世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート) テヘランから今日は

テヘラン大学
松島幸男

4年生の学生たち、教室での写真
4年生の学生たち、教室で

 イラン・・・みなさんはどんなイメージをお持ちですか。ペルシャ絨毯、ペルシャ猫、シルクロード、胡人、イラクの隣の国、ちょっと怖い・・・。私も始めは同じようなものでした。でも、やはり見ると聞くでは大違いで、ここに赴任して暮らしてみると、表向きに見える部分と本音の部分では違いがあって、それが自然に見えてくると、結局どこでも生活そのものは変わらないなと思います。掃除して、洗濯して、料理して、明日のお米はどうしようと考える、政治状況や経済状況は変わっても、私たちのふだんの生活はどこでも同じだと改めて思います。そしてどうやったらいい生活ができるだろうかと悩んでいる、それも同じです。

 イラン人はアーリア系です。隣のイラク人はアラブ系ですから民族が違います。よく見るとイラン人はヨーロッパ系の顔でイタリア人とあまり区別がつきません。楽しい音楽を聞くと自然と踊り出すような陽気な気質を持っています。町を歩いているとよくけんかを目にしますし、学生など試験の点が悪かったりすると、泣きだす学生もいます。感情の表出が直接的で豊かなんですね。悩みなどがあってもそうした直情的、楽天的な気質で乗り越えているのではないでしょうか。

 私はずっと作文の授業をもっていますが、「イランの若者」という題で書いてもらったことがあります。今は就職難で卒業してもなかなか仕事が見つからない。だから結婚年齢も上がっている。中には犯罪やクスリに走る若者も増えているのだそうです。

日本語科の先生方と大学の中庭での写真
日本語科の先生方と 大学の中庭で

 テヘラン大の学生は全国から選ばれてきますから総じて優秀です。まじめで温厚な学生が多いですが、中には強硬に要求を出してくる学生もいて先生方は頭を悩ますこともあります。教科書を変えてほしい、試験範囲をもっと短くしてほしい、勉強したけれどできなかったからもう一度試験してほしい、試験範囲の授業は終わったから来週私たちは授業に出ません等等。

 ここイランは年々物価が上がり、生活も大変になってきているようです。経済的な問題を抱えている学生もいます。イランは大家族主義で、困っている人はお互いに助け合うというのが習慣だと聞きます。学生たちもいろいろな問題を抱えていますが、生来の陽気な気質と相互扶助の精神で乗り切っていくものと思います。一度どうぞイランに遊びに来てください。テヘランは今日も晴れです。

派遣先機関の情報
イ.派遣先機関の位置付け
  及び業務内容
イランで唯一の公的な日本語教育である。予科の半年を入れて4年半で卒業すると文学士の学位が出る。基金専門家は初級から上級まで幅広く授業を担当する。また教師の指導、カリキュラムやシラバスの作成にも関わる。
ロ.派遣先機関名称 テヘラン大学
University of Teheran
ハ.所在地 Jalale Ale Ahmad Ave ( Pole Gisha ) Tehran
ニ.国際交流基金派遣者数 専門家:1名
ホ.テヘラン大学外国語学部日本語・日本文学科 外国語学部 日本語日本文学科
ヘ.日本語講座の概要
(イ)沿革
(1)講座(業務)開始年   1994年
(2)専門家・ジュニア専門家派遣開始年 1995年
(ロ)コース種別
日本語専攻
(ハ)現地教授スタッフ
常勤1名(基金専門家) 非常勤6名(内邦人1名)
(ニ)学生の履修状況
(1) 履修者の内訳   主専攻 各学年15~20名
(2) 学習の主な動機 留学 日本への興味 日系企業への就職
(3) 卒業後の主な進路 一般企業 日本語教育機関
(4) 卒業時の平均的な
日本語能力レベル
日本語能力試験3級及び2級
(5) 日本への留学人数 7名程度

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