ウィスコンシンでの二年間を振り返る

マディソン・カントリー・デー・スクール
武田 いずみ

アシスタントティーチャーの役割

リードティーチャー(以下、LT)と一緒に仕事をしましたが、LTはネイティブの日本語話者ではないので、会話やライティングの見本などは主に私が作りました。授業中常に2人の先生が教室内にいたので、生徒によく目が届いたと思います。時には前と後ろに別れて立ってみて、前からでは気づかないことに後ろから見てみて気づくことなどもありました。アクティビティの説明なども2人いることによってロールプレイなどで生徒に見せることができるので、生徒にも伝わりやすかったのではないかと思います。 一週間に一度の中学生のJapanese electiveの授業をリードしてほしいとLTに言われ、この授業は私がレッスンプランを立て、LTがヘルプする形で行いました。中学生は初めて日本人と接するという生徒も多く、とても興味を持って授業を聞いてくれたと思います。自分のティーチングに少し自信をなくしていたときもありましたが、いつも授業のあとでLTに褒めてもらい、自分でリードしていることもあり、今後一人で教壇に立つ際に、この経験が役に立つのではないかと思います。Japanese electiveを選択した中学生たちが日本文化や日本語に興味を持ち、9年生になったときに日本語をとってくれたら嬉しいです。

学校外では

マディソンから少し離れたミネラルポイントという小さな町で行われたイベントに、数回ボランティアとして参加しました。同じくウィスコンシン州にJOISプログラムコーディネーターとして派遣されていた方がいたのですが、その方に「日本文化のイベントがあるのでボランティアとして手伝ってみないか」と声を掛けてもらいました。最初のイベントは子どもたちに折り紙を教える比較的小規模なイベントでしたが、たくさんの子どもたちが来て、とても楽しいイベントになりました。2回目のイベントは「祭」というテーマで、2日連続で行われました。ヨーヨーすくい、日本の伝統的な遊び、おりがみなど、いろいろなブースを設け、多くの子どもたちに日本文化に親しんでもらいました。俳句を作るブースでは、子どもだけでなく、大人も日本文化を楽しんでいました。JOIの方が持ってきていた浴衣を着てみたいと言ったおばあさんが、着付け後とてもよろこんでいた姿も印象的でした。予想以上にたくさんの来客があり、運営側の方にも非常に感謝されました。

日米の交流

毎年、年末に年賀状を2枚ずつ生徒に作らせています。一つは年賀状コンテスト用で、もう一つは日本の姉妹校用ですが、2015年の3月に架け橋プロジェクトで東北から20名以上の中高生がMadison Country Day School(以下、MCDS)を訪問することになっていたので、今回はそのメンバーにも年賀状を送ることにしました。9年生(日本語1の生徒)でも日本語で文章が書けるように見本をいくつか作り、全員が年賀状を出せるように、また、東北の生徒全員が受け取れるようにしました。自分たちで年賀状を作ったので、架け橋のメンバーがマディソンに来る前から生徒たちは非常に楽しみにしている様子でした。ハードなスケジュールで短い滞在だったにも関わらず、MCDSの生徒と東北の生徒はダンスやゲームなどのイベントを共に楽しみ、良い時間を過ごしていました。たまたま学校のタレントショーと架け橋の訪問日程が重なり、アメリカのこどもたちと日本のこどもたちの歌自慢、ダンス自慢を行い、思わず微笑んでしまいました。また、今回の架け橋プロジェクトのメンバーはほぼ全員が大震災を経験しており、彼らの地震に関するプレゼンテーションなどに、様々なことを考えさせられました。別れの朝、ホストファミリーと友だちとの別れに涙する子供たちを見て、国際交流のすばらしさを感じ、胸が熱くなりました。

今後J-LEAPに参加される方へ / 今後の展望

教えること以上に学ぶことがたくさんあった二年間だったと思います。海外に住むことに慣れている人、慣れていない人、状況はみんなそれぞれ違うとは思いますが、これからこのプログラムに参加される方には、良い意味でも悪い意味でも、アメリカの生活で遭遇する数々の未知の経験をしっかり自分のものにしていって欲しいと思います。日本にはない面白い文化を見たり、色々な人の色々な考えを聞いたりすることは非常に楽しいことだと思います。また、それとは反対に、自分の中での常識が通用せず、辛い思いをすることもあります。そこで大事だと感じたことは、「自分は間違っていない」という態度ではなく、「そういう考え方もあるのかな」という異文化を理解しようという努力が必要だということです。自分の考えをしっかり持ち、でも謙虚な気持ちを忘れず、相手の意見に耳を傾けることが、職場でも職場の外でも大切だと思いました。このアメリカでの経験を生かして、今後も日本語教育に携わりたいと考えています。どの国に行くかまだ決定していませんが、日本の良さを世界に広めていけたらと思います。

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