アラスカ州の高校での1年目の活動報告

A.J.ダイモンド・ハイ・スクール
蔦田 実央

アラスカ州について

アラスカ州の面積は151万9千平方キロメートルで日本の4倍あり、全米最大の州です。人口は73万5千601人です。アラスカは昔から日本との貿易が盛んで、日本へは水産物、エネルギー資源、鉱産物などが輸出されています。アラスカ州の州都はジュノーですが、最大都市はアンカレッジで、国際空港やアラスカ州の主要産業や金融機関、各政府関連機関もアンカレッジに集まっています。
アラスカ州では、12年生までが義務教育となっており、多民族の州ということもあり、公立校は国籍に関係なく無料で学校に通うことができます。また、外国語教育にも力を入れており、アンカレッジスクールディストリクト(以下ASD)には、スペイン語、ロシア語などのイマージョンプログラムがあり、日本語イマージョンプログラムもその一つです。日本語をイマージョンプログラムもしくは選択授業として学べる小・中・高の公立学校が10校あります。日本語を学習する目的は、イマージョンプログラム修了を目的としている場合や、家族に日本人がいるので継承語として勉強している場合、漫画やアニメなどから興味を持った場合など様々ですが、学生の興味・関心に合った学習を続けられるように考えられています。

A.J.ダイモンド高校

受入機関であるA.J.ダイモンド高校のスタッフ数は142人で、学生数は1709人と大きい学校です。アンカレッジは多民族の都市なので、ASDは子供たちが将来、アンカレッジのような多言語・多文化の環境に順応できるように、幼少のころからの言語教育が大事だと考えており重要視しています。A.J.ダイモンド高校で学べる外国語は日本語、スペイン語、ドイツ語、フランス語で外国語教師は8人います。日本語クラスにはイマージョンプログラムの学生と選択授業として日本語クラスを取る学生がいて、初めて日本語を学習する学生のための日本語ⅠからAP(Advanced Placement)テストまでのレベルがあるので、学生は自分の目的やレベルに合わせて授業を選べるようになっています。日本語教師数は3人で、12クラスあります。教科書は使用せず、各クラス担当の教師が学生の興味に合わせて日本語のニュースや歌、本、動画などを使った授業を作ります。
毎日、私はアシスタントティーチャー(以下、AT)としてリードティーチャー(以下LT)と一緒に授業のプランニングや教材作成、テストの採点などの業務を行っています。教材はなるべくレアリアを使ったりATが撮った写真を使用したりと、学生の興味・関心をひくように工夫しています。

担当日本語クラス外での活動

私が担当している日本語クラスではありませんが、Honors ClassにはAdopt a Studentというプログラムがあり、このプログラムに参加しました。このプログラムはHonorsのクラスの学生が二人一組になって、毎月3時間授業外で日本人と一緒に過ごして、日本や日本文化について学んだり異文化交流をすることを目的としています。ホストとなる日本人はアンカレッジ在住の日本人や交換留学生やインターンなど様々ですが、一学期間同じ日本人と過ごすので、お互いのことをよく知り仲良くなる機会でもあります。
コミュニティでの活動としては毎年開催されているCherry blossom festivalで、折り紙のブースを日本語クラスの学生ボランティアと一緒に担当しました。また、高校の日本語クラスの学生達に「日本語を勉強していたから、〜ができるようになった」をテーマにコメントを書いてもらい、それを桜の木の形に貼って飾りました。日本語クラスに興味がある学生に、日本語の楽しさや続けることで何ができるようになるかを伝える良い機会になりました。
スピーチコンテストとデクラメーションコンテストでは、コンテストの運営の手伝いをしました。私の担当クラスの学生が出場していたので採点者としての参加はできませんでしたが、タイムキーパーなどの手伝いをすることができました。

ATとしての2年目の目標

初めて高校生相手に教えたということもあって、あっという間の1年でしたが、1年目を終えてまず思うのは、LTのおかげで様々な挑戦・経験をさせていただいたことへの感謝です。また、LTには新しい教授法や教科書を使わない授業の作り方、学生への質問の仕方など多くのことを教えていただきました。高校では日本語を教えるだけではなく、保護者との連絡や学生の他のクラスの先生方との連携など授業以外の大変さを感じました。LTのような対応力を身につけていかなければならないなと思いました。
また、アメリカの日本語イマージョンプログラムで働く機会をいただいたことにも感謝しています。イマージョンプログラムの学生は耳からのインプットが多いので、聴き取る力がついています。しかし、1年教えて感じたのは、聞いて理解できるものでも自分からのアウトプットの時にうまく使えない学生がいるということです。2年目は、学生が「基本的で練習する必要がない」と考えている文法や表現を上手に使い、自然な日本語を話したり書いたりできるようになって欲しいと考えています。そのために、新しいものと混ぜて繰り返しの勉強をしているような気持ちにならないような活動を考えていきたいと思います。

  • 派遣先での写真1
  • 派遣先での写真2
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