世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) カイロ便り

アインシャムス大学外国語学部
松島幸男 森田衛

1年生授業風景の写真
1年生授業風景

 今年のカイロは5月に入るまで例年になく涼しい日が長く続きました。5月に入っても日中は暑くなりますが、朝晩は過ごしやすい日が続いています。春先にやってくるハムシーン(砂嵐)も今年は大きなものはなく、雨も小雨が降ったぐらいで、去年とはだいぶ違う天候です。

 アインシャムス大学の日本語学科は翻訳以外の日本語授業は全部日本人教師が担当しています。大学雇用の日本人教師が5名、基金派遣教師が2名、また大学院修士課程のために日本から客員教授が学期ごとに1名赴任してきます。学生にとっても教師全てがネイティブというのはたいへん恵まれた環境だと思います。しかしいずれ日本語学科もエジプト人が中心となって学科を運営していかなければなりません。現在はアインシャムス大学の修士課程を終えて修士論文の登録をした学生が5名、日本へ留学して修士課程に入った学生が数名いて、これらの学生たちがいずれ博士課程に入り博士論文を書いてアインシャムス大学に戻って教鞭をとる日もそう遠くないと思います。彼らにバトンタッチするまではもう少し我々日本人教師ががんばらなければいけないと思います。

3年生さよならパーティーの写真
3年生さよならパーティー

 学生は日本の様々なことについて興味と憧れを持っています。今年の卒業論文のテーマで日本に関するものは、例えば「エジプトと日本の教育」「日本の若者言葉」「ひきこもり」「自殺」「ホームレス」などでした。テーマは幅広くて、これらのテーマを見ると単なる日本への憧れだけではなく、シビアに日本社会を見る目も持っていると感じます。ちなみに学生は卒業論文をすべて日本語で書かなければなりません。従ってかなりの準備期間を要します。

 今年はまた大学院の修士課程の学生が修士論文の登録をして客員教授の指導のもと本格的に論文を書き始めます。文献資料を集めるだけでも大変ですが、きっといい論文ができあがるものと期待しています。

 日本人の持つエジプトのイメージは古代エジプトのピラミッドやツタンカーメン、クレオパトラといったところでしょうか。現代エジプトについてはあまり知られていないかもしれません。しかしここの学生たちは地味ですが着実に日本理解を深めていっていると思います。もう少しエジプトと日本の交流が盛んになったらいいなと思う今日このごろです。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
及び業務内容
国立アインシャムス大学外国語学部日本語学科は2000年に設立された。当大学はエジプトの外国語教育では高い評価を得ている。2004年には大学院修士課程も開講した。エジプト国内の国立大学ではカイロ大学とアインシャムス大学のみに専攻課程が設けられていて、エジプトの日本語教育の中心的存在である。常勤講師7名は全員日本人であり、内2名は国際交流基金から派遣されている。
ロ.派遣先機関名称 国立アインシャムス大学
Ain Shams University
ハ.所在地 Abbasaiya, Cairo, Arab Republic of Egypt P.O.Box11725
ニ.国際交流基金派遣者数 2名
ホ.日本語講座の所属学部、
学科名称
外国語学部、日本語学科
ヘ.日本語講座の概要
(イ)沿革
(1)講座(業務)開始年   2000年
(2)専門家・ジュニア専門家派遣開始年 2000年
(ロ)コース種別
日本語専攻課程
(ハ)現地教授スタッフ
常勤5名(邦人5名)
(ニ)学生の履修状況
(1) 履修者の内訳   1年生23名、2年生22名、3年生21名、4年生20名
(2) 学習の主な動機 日本に対する興味、日系企業への就職、観光ガイド、留学
(3) 卒業後の主な進路 日系企業就職、観光ガイドなど
(4) 卒業時の平均的な
日本語能力レベル
日本語能力試験2級程度
(5) 日本への留学人数 10名程度

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