アラスカでのATとしての日本語教育
A.J.ダイモンド・ハイ・スクール
蔦田 実央
ATとしての業務
リードティーチャー(以下、LT)と二人で行う授業内容以外で私が担当していた活動は「Miohyeah time」と呼ばれる私と学生の1対1で会話する活動、スピーキング指導、漢字の指導でした。Miohyeah timeはイマージョンかどうかなどは関係なく私と1対1なので、学生にとって緊張することなくリラックスした雰囲気で日本語を使えるいい機会でした。ここでは基本的に間違いを直さず会話を楽しむ時間ですが、授業でのスピーキングやディスカッションの練習の際は、あいづちの打ち方や日本人のはっきり言わない意見の言い方の説明、練習を指導しました。STAMptestのスピーキングの点数が1年目より2年目のほうが高くなったと教えてくれた学生も多くいたので、学生のスピーキング能力の向上に貢献できたと思います。
また、スピーキングの練習の一環として、日本語でわからない言葉を日本語で説明するという練習もしました。例えば、個人レッスンということばを英語でprivate lessonと言ってしまうのではなく、「先生が一人、生徒も一人のレッスン」などと簡単な日本語で言い換える練習です。これができることにより、日本語を日本語で考える能力がつき、日本語で自分の言いたいことを伝える力が伸びたと思います。
担当クラス外での活動
ダイモンド高校が参加する年間行事には色々な外国語のスピーチや詩の暗唱などをするデクラメーションコンテスト、全国大会に進むことができるアラスカ日本語教師会が主催しているにほんごコンテスト、イマージョンプログラムが主催している桜祭りがありました。デクラメーションコンテストとにほんごコンテストでは、担当クラスの学生だけでなく、担当クラス以外の学生のスピーチやスキットの台本作りも手伝ったり、発音の練習などを指導しました。また、イマージョンプログラムの修了式では学生全員日本語でスピーチをします。私がいた2年間は、イマージョンプログラムを卒業する学生は毎年28人ほどいました。一人一人のスピーチを英語と日本語で準備するので、最後の学期はLTと協力して他のクラスの学生のスピーチの準備も手伝いました。
日本とアラスカの学生の交流
1年目は日本からの留学生が1年間ダイモンド高校にいたので、日本語のクラスに入ってもらい、日本の高校の時間割や年間行事、高校生の1日などについて発表してもらいました。イマージョンの学生も日本については知らないことなどが多いので、活発な意見交換ができました。また、アンカレッジ市は千歳市と姉妹都市なので毎年交換留学生が来るのですが、高校に来る際は、担当クラスの学生にアラスカについての発表を作ってきてもらいグループに分けて交流してもらいました。大人数ではなかなか話せない学生も少人数だと話しやすかったようで、いい交流ができていました。
これからの若手日本語教員に期待すること
日本語クラスがあるからこそアシスタントティーチャー(以下、AT)は派遣されますが、日本語クラスを取っている学生やその保護者以外は日本への関心が高いとは言えないため、ATには受入機関だけではなく、地域の方々にも日本文化や日本語の紹介などができる場を作って日本語のクラスの需要を高めていってもらいたいです。また、教科書を使用しないクラスで教えたことにより、様々な教え方があることを学びました。教科書通りに授業を進めるだけでなく、学生の需要・興味に合わせて様々な教材を使って学生を惹きつけられる授業をしていただきたいです。