め、ユニットを作成し、レッスンを行うことで児童が飽きず、楽しみながら勉強できるように努めています。授業の90%は日本語で行います。私は、上司の先生と話し合い、児童が日本語を話す機会を増やすため、英語が話せないように演じていました。今でも、児童と話すときは100%日本語を心がけています。また、HPに楽しみながらチャレンジできるクイズを掲載したり、Google Voiceを使った宿題を出したり、家でも楽しく勉強できるようにしています。日本の文化体験として、「新年会」や「夏祭り」、「ピクニック with 先生」などのイベントもあります。児童とその家族に参加してもらい、より日本を理解してもらえる活動を行っています。

私は、授業の始めに毎回行う「数字」「日付」練習などのルーティーン、アクティビティの見本、ペアワークで1人になってしまう子の相手や、お休みをして遅れてしまった子のサポートなどを担当しています。1週間交代でKindergarten~2年生、3~5年生・Pre-Kの授業に参加しています。

授業以外では・・・

毎週木曜日に開催している卒業生を対象とした日本語クラス、夏休みには日本旅行へ同行をしました。

同市内、近隣の市内には日本語を勉強することができる中学校がないため、卒業後も継続して日本語が勉強できるよう、卒業生を対象とした授業後のクラスを行っています。今年から私も加わり、毎週、中学生・高校生に日本語を教えていました。関心のあることも、授業でできるアクティビティも、小学生とは異なりとてもよい経験になりました。  夏休みの日本旅行に行く前、同市内の高校生から千羽鶴の作り方を教えてほしいと依頼があり、出張授業をしました。その生徒たちが作成してくれた鶴を持って広島に行きました。広島から京都、奈良、愛知、東京を訪れ、愛知では、昨年から国際交流を始めた日本の小学校を訪問し、ホームステイを体験しました。参加者からは、「日本の学校のすばらしさやアメリカとの違いを実際に体験することができ、旅の中で一番良い思い出になった。」と嬉しい声を聞くことができました。私自身、現在の日本の小学校とアメリカの小学校を自分の目で比較することができ、来年度の1年でやりたいこと、いかしたいことを見つけることができました。

1年を経て

初めてのアメリカでの生活は、すべてが新しく、体験したことのないことばかりでした。勤務先の学校では、「パジャマデイ」や「ハロウィーン」など、学校で行われる行事の違いや、授業での児童の反応の違い、また、教師の働き方など異なる点を知り、多くの「アメリカ」を学ぶ、毎日が勉強の1年間でした。また、よく聞く、挙手をする、などの基本的な授業の規則を身につけさせることからも、ただ日本語を教えているのではなく、日本語を通して人間を育てていると感じることが多かったです。私も児童たちに育てられた1年でした。

この1年を経て、残り1年の目標は「1年目に得た知識をいかし、授業をより楽しく、学びがいのあるものにする」です。指示されたことをこなすだけではなく、自分からアクティビティや文化イベントのアイディアを提案し、日本語クラスをより盛り上げていきたいと思います。児童にとって、日本人と日本語を勉強していたという記憶だけでなく、日本語クラブや授業後の活動を充実させたり、昨年から始めた国際交流がずっと継続できるよう深い絆作りをしたりして、なにか心に残る活動をしていきたいと思います。

赴任校にも、このプログラムを支えてくださっている方々にも、有意義な2年間であったと思っていただけるよう全力で取り組んでまいります。

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