アメリカ最北の地での日本語教育

サンドレイク・エレメンタリー・スクール
中平 達也

アラスカ州とは

アラスカ州は、アメリカの最北に位置している州です。アラスカ州の面積は、日本の4倍で、全米最大の州として知られています。また、アラスカ州は、アメリカの中でも最も多様化した州の1つとも言われています。人種は、白人が大半を占めていますが、多くのアラスカネイティブが生活し、その先住民言語が使用されています。アラスカ州の人口は約73万人で、派遣先であるアンカレッジは、州都のジュノーよりも大きく、最も人口が集中している都市です。現在、アンカレッジには、アラスカ州の人口の約半数35万人が生活しています。また、アラスカ州では、石油・ガス・石炭などのエネルギー資源が豊富で、水産・林業・観光業も有名です。観光業に関しては、冬季のオーロラ観測が最も人気で、世界中から観光客が訪れます。
現在、アラスカ州アンカレッジのAnchorage School District(以下、ASD)では、6-2-4の学校制度が採用されており、ASDでは、全米でも珍しいK-12一貫の日本語イマージョンプログラムが25年以上にも渡って続けられています。受入機関であるサンドレイク小学校の生徒は、ミヤーズ中学校(Mears Middle School)、ダイモンド高校(A. J. Dimond High School)へと進学します。また、University of Alaska Anchorage(以下、UAA)などの高等教育機関でも、日本語の授業が開講されています。

アンカレッジの日本語教育

サンドレイク小学校は、アンカレッジ西部に位置している最も生徒数の多い小学校です。現在、サンドレイク小学校には、約40名の教職員・スタッフ、そして約700名の生徒が在籍しており、生徒の約55%(約400名)が日本語イマージョンプログラムで勉強しています。サンドレイク小学校では、日系人の生徒は数える程度しか在籍しておらず、アメリカ人の生徒が大半を占めていますが、日本語クラスは毎日楽しく明るい雰囲気です。
現在、私はアシスタントティーチャー(以下、AT)として、リードティーチャー(以下、LT)と一緒に小学1年生を担当しています。今年度、1年生の生徒数は54人で、彼らを2クラスに分けて、ホームルームや日本語授業を行っています。午前中は、75分の日本語授業を2クラス実施します。ランチの時間も生徒と一緒に過ごしますが、その際も生徒は日本語を使用します。お昼の休み時間から帰って来た後は、ScienceSocial Studies(音楽・体育・保健・図書)の授業があります。ScienceLTATが担当し、Social Studiesは各専門の先生が授業をします。Social Studiesは科目によって授業時間が異なるため、午後のScienceの授業は、毎日LTと確認し、進めています。

授業外の活動

ダイモンド高校のAdopt-A-Student Program(以下、AASP)に日本人ホストとして参加しました。このAASPに在籍している学生は、1ヶ月に3時間以上、日本人ホストと日本語を話すことが義務付けられています。活動内容は基本的に自由で、私がホストになった2人の高校生とは、一緒にショッピングや動物園、ジムでの運動、バレーボールの試合観戦などを楽しみながら、交流しました。
また、年に1度開催されるAlaska Nihongo Speech Contestのプログラム作成を担当しました。UAAにて、サンドレイク小学校の日本語教師の先生方やアラスカ日本語教師会(Alaska Association of Teaching of Japanese、以下AKATJ)に所属されている先生方とのミーティングに参加し、スピーチカテゴリーや発表者数などを確認した後、プログラム作成に取り掛かりました。ミーティング後も何度かAKATJの先生方とスカイプミーティングをして、プログラムの作成に関する確認事項について打ち合わせをしました。このプログラムは、スピーチコンテスト当日に参加者やその保護者に配布されるものだったので、責任の大きい仕事でしたが、初参加の私に任せていただき、貴重な経験をさせていただいたと思っています。

1年目の所感と2年目の目標

1年目は、日本語教師としてよりも「小学校の先生」として働くことの面白さ・大変さを学べたと思っています。J-LEAPに参加する以前、私は国内の大学で学ぶ外国人留学生に日本語を教えた経験はありましたが、6歳・7歳の子供たちに日本語を教えた経験はありませんでした。また、長期的に海外に滞在し、教師として働くことも初めての経験でした。LTとのチームティーチングにおいて、派遣当初はLTの生徒に対する対応を見様見真似して、生徒の前に立っていました。日々のチームティーチング以外でも、プリントやテストの作成・採点など様々な業務に取り組みましたが、毎日新しいことの連続で、とても貴重な体験ができたと実感しています。また、LTと一緒に学校生活を送る中で、日本語・日本文化を教えるだけでなく、クラスマネジメントやペアレントカンファレンス、スタッフミーティングなど、教師として身に付けなければならない知識・スキルが多くあると思いました。
2年目は、LTと新しいチームティーチングの仕方にも挑戦してみようと話しており、生徒が楽しんで日本語・日本文化を学べるように、最適なチームティーチングの方法を模索していきたいと思っています。その中で様々なことを吸収し、教師として成長していきたいと思っています。2年目は、1年目以上に主体的・積極的に行動し、アラスカ州の日本語教育を盛り上げ、貢献できるよう努めたいと考えています。

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