世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) 21世紀のクレオパトラたち

アインシャムス大学
岩元隆一専門家
重見綾香青年教師

これからもがんばろう!の写真
これからもがんばろう!

クレオパトラが活躍した国の女子大生は今もなお才気にあふれ、美しく、そして行動力に満ちている。
 アインシャムス大学外国語学部の前身は外国語専門学校として1835年に創設された。1950年にアインシャムス大学外国語学部に統合され、現在に至っている。エジプトにおける外国語教育の中心として自他共に認める機関で、設立当初より優秀な卒業生を輩出している。
 日本語学科は2000年9月に設立され、今年最初の卒業生が誕生する予定である。学生のほぼ9割が女子で、男子の存在感はやや薄いが、お互いに切磋琢磨しながら勉学に励んでいる。大学入学資格は高校2年と3年の全国統一試験の成績によって決定されるが、日本語学科は、人気が高く、受け入れ条件が非常に厳しいため非常に勉強熱心で優秀な学生が多数入学してくる。そのため1年生の時から速いペースで教科書を進めることが可能である。例えば漢字も1年生について言えば450字程度習得とかなりの分量になっているが、落伍するものもほとんどなく、確実に身につけていっている。また、日本語能力試験については、設立当初は2年次で3級に全員合格、3年次と4年次にはそれぞれ2級と1級にクラスの半数近くの合格を目指していた。第1期生は3年次で当初の目標を達成したが、さすがに1級の壁は厚く、4年次での目標は達成されなかった。非漢字圏の日本語学習者にとっては非常に高い目標であるのは確かだが、今後もこの目標に加えて、新聞や雑誌などを辞書なしでも読めるよう漢字に強い学習者の育成を念頭に置いたカリキュラムを作成していきたいと考えている。
 授業は一コマ、60分で一学年の日本語関係の授業は週当たり、20時間前後である。それに加えて、アラビア語と第二外国語(主に英語)の授業もあり、学生は学期中にはほとんど遊ぶ暇もないほど忙しい毎日を過ごしている。特に日本語学科の学生は漢字の習得に時間を取られるため、他学科の学生に比べると学習時間がかなり多くなっているようだ。しかし、漢字に対してはその量には閉口しながらも、漢字そのものには興味を持ち、真面目に覚えようとする態度は賞賛に値する。毎日の宿題などを通して練習しているためか、上級生になるにつれて、整ったきれいな形の漢字を書く学生が増え、驚かされることも少なくない。話し好きの国民性を反映してか、授業中の態度は非常に活発で、指名するのに困るほどである。また、高校での試験で高得点を取ることを当然と考えていた学生たちだけに、試験と名のつくものには小テストであっても、真剣に取り組み、その結果にも非常に敏感である。
 クレオパトラがアインシャムスの女子学生のようであったならば、鼻の高さにかかわらず、男女を問わず、周囲の人々に大きな影響を与えていたのは想像に難くない。彼女たちがこの国を担う時代には、エジプトが世界の中心になっていても不思議ではないと思わされるほどの活発さ、熱意そして努力を体現している学生たちである。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
及び業務内容
エジプト国内で高い評価を得ているアインシャムス大学外国語学部内に、カイロ大学に次いで2000年に設立された日本語専攻課程である。今後はカイロ大学とともにエジプトの日本語教育の中心となることが期待されている。派遣教師はエジプト人の主任講師が着任するまでは学科運営を任されている。
ロ.派遣先機関名称 アイン・シャムス大学
Ain Shams University
ハ.所在地 Abbaseiya, Cario, Arab Republic of Egypt.
ニ.国際交流基金派遣者数 専門家  1名
ホ.日本語講座の所属学部、
学科名称
アインシャムス大学外国語学部日本語学科
ヘ.日本語講座の概要
(イ)沿革
 
(1)講座(業務)開始年   2000年9月
(2)専門家・青年教師派遣開始年 2001年
(ロ)コース種別
  専攻科目
(ハ)現地教授スタッフ
  常勤3名(邦人3名)非常勤4名(邦人0名)
(ニ)学生の履修状況
 
(1) 履修者の内訳   1年生25名、2年生17名、3年生23名、4年生20名
(2) 学習の主な動機 「日本語に対する興味」「留学」
(3) 卒業後の主な進路 2004年6月に最初の卒業生が誕生予定。
(4) 卒業時の平均的な
日本語能力レベル
「日本語能力試験2級程度」
(5) 日本への留学人数 3年次に2~3名程度

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