カリフォルニアでの二年間

カストロ・バレー・ハイ・スクール
植條 菜摘

日本語クラスでの活動

私のアシスタントティーチャー(以下、AT)としての主な業務はユニットプランの作成、テストや提出物の採点・添削、成績入力などをリードティーチャー(以下、LT)と二分して行うことでした。日本語1・2・3・4・APレベルのうち、常に一つのレベルでユニットプランを立てることを任せていただきました。文法・アクティビティ・単語の導入・テストなどを一人で計画し、LTにサポートをしていただきながら授業を進めていきました。授業では二人の課題であったテクノロジーを多く取り入れることも心がけました。生徒の反応が直接的に伝わってくるので、うまく行った時はやりがいを感じ、うまくいかなかったときは次の授業で改善するなど日本語教師としての成長につながったと思います。
また、LTが今年度に力を入れたかったリーディングでは、もともと不定期に行っていたリーディングの授業“もくもく木曜日”を二学期から木曜日に固定しました。他校のアイデアを参考にし、静かな音楽を流してお茶を飲みながら20分間リラックスして本を読み、読んだ本は記録していくというスタイルを導入しました。生徒の反応もよく、APクラスの生徒がエッセイで、「4年間で、もくもく木曜日が一番好きで、だから木曜日が好きだった」と書いてくれていました。来年度も継続して行う予定です。

日本語クラス以外での活動

スペイン語のクラスで文化の比較の授業の一環で日本のバレンタインデーについてプレゼンテーションをさせていただきました。生徒たちは熱心に聞いてくれ、プレゼンの後には質問もたくさんしてくれました。スペイン語のクラスでは、日本ではバレンタインデーに女性から男性にプレゼントするということをほとんどの生徒が知りませんでした。同じプレゼンを日本語のクラスでした時は、バレンタインデーについて日本のアニメなどで知っている生徒も多かったです。スペイン語のクラスの生徒にも少しでも日本のことを知ってもらえる機会が出来てよかったと思います。 また、日本語のスピーチコンテストで運営のお手伝いをしました。開催地が少し離れていたため、カストロバレー高校の生徒は出場しなかったのですが、他校の生徒のスピーチを見て、レベルの高さに驚きました。日々の勉強の成果を発表する場があることは生徒にとって目標の一つになると思います。

日米間の若者交流に関して

KAKEHASHIプロジェクトで日本からの高校生を受け入れました。KAKEHASHIプロジェクトは日本に対する潜在的な関心を高め、訪日外国人の増加を図るとともに、クール・ジャパンを含めた日本の強みや魅力等の日本ブランド、日本的な「価値」への国際理解を増進させることを目的に行われています。 日米相互の文化発表や授業体験、ホームステイなど短い期間ではありましたが、帰国時には涙を流す生徒もいるほど生徒たちにとっては貴重な経験になりました。文化発表では食事、気候、学校の様子をトピックに、日本の生徒は英語で、アメリカの生徒は日本語でそれぞれ発表しました。発表のほか、送別会の時に文化紹介として、食品サンプルの制作やおりがみ、書道を用意してくれており、楽しそうに取り組んでいました。また、日本の生徒と日本語で一生懸命コミュニケーションを取ろうとする姿を見て、私もとても嬉しく思いました。
交流後、「もっと難しい文法を学びたい」「日本語が上手と言われた」など生徒たちが嬉しそうに話してくれました。クラスで学んだことをアウトプットする環境を作ってあげることが大切だと思いました。帰国後も生徒たちはSNSで交流しているようで、これからも交流を続けていくことはモチベーションの維持につながると思います。

派遣される若手日本語教員の方へ

J-LEAPでの活動は日本語教師としての経験だけでなく、ホストファミリーとの生活やアメリカの文化を経験できた貴重な2年間でした。私にとって、この2年間は毎日が順調というわけではありませんでした。しかし、悩んだときはホストファミリーやLT、同期、友人などいつも周りの人に支えられてきました。特にホストファミリーがいつも笑顔で私の話に耳を傾けてくれたおかげで、何が起こっても前向きに考えることができるようになりました。J-LEAPを通して相互のコミュニケーションの大切さを感じました。お互いに尊敬する気持ちを持っていれば、自分の気持ちを素直に伝えても相手は受け入れてくれると思います。今後派遣される方には、きっと新しい土地でいろんな人との素敵な出会いがあると思います。人とのつながりを大事にしてその土地で大切な関係を築いていくことが活動の幅を広げることにつながると思います。
私は今後、日本で日本語教師を続けようと思っています。外国から日本に来て心細い生徒もいるかもしれません。そんな時に海外生活をした自身の経験から生徒に寄り添えるような先生でありたいです。そして、より良い授業が出来るように常に学ぶ姿勢を忘れずに頑張っていきたいです。

  • 派遣先での写真1
  • 派遣先での写真2