日米交流の未来へ繋がる J-LEAP

シェーラー・エリア・ハイ・スクール
井口 美紀

アシスタントティーチャーとして

アシスタントティーチャー(以下、AT)として最も貢献できたと思う点が2点あります。1点目は、日本人として実際の経験を生徒たちに伝えたり、文化体験を共にすることで、生徒達に日本文化理解・体験をしてもらうことができたことです。私は、生徒が私に何でも話しやすい関係と環境を作ることを大切にしてきたので、生徒と近い関係でコミュニケーションをとることができました。時には、授業以外の場で話すこともありました。教師として生徒に日本語で会話するように促したことにより、生徒たちは必死に日本語で私に質問をしたり、アメリカ文化や日常生活について教えてくれたりしました。そうすることで、生徒たちの日本語や日本文化への興味が増し、伝えたいという気持ちが学習のモチベーションに繋がったと思います。2点目は、授業において新しい活動やワークシートを作成し、それを私が去った今後もリードティーチャー(以下、LT)に使ってもらえるよう、整理したことです。全てのレベルでLTが教える時に使える漢字のスタディーガイド、ユニットごとに生徒に配布するワークシートを中心に作成し、生徒達が楽しめるアクティビティも提案することができました。
2年間を通して、生徒たちの成長していく姿が見られ、教える楽しさとやりがいを実感しました。そして、最も大切なことは生徒たちが日本語や日本文化を学ぶことを通して、より豊かな人生を楽しめるようになることだと改めて思いました。これからも、日本語クラスで学んだことを忘れないでほしいと思います。

地域での活動

過去にピッツバーグに配属されていたATの方達が引き継がれてきた地域図書館の日本語教室でのボランティアを引き継ぎ、教室の運営補助をさせていただきました。初級クラス、中・上級クラス、会話クラスがあり、クラスには大抵、10名ほどの学習者と5名ほどのボランティアがいました。このボランティア活動を通して、地域の日本コミュニティーの継続、発展に貢献できたと思います。また、同じ地域の図書館では子ども向けの日本イベントもあり、シェーラーエリア高校の生徒達にもボランティアを募り、集まってくれた約20名の生徒達と一緒にボランティアをしました。生徒達は役割を分担し、地域の子ども達とその親御様に折り紙、おにぎり作り、紙芝居、浴衣などの日本文化を紹介しました。生徒達のためにも地域の方達にとっても、素晴らしいイベントとなったと思います。LTは来年から私のあとを引き継いでイベントの引率をしてくださるそうです。このような教室やイベントを行い、お手伝いをさせてくださった図書館の方々には本当に感謝しています。さらに、今年から平和学習の一環で、千羽鶴を作り広島の平和記念公園へ贈呈するというプロジェクトを開始しました。私が広島出身なので、千羽鶴を持ち帰り帰国後に皆を代表して贈呈しに行きました。平和学習と千羽鶴作りを通して平和について学び、考えることができたと思います。そして、日本語生徒全員による千羽鶴作りを通して、生徒同士の交流のきっかけにもなりました。

日米間の若者交流

J-LEAPに応募した一つの理由が、私が高校生の時に英語のアシスタントティーチャーから影響を受けて大学で英語を勉強し留学したいと思ったように、私がアメリカの子ども達に影響を与え、それが後押しとなって、これからその子ども達が自ら選択する進路に何らかの形で日本が関わってほしいという願いがあったからです。生徒達から「日本に行くつもり!」、「大学でも日本語を勉強する!」、「日本に留学したい!」などと聞いた時は、特にやりがいを感じました。私自身、高校生の時には自分がアメリカで日本語を教えるなんて想像もしていませんでしたが、英語のATがきっかけで英語や海外に興味を持ち、J-LEAP の一員となることができました。いつか私が派遣されたことが、将来生徒達の何かのきっかけになった時、日米間の若者交流に寄与できた、J-LEAPの期待に応えられた、と言えると思います。

今後に向けて

私は、大学を卒業した年にJ-LEAPに参加し、教師としての経験が全くありませんでしたが、アメリカで日本語教師として働けるという有意義で貴重な経験をさせていただき、心より感謝しています。教師としてはもちろん、人間としてもこの2年間で大きく成長できたと感じています。違う文化、全く新しい環境の中で生活していくにあたり、気づいたことがあります。それは、優しさと強さを持って困難に柔軟に対応できることの大切さです。特に、海外では日本と常識や考え方が違うことも多くありますが、それを理解しようとしたり、受け入れられることが重要だと思います。派遣されてからはずっと、新しいことに挑戦したり、新しい人に出会うことを恐れずに積極的に活動しようという目標を立て、実践したことにより、とても充実した2年間を過ごすことができました。帰国前に生徒達が開いてくれた「さようならパーティー」でもらった寄せ書きとアルバムは私の宝物です。J-LEAPの経験を糧にして今後も精進していきます。そして、J-LEAPが今後も長く続いていくことを願っています。

  • 派遣先での写真1
  • 派遣先での写真2
  • 派遣先での写真3