米国若手日本語教員(J-LEAP) 7期生 年間報告書
ジョージアでの一年

ロズウェル・ハイ・スクール
鞭馬 未佳

ジョージアについて

ジョージア州の総面積は153,909㎢で、私の故郷、熊本がある九州地方の約4倍もの大きさです。人口は 9,687,653人で全米では8位ですが、州都であるアトランタは人口で州内最大の都市となっています。アトランタに は、コカ・コーラやCNN、アフラックなどの本社があり、世界最大の水族館、空港があることでも有名です。
日本の大企業、TOTOのアメリカ支社はジョージアにしかなく、このような大企業をはじめ日本と関わりのある企業が500以上もあるため、地域によっては日本人を多く見かけます。ジョージアの日本語学校では、毎週土曜日補習校が開設され、幼・小中高の授業が日本語で行われ原則として日本国籍保持者で該当する年齢であれば入学が可能となっています。2018年8月から日英バイリンガルイマ-ジョン教育を実施するジョージア国際チャーター学院という公立チャータースクールが開校され、年長から小学5年生まで、無償で日本語が学べる学校で、初年度の児童在籍数230名を目指して全学年のオンライン登録を現在受け付けています。
ジョージア州は、6歳~16歳までが義務教育となっており、公立高校では、第二外国語の一つとして日本語を選択できる高校がいくつかあります。先生がクラスで教えるところもあれば、オンラインで日本語を教える学校もあります。ジョージアでの日本語熱は高まりを見せています。

ロズウェル高校の日本語クラス

Roswell high schoolは1949年に建てられた公立高校で、生徒数は約2000人です。生徒と親との電話などを聞いていると、英語だけではなく、色々な国の言葉を聞くことが多く国際色豊かだと言えます。第二外国語は、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ラテン語、日本語があり、生徒はこの中からクラスを選択します。日本語クラスは全部で5クラス、合計約100人でした。教科書は、「Adventures in Japanese(以下、AIJ)」を使用していましたが、今学期から生徒一人一人にSurfaceが配られたため、OneNote上でAIJの内容に沿って勉強していきました。
AIJではユニットごとに日本の文化について紹介されていましたが、教科書のものより、リードティーチャー(以下、LT)やアシスタントティーチャー(以下、AT)の実体験をもとに紹介した方が生徒も興味をもってくれるだろうということで、パワーポイント等を使用し生徒に説明しました。また、ウォームアップの時間に「鞭馬先生とのおしゃべり」という時間を設けました。ジョージアでは、普段生活する中でネイティブと会話する機会を持つことが難しいので、勉強してきた単語、文法を使って会話を楽しんでほしいということが目的でした。私自身も、普段授業中にはなかなか聞き出せない、趣味や家族、時には悩みなどを聞くことができより生徒との信頼関係が築きやすくなりました。

授業以外での活動

今年度から、Language Fusion Clubという名前で、2週間に一回、放課後クラブがありました。5か国語ある第二外国語学部の先生たちが、それぞれの文化を紹介するクラブです。日本語クラスでは「寿司づくり」と「もちつき」をしました。他の言語を取っている生徒達にも日本の文化を体験してもらえるので、興味を持ってもらえるという点でとてもいいクラブだと思いました。学期末には、私自身何か一人で発表できることがないかと、“Japanese gift giving & Origami craft”のワークショップを実施しました。日本語クラスの生徒はもちろん、他の言語を取っている生徒達にも日本文化に興味を持ってもらいたかったため、フライヤーを作り、校内放送でアナウンスしてもらうなど、参加を呼びかけました。全校生徒、保護者対象ということで英語でのプレゼンテーションとなり緊張しましたが、LTが一緒になって盛り上げてくれたり、日本語クラスを取っている生徒も知っている内容について他の生徒にシェアしてくれたりとにぎやかなワークショップになりました。 今年の3月に行われたJapan Academic Challenge & Speech Contestには、ロズウェル高校からも何名か出場しました。参加決定後の3か月前から、学校が始まる朝の時間を使って準備しました。入賞はしたものの優勝はできませんでしたが、「来年こそは優勝する!日本語の勉強をもっと頑張らなきゃ!」といい刺激になったようです。また、応援に来た保護者にも、生徒たちの普段の成果を見てもらうことができ、とてもよかったです。

一年目を終えて

日本で教えた経験がなく、海外で暮らす経験もなかった私にとって全てが新しく、最初は右も左も分からないことだらけでした。しかし、困っている顔をしていると向こうから助けてくれることも多くあり、“Southern hospitality”という言葉が本当にぴったりな州だと思いました。派遣先が高校だと決まった時には、アメリカの高校生に受け入れてもらえるかと不安でしたが、思っていた以上に私という日本人に興味を持ってくれる生徒が多く、日本語で会話をしようとする生徒の姿を見て、自分自身も頑張らなければいけないという気持ちになりました。日本語クラスでは、ユニットの内容や季節に合わせて、実際に日本の文化を体験することも多くありました。日本人である私でさえ、日本で経験したことのないイベントも多くあり、準備は大変でも日本語クラスを取ってくれた生徒に少しでも楽しんでほしいというLTの姿に、先生としての愛が伝わりました。
2年目は、アラスカという新しい地で教えることになり新しいLTのもと、新しい生徒に会えることが何よりも楽しみです。ロズウェル高校で学んだことをダイモンド高校で取り入れていきつつ、ダイモンド高校で新たに学んだことをジョージアのLTにもシェアをし、それぞれの学校の日本語クラスを更にいいものにしていく懸け橋になれたらと思っています。

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