世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) 国際交流基金カイロ日本文化センター 日本語教育アドバイザーの活動

国際交流基金カイロ日本文化センター
荒川友幸

毎年多くの日本人観光客がエジプトを訪問する。そのため、カイロでは、こうした観光客を対象とした観光ガイドの需要が常にある。これが、エジプトの多くの機関で日本語が教えられており、学習者のレベルも高いことの主な理由である。

日本語が専門科目として教えられているのは、カイロ大学文学部日本語日本文学科と、アインシャムス大学外国語学部日本語学科の二つである。両者とも国立の名門大学である。その他、ヘルワン大学、アレキサンドリア大学、アズハル大学、10月6日ホテル観光高等学院などにおいては日本語が第2外国語として教授されている。
また、一般成人を対象とした講座では、1969年に開設された日本大使館広報文化センター日本語講座が、昨年、エジプト日本語教育振興会日本語講座として再編され、さらなる発展を目指している。

このように、エジプトにおける日本語教育は活況を呈しているが、これは中東地域におてはむしろ例外的で、日本語を教える機関は、一国で一機関、一人か二人の日本語教師が細々と講座を運営している、というところがほとんどである。

カイロに駐在する日本語教育アドバイザーの重要な仕事の一つは、こうした近隣諸国に対する情報発信と、各国間のネットワーク形成である。

第1回中東日本語弁論大会会場風景の写真
第1回中東日本語弁論大会会場風景

昨年、開催された「中東日本語教育シンポジウム」、および同時に開催された「第1回中東日本語弁論大会」は、まさにこうした目的を持ったイベントであった。「シンポジウム」には、東京外国語大学の鮎澤孝子教授と、新宿日本語学校の江副隆秀校長を講師として日本から招聘し、ご講演をお願いした。これには、エジプトをはじめとして、イラン、サウジアラビア、シリア、ヨルダン、モロッコ、エジプトの日本語教育関係者約50名が参加した。また、「中東弁論大会」には、イラン、トルコ、シリア、ヨルダン、モロッコ、エジプトの日本語学習者が登壇し、熱弁をふるった。

イベント終了後、シンポ参加者、弁論大会参加者、講師らが、流暢な日本語を話すエジプト人観光ガイドの案内でピラミッドなどを観光した。さまざまな国籍の参加者たちが和気藹々とした雰囲気の中で交流を深めているのを見るのは、主催者として大きな喜びであった。ピラミッドのそばで、大声で日本語を叫びあう参加者たちを見て、日本人観光客が目を丸くしていた。

このほか、当地における日本語教育アドバイザーは、次のような業務を行っている。

日本語教師会会報の編集と発行

「日本語教師懇話会(日本語教育関係者を対象とした学習会)」の開催

「ことばと文化」講座の運営

「ことばと文化」講座は、主に中級レベル以上の日本語学習者を対象としており、1級から3級までの日本語能力試験受験対策講座、カラオケ講座、「日本のテレビドラマ(映画)を見る夕べ」などが開催されている。

エジプトや近隣各国の日本語教育関係者に対するコンサルタンティング業務。

エジプトの生活環境は気候、食べ物、交通など、さまざまな面で日本とはまったく異なっている。こうしたことでも日々、困難を感じることが多いが、一番たいへんなのは、なんといっても人間関係である。この国においては、日本とはまったく異なったやり方で仕事を進めなければならないが、新参者にはその機知がなかなか飲み込めず、苦労が多い。

最後に、今後の活動について触れる。2002年度も、「第2回中東日本語シンポジウム」および、「第1回全エジプト日本語弁論大会」を開催すべく、準備を進めている。また、本年は特に、エジプトのカイロ以外地域における日本語教育の実行可能性を検討したいと考えている。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
及び業務内容
 カイロ日本文化センターは、1995年開設されたが、徐々に国際交流事業を実施するのに必要な基盤も整備されてきており、エジプト国内はもとより、中近東地域における知名度も高まってきている。近年では、1999年度にカイロ大学文学部日本語・日本文学科創設25周年記念事業が行われたことをきっかけに中近東地域において日本語教育に対する関心が高まってきている。これを受けて日本語教育アドバイザーは日本語講座、シンポジウム、セミナー等幅広い活動を行っている。
ロ.派遣先機関名称
The Japan Foundation Cairo Office
ハ.所在地 14F Cairo Center Bldg., 2 Abdel Kader Hamza St.,Garden city, Cairo, Egypt
ニ.国際交流基金派遣者数 青年教師:1名

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