ウェストバージニア州での2年間

キャベル・ミッドランド・ハイ・スクール
山口 慧

アシスタントティーチャーとして

私が担当した主な業務は、リードティーチャー(以下、LT)のサポート、授業の担当、小テストやアクティビティ作り、そして日本語クラブの活動です。授業中のサポートでは、発音・文法や言葉の正しい自然な使い方、そして文化を伝えることが多かったです。
 特に、単語や文法を教えるときに日本の文化や写真と関連付けると学生の印象に残りやすく、役に立ちました。また、文法を教えた後に必ずそれを使ったアクティビティを行いましたが、すごろくやクロスワードパズルなど、学生が楽しみながら勉強できるものを作成しました。普段の授業でとりわけ印象深かったのは、学生が私とLTが何気なく話している会話をよく聞いてくれていることです。その為、真似をしてその言葉を使ってみたり、意味を聞いてくる学生が増えました。
私にとって最も有益だったことは、授業のプランを考え、一人で教えることです。学校の時間割上、レベルの混ざったクラスが多く、そのクラス内でのレベルが上のクラスをLTが、残りを私が担当しました。授業内容や進め方、アクティビティなどをすべて自分で行うことができました。学生のまとめ方、全体をみての授業の進め方など、LTを見て学び、それを受け持ちのクラスで生かすことができたことは、とても良い経験です。

日本語クラブの活動

高校での授業以外に、日本語クラブを受け持っていました。また、夏休み中に地域で行われる日本語イマージョンキャンプにも参加しました。高校では、週に一度日本語クラブの活動を行い6人ほどの小さい規模ですが、行事ごとにパーティーを行い、地域の活動にも積極的に参加しました。現地には日本語教育の活発な大学 があり、そこで催されるInternational Festivalに参加しました。
1年目は、まだ立ち上げたばかりで学生の数も揃わず、参加が出来ませんでした。2年目になり、日本語クラブの学生5人、そして大学に通う日本人の学生にも声をかけ総勢8名でソーラン節を行いました。高校生が参加するのは初めてでしたので、とても盛り上がり、学生達は来年も参加すると今も練習をしています。日本語クラブの学生は、とても日本語や文化に興味があり、率先的にゲームを考えるなどして、週に1度の活動を楽しんでいました。2年目にはクリスマスパーティーを行ったのですが、プレゼンテーションで日本ではKFCがクリスマスで人気と教えると、とても面白がり、実際にチキンを買って来て皆でパーティーを行いました。学生が、日本文化とのつながりを楽しんで活動していたことが、とても印象的です。

日米間の若者交流への取り組み

現地のJOIコーディネーターが、私の受け入れ先機関と愛知県の高校との姉妹校提携を実現してくださり、そのプログラムの一環として、自己紹介カードの作成と、ビデオ作成を授業や日本語クラブを通して行いました。学生に辞書を使用してもらい、簡単な文法や単語を使って、カードの作成を行いました。カードやビデオ作成において、日本語と英語の両方を使用することにより、日本の学生のプログラムの目的である英語の勉強にも沿うことができたと思います。学生達は日本の高校からの反応が待ち遠しいようで、カードを送ったあと、毎日授業の前に「日本の学校から何か連絡はきた?」と聞かれていました。その後、日本の高校からビデオが届いたことにとても喜び、たくさんの質問を受けました。自分たちの作成したビデオの感想を聞きたいと、交流にとても意欲的で、この姉妹校プログラムにより、学生達にとって身近な日本語を勉強する目標ができたと感じます。交流している日本の高校生と話してみたいと、学生たちが伝えてくれました。
また、現地の大学で日本語を履修している学生と会話のパートナーになり、週に一度日本語の宿題や勉強をみていました。そこで仲良くなった学生や他の日本人の友人と、我が家で日本食パーティーや日本語でのゲーム会を何度か開催しました。その際、日本語だけで話すようにしたため、語彙が増えたと学生に言ってもらうことができました。勉強や教室内だけでなく、日常の交流をすることで得られる知識も多いと感じました。

これから派遣される方へ。そして私自身の今後について

学生や、一緒に働く人たち、環境に対して、先入観をもたずに受け入れることが大切だと思います。日本で培った基礎となる価値観は、日本語を教えるうえで重要なことだと思いますが、思いがけずその価値観がひっくり返ることがあります。それによって、授業内容やアクティビティ、伝えたい文化を臨機応変に変えることができると、より学生達にあった授業ができると感じました。
また、現地の方と関わることはもちろんのことですが、そこに住んでいる日本人の方とも交流を深めることができると、一層活動の幅が拡がると思います。自分にはない特技や活動ができる方、またそこからの繋がりで活動範囲が拡がる可能性がとても高いので、様々な方と積極的に関わる力を持つことはとても大切だと思います。
今後の日本語教育へのかかわり方は、まず米国の大学院で日本語教授法を学び、修士を取る予定です。その後、国際交流基金での日本語専門家を目指し、様々な国の日本語教育に携われたらと思っています。その際、日本語教育を通して、日本語以外の言語・文化にも興味をもつ人が増えるような活動を行いたいです。日本語を勉強する過程で、別の文化に興味を持ち、異文化理解に繋がる日本語教育を行えることが目標です。その為に、外国文化に触れる機会が少ない地域等で活動ができる知識や経験を培っていこうと思います。

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